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干し柿づくり2013晩秋@室礼 レポート

立冬を過ぎ、新潟の空気も秋の終わりへと加速する中、11月17日は久々の晴天の休日となりました。

例年よりも早く柿の実が成熟を迎える頃合いとなり、
「もうこれが今年最後のチャンス!」とばかりに、いささか駆け込み気味に
秋の実りを美味しくいただくための昔ながらの知恵、「干し柿づくり」を室礼にて行いました。

その模様をお伝えします。

KOKAJIYAがオープンして以来、初めて迎える冬。
その訪れを歓迎するかのような、ちょっぴりかわいらしい柿の風景を軒先につくることができました。

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晩秋になると日本のあちこちで見られる、柿を干す光景—。
でも一方では、少しずつそれが、身近なものではなくなってきているのかもしれません。

あたりまえに地域にあった風景の作られ方を体験したい。
そんな思いで「干し柿づくり」をまずは自分たちでやってみようと挑戦しました。

右も左もわからなかったので、柿のプロに教えていただこうと、
新津にあるタカツカ農園の高塚俊郎さんにレクチャーをお願いしました。

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まずは「なぜ柿を干すの?」という説明からスタート。
「渋柿の渋みの訳は、タンニンという柿の中の物質が、
口の中のだ液のタンパク質や水分と結びついて、その物質が柿独自の苦さのもとになる。
でも昔ながらの知恵で、柿を干すことによって、タンニンを水に溶けない物質に変えてしまう。
そうすることで柿の「甘味」だけを感じられるようになり、おいしくなる」のだそうです。

今回使った柿は、西蒲区巻の柿団地でとれた「平核無(ひらたねなし)」という種類の柿。
渋柿の一種ですが、その原木は新津から来ているのだとか。
大きさはSからM。タカツカ農園の柿は、2Lや3Lともっと大きな柿だというから驚きです。
それを1つ1つ機械で皮剥きするそうです。機械での作業も“技”がいるようで、その作業は
専らおじいちゃんのお仕事なのだとか。

今日は、手作業で1つ1つ剥いていきます。

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関東からタカツカ農園に奨学米プロジェクトで農作業体験にきていた大学生や
高塚さんのお子さんも参加して、みんなでひたすら「皮剥き」をしていきます。

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「柿を剥くのも初めて」という大学生も徐々に慣れた手つきになっていきます。

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高塚さんファミリーがそろって皮剥きをするすがたに、
「親から子へ知恵を伝える」という当たり前の景色を見せて貰いました。

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かねてから「干し柿」をやってみたかったとおっしゃっていた
燕市のツバメコーヒーの田中さんも参戦!人手があると本当に速いです。
60個あまりの柿があっという間に剥きあがりました。

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柿が干し上がった後の“もうひと手間”についても教えていただきました。

3,4週間して頃合いの硬さに仕上がった干し柿をクリップから外し、
平べったくもみほぐし、潰していきます。もみながら好みで形を整えてきます。
もむことで、干し柿の「糖分」を、柿の中から外へと行き渡らすことが
できるのだそうです。その糖分が、白く表面に浮き出て来ます。

もんだ後の柿を平らなザルなどの上に少し置いておくと、自然と粉が吹いてくるそうです。
不思議です。そうして干し柿が出来上がります。
干し柿は冷凍保存も可能で、水分がないので凍らず、そのまま冷凍庫から出して食べられるそうです。

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レクチャーが終わり、今度は干場の準備です。干す場所の条件は、
「風がよく通るところ」「雨に濡れない」「屋外」がポイント。

今回、干し方は、よく民家の軒先に見られるたて吊り型ではなく、
農家さんがやられる、横一列に干すやり方を教わりました。
干し柿専用のクリップ(ホームセンターで手に入るそうです)を柿を干す位置を
決めて橋渡しした棕櫚縄に適当数ひっかけ、干場づくりは完了です。

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いよいよ干す工程。皮剥きした柿を熱湯に20,30秒くぐらせ、殺菌したもの
にクリップをヘタの脇にぐっとひっかけるようにして留めていきます。

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KOKAJIYA1階のレストランの軒下に、ネックレス状に柿を並べました。干したばかりのときは色がまだ鮮やかなので、クリスマス飾りのようです。

あとは3、4週、待つのみ。
少々柿が熟してきて柔らかいものもあったこと、初めての試みということで、
失敗もあるかもしれませんが、来年開催予定の「土着ワークショップ」の
ための実験ということで、少し様子を見てみたいと思います。

経過は折々、HPにて報告します。