2015-01

土着ワークショップvol.8 ワラ細工「卵つと」づくり・民具の茶話会

DWS08卵つと

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土着ワークショップvol.8 ワラ細工「卵つと」づくり・民具の茶話会

日時:2015年2月15(日)13:30~16:00(終了予定)

場所:西蒲区岩室温泉666 KOKAJIYA2F「室礼」
※駐車場は「いわむろや」(西蒲区岩室温泉96-1)駐車場をご利用ください

講師:ワラ細工職人 山際辰夫さん(黒埼民具保存会会長)
茶話会ゲスト:五十嵐稔さん(新潟県民具学会会長)

参加費:3,000円(材料/講習費込 KOKAJIYAのスイーツ&お茶付き、当日支払い)
※卵は本物を使います。

定員:12人

申込み方法:TEL 0256-78-8781(KOKAJIYA)/080-4051-1211(ぐみざわ)まで。
「2/15の土着ワークショップ参加申込み」とお伝えください。

<当日の流れ>

13:30~ 「卵つと」づくりスタート 講師:山際辰夫さん
14:45~  五十嵐稔さんとの茶話会 聞き手:桾沢厚子(ブリコール)
KOKAJIYAのスイーツをいただきながら
16:00   終了予定

※お子様も一緒にご参加できます。小さなお子様がいらっしゃる場合はお気軽にご相談ください。
※定員になり次第、受付終了となります

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2015年最初の土着ワークショップは、ワラ細工の「卵つと(苞)」づくりです。

昔は、卵を持ち歩くために「つと」と呼ばれるワラ細工に入れていました。かつて卵は貴重な食べ物で、病人のお見舞いや、ハレの日の御馳走だったそうです。物のない時代、貴重品である卵を安全に運ぶ入れ物として、材料が豊富にあった藁をクッション材に使った「つと」が考案されたようです。

実はこの「卵つと」、1960~80年代にかけ、世界20数か国を巡回した展覧会「TSUTSUMU」(「日本の伝統パッケージ展」)に出品され、海外からもその優れた機能美が賞賛を集めたことで知られています。

展覧会の企画者、グラフィック・デザイナーの岡秀行氏(1905-1995)は、日本の風土の中で育まれた自然の素材を用いた包装・容器の美しさに魅了され、「包む」行為そのものにも日本人の美意識や、職人たちの高度な技術や誇りが反映されているとして、それらを収集したそうです。50年も前の当時でさえ、手技が失われつつあることに危惧を抱いたという岡氏はそれらを「日本の伝統パッケージ」と名づけ、展覧会や写真集として世に問うたのだそうです。

主催者の桾沢も大学生の頃、十日町の駅で「卵つと」の写真が大きく掲載されたポスターを見た時のあの感動は忘れられません。

そして今回、「卵つと」を作ってみるだけでなく、広く全国の民具について詳しい五十嵐稔さんにもお話を伺おうと思います。藁を使う意味、手を自ら動かして作る民具に受け継がれてきた先人の知恵、自分たちのこれからの暮らし方のこと、そんなことを少し考えるきっかけになればと思い、茶話会を企画しました。

ワラ細工を教えて下さるのは、お馴染みワラ細工職人の山際辰夫さん(御年86歳)。
「卵つと作りたいのだけど、じいちゃんわかる?」と尋ねたら、「おう、わかるよ」と即答。心強いです。山際さんの手と頭の中に引き継がれているものを少しでも、受け取れたらなと思っています。

以下は、先日山際さんの工房にお邪魔した際の「卵つとづくり」の様子です。

卵つとづくり01

卵つとづくり02

「何十年かぶりにつくったよ」とおっしゃる山際さん。それでも、すぐに思い出せるのは、長年「稲わら」と対峙し、さまざまなものをつくってきた身体にしみついた「記憶」があるからではないかなと思います。

卵つとづくり03

当日は、最後の仕上げで稲わらの縄綯(な)いも行います。これもまた初心者には難しいのですが、やってみると、楽しいもの。ぜひ、挑戦してみてください!ご参加お待ちしております。

Posted on 2015-01-27 | Posted in お知らせ, 土着ワークショップ [DWS]No Comments »

 

【にいがたアグリピクニック】稲刈り&はざ架け編 振り返りレポート

~「はざ架け米プロジェクト」レポート~
【にいがたアグリピクック】 稲刈り&はざ架け編

昨夏の終わりに開催した【にいがたアグリピクック】の振り返りレポートをお届けします。

夏井のはざ木

晴天に恵まれた、収穫日和の9月18日。「夏井のはざ木」で知られる西蒲区夏井の田んぼでは、5月に岩室小学校のみなさんが一つ一つ手で田植えをした稲が、黄金色になり、たわわに穂を垂らしていました。

稲穂

今回は小学生からバトンを受け取り、県内4大学(長岡造形大・新潟薬科大・新潟青陵大・新潟青陵大短大)のかわいい学生さんたちと共に、一般参加者のみなさんを交えた「稲刈り&はざ架け」体験を行いました!

集合

朝から暑くなる予感たっぷりのモヤッとした空気の中、やる気まんまんで集まったメンバーたちを前に、はざ架け米プロジェクトを引っ張っているリーダー・小倉壮平いわむろや館長よりひとこと。小倉さんは東京からの移住組で、数年こうして地元岩室の方々と稲作を一緒に行ううちに、すっかりご自身も田んぼの魅力にはまってしまったようです。

主催者お話

そして「アグリピクニック」と題し、初夏からスタートした「農作業×まかない」を楽しむこのプロジェクトについて、企画した山倉あゆみが、その魅力についてお話しました。

今回の「稲刈り&はざ架け」編の目玉は、何といっても、作業後のピクニックランチ!たっぷり汗をかいた後に、畦道にキッチンカーがやってきて、田んぼのすぐ脇でいただくお米の味は格別なものです。

一同期待も高まったところで、田んぼへ歩いて移動。

田んぼへ移動

たにし見っけ

たにし

途中、水路にいる魚や、田んぼにいるタニシ、蛇の抜け殻を見つけて、大はしゃぎです。指導・案内役の山上力さん、阿部朝幸さんも嬉しそう。

蛇の抜け殻

田んぼに着くと、山上さん、阿部さんから作業の流れ、鎌の使い方などを教えていただき、いよいよ各々鎌を持って、稲刈り作業開始です。

説明

稲の刈り方

田んぼに入る

小さな子どもから大人まで、わいわい稲の束を刈っていくこの作業。単純ですが、すごく腰にきます。一昔前まではこれを全て手作業でやっていたと思うだけで気が遠くなります。でもみなさん、楽しそう。

小学生も稲刈り

稲刈り作業

バツ印

数本の稲をまとめた束を、後でワラで一括りにする(この辺りでは「まるける」と言う)作業をしやすくするため、「x」のようにして、少しずつずらしながら、稲束を置いていきます。だんだんリズムができてきて、あっという間に刈り作業は終了。

かえる

とんぼ

刈っている最中に気づいたのは、田んぼに生えている下草の種類の多さやカエルやトンボなどの生き物たちの存在。当然ながら、田んぼはこうした生物たちの住処でもあり、外から田んぼを眺めるだけではわからない、触れてみて初めて気がづく“いきものたちの世界”がそこにはありました。

続いて、はざ架けしやすいよう稲の束をつくる「まるける」作業へ。

まるける1

まるける2

まるける3

まるける4

ベテラン農家さんやお手伝いにいらしたご近所のおばあちゃんに習いながら、最初は見よう見まねで、たどたどしくまるけていましたが、少しずつ様になる人もいれば、最後まで苦戦した人も…。腰、ひざ、腕、手先…と、身体の使い慣れていない部分をいっぱい使いながらまるける作業を黙々と続けて数十分。そこには稲束の山ができました!

山づくり

稲の山

そして今度は「はざ架け」の工程です。ここまでレポートではさらりと進みましたが、この間蒸し暑くて汗だくで、熱中症にならないかと、ふと不安になるほど喉が渇きます。農家さんの日々の作業には頭が下がる思いです。

はざ架け1

はざ架け2

こうして苦労してまるけた稲束を、一つ一つ、はざ木(トネリコの木)に竹で橋渡しをしたところへ架けていきます。

はざ架けよこ

はざ架け3

はざ架け4

はざかけ遠方

高いところは、農家さんに手伝ってもらいながらのはざ架け。稲束でできた黄金色の壁を見て、なんともいえない充実感を味わうことができました。

記念撮影

作業後は、みんなで記念撮影!みなさんとってもいい笑顔です。

取材

当日はBSNテレビ「ダイばん!」の取材も入っていたので、大学生たちは作業を終えての感想を思い思いにカメラの前で語っていました。

移動2

続いてはお楽しみ・「ピクニックランチ」の時間です。
畦道にやってきたキッチンカーから現れたのは、ピクニック用のシートとアウトドア用の机!一瞬ではざ木の並ぶ畦道がランチ会場に仕立て上げられました。

キッチンカー登場

まかない会場

まかないの内容は、2014年定番となった新米のお茶漬けと、この日のための特別メニューで構成された色とりどりのおかずたち。

まかない

メニューはこちら↓
・山古志牛のしぐれ煮 新米茶漬け(きりあえ入り)
・干しカブと身欠きニシンの煮物
・ふろふき大根 永塚農園のししとうみそをかけて
・ずいきの酢の物
・岩崎食品さんのハリハリ漬け

ピクニック

みなさん好きな場所に腰かけて、「いただきます!」
もちろん、お米もおかずも期待以上の味でした。お米をつくる現場、土の匂いのするこの場所で、弥彦山・角田山を遠くに眺めながら、こうして食べられる幸せをかみ締めました。

農家さん

農家さんたちの後ろ姿もすてきです。

キッチンカー2

夏井の田んぼのこのはざ架けで得られるのは、天日乾しされた美味しいお米だけではありません。
「稲ワラ」も大事な資源です。かつては当たり前にあって、生活のあらゆる場面で使われた稲ワラも、今ではほとんどが活用されずに捨てられるというのが現実。ワラ細工やワラ灰など、稲を穂先から根元まで使い尽くしてきた、先人たちの知恵には、きっとこれからのヒントがいっぱいあるはず…。

というわけで、10月には、この時のはざ架けで得られた稲ワラを使ったワラ細工のカマダイ(鍋敷き)づくりを行いました。その模様は「土着ワークショップvol.5カマダイづくり」レポートをご覧ください。

稲わら

今回のアグリピクニックを通して、お米を食べるだけでは見えてこなかった、稲作の魅力について、自分が作ることに関わることで少し垣間見れたような、そんな貴重な体験ができました。

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「にいがたアグリピクック 稲刈り&はざ架け編」は、新潟市シティプロモーション認定事業
『にいがたアグリピクニック』(事業者:foodrop)のプログラムです。
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Posted on 2015-01-20 | Posted in お知らせ, イベントNo Comments »

 

干し柿完成!

12月はじめに「手もみ」作業を終えた、土着ワークショップvol.06「干し柿づくり」。その後のレポートです。

12/7に行った手もみ作業。一つ一つ「甘くなれ!」と思いを込めておこないました。

手もみ

手もみ2

寝かす

手もみ直後、寒くて風通しの良いと思われたKOKAJIYAの廊下に面する階段の上に1週間ほど、時々裏返しをしながら寝かせていました。が、思った以上に廊下に湿気がたまりやすく、一部の干し柿にはカビが発生。そこで急遽、干し柿をカビの発生したものと無事なものにより分け、別の場所に移すことにしました。
少しカビの生えてしまったものも「食品用アルコールで丁寧に拭き取りを行えば大丈夫」とお客様の声により救出することに。

再び干す

再び干す2

雨などに濡れないKOKAJIYAの軒下と昨年うまくいった主催者(桾沢)自宅のベランダに再び干し、外気中に晒すことにしました。

2週間後

それから1週間。ぽつぽつと白い粉が全体に吹き始め、2週間目には、全体的に白い粉が吹いた状態になりました。外気中に干してからは、カビの生育環境となる温度と湿気の心配も無く、順調に干し柿づくりが進みました。

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2013年に続き、2度目の挑戦にして新たな失敗も経験。それでもなんとか2014年も、角田山麓・柿団地の平核無(ひらたねなし)柿を使った「干し柿」が完成!無事、年末に参加者のみなさんにお渡しできました。

完成

「干し柿づくり」というのは、生きたもの、あるいは自然環境や気候を相手にした実験の繰り返しなのだなと思います。そして、その時その時のものや状況と対話しながらつくっていく、奥の深いものなんだと気づかされました。

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人と自然との相互作用で生まれる干し柿は、芸術作品のように見た目にも美しく、また、人々にとっては冬の間の楽しみにもなる、甘さ・栄養ともに凝縮した美味しいお菓子として、昔から愛されてきたのだなと思いました。

日本各地に「干し柿」で有名な産地があります。例えば、出荷量で多いのは長野県の市田柿、山梨県の枯露(ころ)柿、富山県の三社柿など。新潟では、佐渡の「あんぽ柿」(おけさ柿)が有名ですね。各地の干し柿を味比べするのもまた面白いなと思います。

ちなみに桾沢家では、十日町の祖母の家の柿を使った干し柿と今回の干し柿の味比べしました。十日町の柿は、安養寺という山の中の集落の畑に植えられた甘柿に渋柿を接ぎ木してつくった特別な柿だということで、実は固くかなり小振りなのですが、小さく切ったひとかけらを口に含むだけでとてつもなく濃厚で甘く、角田山の柿よりも甘さがさらに上。一方、角田山の柿は濃厚でマイルドな甘みで、実が大きいので食べ甲斐があります。
柿は中国から伝わったといわれていますが、日本全国に幾種もの品種があり、古来より日本の風土と相性の良い果樹なのでしょう。

今後も「干し柿づくり」を続けていきます。
2015年、挑戦してみたいという方がいらしたら、10月頃にHP等でご案内をしますのでぜひチェックしてみて下さい。干し柿をつるす風景がこれからも続きますように。

干す風景

これまでのレポートはこちら↓

●2014年干し柿づくり <前編>皮むき・柿干し
●2014年干し柿づくり <後編>手もみ
●2013年干し柿づくり(実験)

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「土着ワークショップvol.06 干し柿づくり」は、新潟市シティプロモーション認定事業
『にいがたアグリピクニック』(事業者:foodrop)のプログラムです。
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