吉田明さんのやきもの

11/23-26『ENZAの屋根裏縁日』開催!!@北方文化博物館・屋根裏ギャラリー

ENZAでの出会いから生まれた企画展
『ENZAの屋根裏縁日 by Bricole』開催のご案内

 ENZA縁日

「そこにあることを、自分ができることに変えていく」というテーマのもと、一つの場をぐるりと囲んで寄り集まり、ともに経験をしながら、個々の興味を深化させていこうと始まった「ENZA」。私たちブリコールは、ENZAの前身である土着ワークショップ、いろり座談会、KOKAJIYA2F 室礼での活動を通じ、これまで様々な「自らの手から何かを生み出す人達」と出会いました。

このほどブリコールの4年を振り返り、出会ったご縁のある方々の手から生み出された品々を集め、展示販売をさせていただく企画展『ENZAの屋根裏縁日  by Bricole』を開催いたします。ものとものを生み出す人、地域との関係性などに目を向け、「暮らし」のこれからについて思いを巡らす場を目指したいと考えております。

会期中、県内外の作り手による藁・竹細工、焼物、木工、農産物の展示販売に加え、2つのイベント(民映研『うつわ』上映会&トーク、民具の茶話会)、体験ワークショップ(麦わら、竹・藁細工、花活け)を予定しております。紅葉の美しい晩秋のひととき、北方文化博物館の屋根裏ギャラリーへ是非お運びください。

<開催概要>
●日時:2017年11月23(木・祝日)~26日(日)10:00~19:00
●会場:北方文化博物館 屋根裏ギャラリー
(〒950-0205 新潟県新潟市江南区沢海2-15-25)
●入場無料(無料駐車場あり/会場に近い「正面側」駐車場をご利用下さい)
※期間中北方文化博物館では、紅葉のライトアップを19時まで開催中!(入館料大人800円)

●主催:ブリコール
●後援:北方文化博物館
●問い合わせ:info(アットマーク)bricole.jp 080-4051-1211 桾沢(ぐみざわ)

=出品いただく人ともの=
● 山際辰夫さんの藁細工 玉〆め&注連縄飾り、鳥のしめ縄、箒類
● 山際ハツさんのイグサ細工、布草履
● 山上力さんのお米
● 阿部晋哉さん竹細工
● 成田文香さんの竹細工
● 「木工房きの」成田祥二さんの木工製品
● 「タカツカ農園」高塚俊郎さんの米、ジャムなど加工品
● 「越後みそ西」さんの味噌と味噌漬け
● 「伍竹庵」五月女大介さんの竹細工
● 「笑竹堂」三原啓資さん・萌枝さん夫妻の竹細工
● 「日知舎」のおえ草履(見本展示)
● 吉田明さんの焼物
● 入田正幸さんの焼物
● 「工房 るるの小屋」山崎修さんの木工製品
● 小林弘樹さんの雑誌『Life-mag』
● 「ブリコール」の本、古書、フリーペーパーなど

出品イメージ01

出品イメージ02

=========会期中のイベント その1=========(※ゲスト敬称略)
=民映研による記録映像『うつわ』上映会&トーク=
11/23(木・祝)15:00~17:00
●参加費:1,000円(上映会+トーク)
●定員:30名程度 【要予約】

『わたしたちの身のまわりには、長い歴史の流れを受け継ぎながら、今に生きている生活文化がある。日本的なうつわ(食器)もそうである。その源流と展開を日本全域に訪ねた。』
――遠い昔から今日に至る「日本のうつわ」を全国26カ所を訪ねて追った民族文化映像研究所の映像作品『うつわ』を鑑賞した後、古陶・古窯を研究しながら「やきもの」の初源を見つめてきた吉田明氏に長年連れ添った吉田文子さんにお話を伺います。

うつわイメージ
●民族文化映像研究所作品『うつわ -食器の文化-』(1975年、41分)上映会
演出・姫田忠義 撮影・伊藤碩男 製作・小泉修吉 監修・宮本常一 音楽・林光 ナレーション・糸博

1976年日本の基層文化を映像で記録・研究する事を目指して発足し、計119本の映画作品を残した「民族文化映像研究所」。その発足前に撮影され、のちに研究所所長となる姫田忠義氏の師で民俗学者の宮本常一氏と、音楽家の林光氏が製作に関わった記録映画。この作品を契機に、後に「奥会津の木地師」「椿山~焼畑に生きる」という作品が生まれた。映像後半に出てくる解説の声は、宮本常一氏の肉声。また冒頭の与那国島でクバの葉で湯を飲んだり、加曽利貝塚で縄文土器で粟を煮て食べている男性は姫田氏本人。

 

●アフタートーク「吉田明さんのうつわ」
ゲスト:吉田文子(ギャラリーやきもの語り 吉田明作品館)
聞き手:桾沢厚子(ブリコール)

【プロフィール】
吉田明
1948年青梅市生まれの陶芸家。焼物の原点を見つめ朝鮮古陶、古窯を踏査、研究。奥多摩を拠点に三島、粉引、刷毛目、白磁、唐津など多彩な技法と発想で作陶。2005年十日町へ移住し「妻有焼」を興すも2008年惜しくも急逝。

吉田文子
1946年東京生まれ。1991年八王子にギャラリー「陶泉房」を開く。94年青梅へ移り、翌年吉田明と弟子達の作品を扱う「陶房 吉田」と「やきものショップ 陶」を経営。その傍ら居酒屋「すいとん屋」の女将もこなす。2006年十日町へ移住。現在、吉田明という人間や作品の伝え手として活動。

 

=========会期中のイベント その2=========(※ゲスト敬称略)
民具の茶話会イメージ

=民具の茶話会=
11/24 (金)14:00~15:30
ENZAの屋根裏「縁日」記念座談
~新潟の民具について語ろう~
●参加費:800円(お茶菓子代込み)
●定員:20名程度 【要予約】
 

わらや竹の民具を中心に、北方文化博物館にある道具も含めた「新潟の民具」のお話を座談者たちに伺います。

座談者:五十嵐稔(新潟県民具学会会長)、田中茉莉恵(北方文化博物館)
聞き手:桾沢厚子(ブリコール)
※13:00~14:00藁細工職人・山際辰夫さんによる「注連縄(しめなわ)づくり」実演も行います

【座談者プロフィール】
五十嵐稔
1931年三条市生まれ、同市在住。県立三条実業高等学校卒、三条市役所勤務、退職時三条市立図書館長。現在、新潟県民具学会会長、日本民具学会評議員、古々路(ここじ)の会代表。『三条市史』『新津市史』ほか多数の新潟県内の市町村史の調査・執筆を手掛ける。

田中茉莉恵
1982年三条市生まれ、同市在住。新潟大学教育人間科学部芸術環境創造課程でピアノと音楽マネージメントを学ぶ。2007年より北方文化博物館に勤め、現在総務と学芸を兼務。地主伊藤家が遺したものと来館者をつなぐ企画を実施。

=========会期中の体験ワークショップ=========
ENZA の縁日ワークショップ
◆11/24(金)10:30~12:00、15:30~17:00のうち随時
【ストロー細工】わら馬
麦わらを使って、馬のオーナメントをつくります。お守りにしてもかわいいです。
わら馬
【参加費】500円
【案内役】山下真有さん
新潟市東区在住。北欧工芸ヒンメリに出会い、仕事の傍ら自宅にて製作をしている。2017年3月、北欧工芸研究会設立。

◆11/25(土)10:30~12:00、13:30~15:30のうち随時
【竹細工】六つ目編み
竹細工の基本の編み方の一つ、六つ目編みで好みの形のオーナメントをつくります。
六つ目あみ
【参加費】500円
【案内役】成田文香さん
新潟市西蒲区在住。1984 年生まれ。別府の大分県竹工芸訓練センターで竹細工の技術を学び、2013年に家族で新潟市へ。現在、阿部晋哉氏の工房に通いながら作品製作に取り組む。

◆11/26(日)10:00~12:00
【わら細工】カマダイ
カマダイとよばれる鍋敷きをつくります。
かまだい
【参加費】大1,500円 小1,000円
【案内役】桾沢厚子(ブリコール・ENZA世話人)
新潟市東区在住。2013年にカマダイと出会いその造形美に惹かれ、藁細工職人の山際辰夫さんの元へ通うようになる。以後、藁細工に触れてもらうワークショップなどを開催。

◆11/26(日)13:00~14:30
【花活けパフォーマンス+ワークショップ】
客人をもてなす花活けとは? 花と向き合い「見えない心」を花に託す。その方法を独自に深め磨いてきた花人・佐藤るみ子さんにコツを伝授していただきながら、じっくり自分の心と向き合う花活け体験を行います。
※作品はお持ち帰りいただけます
花活け
【参加費】2,500円(うつわ代込み) 【定員】10名【要予約】
【持ち物】花ばさみ又はたちばさみ(持っている方)
【案内役】佐藤るみ子さん
三条市居島「フローリスト・ルミノ」の店主。40年近く花に携わり、芸術や文化への深い造詣に裏打ちされた、儚さと強さが同居する独創的な表現で花生けを追求し続けている。

 

※参加費は材料費込み。
※材料がなくなり次第終了となります。
※【要予約】の回以外は、直接会場へお越しください。
※同時に作業できる人数を超えた場合、お待ちいただくかもしれませんが、その際はご了承ください。

◆ご予約:お問い合わせ先:080-4051-1211  
info(アットマーク)bricole.jp 桾沢(ぐみざわ)まで

チラシ01

チラシ2

 

ENZA w#004「竹カゴ」@三条スパイス研究所 開催レポート ①

夏真っ盛りの8/7と8/9、ENZAの4回目のワークショップとして、大分県由布市の竹細工職人、三原啓資さん・萌枝さんご夫妻から学ぶ「竹カゴ(四つ目カゴ)」づくりを2会場で開催しました。

四つ目カゴ

平日にもかかわらず「竹細工」や「カゴづくり」にご関心のあるみなさんが多く集まって下さいました。そして2日とも、講師の三原さんと偶然にも同じ別府の竹工芸訓練(支援)センターで同期の訓練生だったという成田文香さん(新潟市西蒲区在住の若手竹細工職人さん)がワークショップのヘルプに来て下さりました!本当にありがとうございます。

竹細工を本格的にやるには「竹ひごづくり」からなので相当に時間と労力がかかります。そこを事前に三原さんが何から何までご準備いただき、3時間ちょっとという短い時間で最後の「編みと縁どめ」の体験を通じ、また職人直々のお話を通して竹細工の奥深さ、楽しさの一端に触れるとても良い機会になりました。

ではさっそく、8/7のワークショップの模様をレポートしていきます!(8/9のワークショップレポートはまた後日。)

ENZA4スパ研集合写真

竹細工の日本一の産地、大分から来新された講師の三原啓資さん・萌枝さんご夫妻。お二人は「笑竹堂」という屋号で、大分の青竹(マダケ)をメインに使った竹かごや生活道具をつくることを生業にされている竹細工職人さんです。実は萌枝さんのご実家が三条市ということで、ご縁あって今回のワークショップが実現しました!

ENZA三原さんご夫妻

会場の「三条スパイス研究所」は、この日最高気温39度という猛暑日。そんな暑い日の午後、屋根だけのほぼ屋外という「えんがわ」空間でワークショップはスタートしました。

ENZA4材料

カゴの材料となる竹ひごは、由布市の三原さん宅のご近所のマダケの竹林から伐り出して加工して下さったものを使いました。厚さ0.55mm、幅7mmに揃えられたひごは、今年の1月に伐り出し、乾燥させたものだそう。

マダケ

しなやかでうっすら青みが残っていて、「こんなに薄いんだ」「揃っていてきれい」とみなさん驚いていました。一人一人に三原さんお手製の「四つ目編み」をきれいにするための下敷きと24本のひごが配られ、最初はこの下敷きの上で、編み作業を行っていきます。

下敷き

縦2本・横2本、計4本のひごを編み、そこから下敷きのとおりに「節」の位置(わかりやすく色がついている!)を合わせながら、上・右・左・下に5本ずつひごを編み込んでいきます。

編みはじめ

編む時は、どちらのひごが上かを確認しながら、上にもっていくひごは「すくい」、下にするひごは「おさえ」といいますが、1本とばしに「すくい」と「おさえ」を繰り返して編み込みます。右利きの方は、左手ですくう(上にくる)竹ひごを浮かせて、そこへ右手でひごを入れ込むというかたち。

編み途中

一見簡単なようで、この四つ目編みは「簡単だからこそ竹ひごが動きやすく、きれいに目を保つのが難しいんです」と啓資さん。確かに編み作業の最中に、油断するとひごがすべって位置がずれていくことがしばしば…。

編み作業中

なんとか1周、計24本をひごを編み込んだら、平面は完成!

とめひご

いったん、四辺の縁を別の竹ひご(とめひご)で仮止めしていきます。

とめひご2

これで編んだひごが固定されずれにくくなります。(※とめひごは後ほど外す)

とめひご3

このあとは「立ち上げ」といって、かごにしていく(2Dから3Dにしていく)一番気を遣うけど、竹細工の面白さ、不思議さの一つがここにあると言っても過言ではない作業にうつります。

きりふき

この時、竹に無理な力がかかって折れないよう霧吹きでしっかり濡らしながら、かご底の「四辺」となる部分を両手でしっかりめに折り曲げ、くせづけをします。

くせづけ

竹はしなやかなので、多少の折り曲げには強いようで、直角よりも多い「120度くらい」まで曲げたでしょうか。くせをつけました。

くせづけ終了

またこのタイミングで「力竹(ちからだけ)」というかごの強度や突っ張りを強くするための竹を、底の部分にばってんにして挿します。今回の竹カゴは、あまり重いものを入れないという前提なので、後でこの力竹は外しました。

もえさん

丸める

その後、かごの底の四つ角となる場所(起点)から、上にむかって左右の竹ひごを編み込んでいきます。このとき、先ほどの「とめひご」はひごの数に入れないので、注意しながら編みます。このときのポイントは、かごを完成形に近くなるように少し手で力を加え、全体に丸みを帯びさせながら、編んでいくことだそう。

立ち上げ

立ち上げたの時は、ひごとひごの間の四角がひし形のようになったり、広くなったり狭くなっりと大きさや形にに違いが出てきやすくなります。そのため、いつも底の下敷きの通りに編んだ、あの編み目(四角い空間)くらいになるように意識して、立ち上げます。

立ち上げ2

四つ角があるうちの、1つの角を挟んだ左右のひごを編んだら、その対角線上にある反対側の角を起点に編みます。

立ち上げ3

こうして、4つの角で編み終わったら、このような形に。ひごとひごの間の空間が、きれいな四角になるように細かな調節を繰り返し、また次の作業(右利きの人にとって止めやすい縁のとめ方)のために、編み込みすぎた部分をほどいていきます。詳しくは、ばってん(×)になった部分で、必ず右から左上に向かっている竹ひごが常に上になるようにしておきます。

かごのよう

この時点でもうカゴ然としていていい感じですが、ここからが最後の仕上げ「縁どめ」の作業です。

縁の止め方は色々ですが、今回は「共縁」といって編み上げた竹ひごのみを使って、斜めにうまく重ね合わせていって、ひご同士が固定され動かなくなる縁どめの方法を学びます。

ふちどめのまえ

先ほど右から左に向かってぴらぴらと開いている竹ひごを1本右手に持ち、山型に左に曲げながら、左から右へ向いた竹ひご4本の下(★)をくぐらせ、先ほどの「×」部分のすぐ下の四角い穴を含めて6つ目の「穴」めがけて差し込みます。(文章ではなかなかわかりにくいですね。参加された方は備忘録まで)

やんわり縁

これを平行に左側に向かって同じように繰り返していくと、最初はやんわりとした縁ができます。

きつめる

きつめる2

それを今度は「穴」の後ろから竹ひごを引っ張り、徐々に徐々にひご同士を、隙間のないようにしっかり締めでいきます。

未完成

実はこの日「共縁」の工程がうまくいかず、未完成でのお渡しとなってしまいました。参加者のみなさまには、申し訳ございませんでした。この場をお借りしてお詫びいたします。

ともぶち(★)ここが写真では2本になっていますが、実際には4本のひごをとります!

原因は翌日には解決!(★)のところの本数を2本とご案内していたことが原因だとわかりました。すぐに修正して、8/9の室礼でのワークショップでは、みなさんしっかり仕上げることができました!(7日ご参加者の皆様には、後日仕上げの方法を描いたお手紙と完成版の竹カゴを別途三原さんが送ってくださりました)

文字にすると伝わりづらいですが、編みから縁の仕上げまで、みっちりやって3時間ちょっと。過酷な環境ながら、みなさん最後まで一生懸命にかご作りに励んでいらっしゃいました。お疲れ様でした。

もなかアイス

最後に、スパイス研究所のご近所にある「お菓子司 うえき」さんの「もなかアイス(抹茶やイチゴ、小豆、バニラなど)」を食べながら、三原さんより「笑竹堂のこと」「竹の伐採~ひごづくりまで」や「台湾や中国での出張ワークショップの様子」「別府の竹細工のビデオ」を映像で見ながらのお話を伺って、ワークショップは終了となりました。

おはなし2

談笑

印象的だったお話をいくつかご紹介します。

●まず、竹ひごつくりの工程で行う「面取り」という作業について。
ちょうど断面から見ると、台形のようにひごがなっていて、編む時やまた製品になった時も、表面のひごの手触りが角張っていなくて、滑らかになります。一つ一つのひごにそのような加工がされているのかと思うと、気の遠くなるような作業の積み重ねです。職人さんの地道な手作業が、あのやさしいぬくもりある肌触りを生んでいるのだなと納得しました。

あじろあみのカゴ

さらに今回の竹では行っていませんが、「磨き」という竹の表面を削る加工もあるのだとか。これは職人さんのこだわり、あるいは使う人の好みにもよるのだそうですが、この「磨き」を行うと、時間が経つにつれて、竹の色が「飴色」に変化していくのだそうです。その使い込まれた、時を経て醸される美しさは、やはり竹細工ならではの味わいではないかと思います。今度、お店や博物館などで竹細工を眺めることがあるならば、ぜひ表面にも気をつけて見てみるとよいのではないかと思います。

●次に竹製品のメンテナンスについて。
竹は湿気を嫌います。風通しの悪いところ、湿気のたまるところに置いておくと、カビが生えてしまいます。特に今回のカゴはそこまで気を遣わなくてもよいそうですが、流れている空気に触れさせることで、長く使うことができるとおっしゃっていました。竹製品を長持ちさせるには、やはり湿気は禁物だそうです。

●最後に竹林、里山の保全について。
三原さんの住んでいらっしゃる由布市は、竹林も多く周囲は里山なのだそう。その近隣の里山資源を生かしながら、竹細工を生業とされているため、「里山を守る」「持続可能である」ということを、製品作りにおいても生活においても第一に考えていらっしゃいます。特に竹林は全国的にみても、質の高いマダケが手に入る九州にありながら、年々持ち主の高齢化などによって竹林の管理ができなくなってきているとのこと。そこで三原さんは、自分が無償で竹を譲ってもらうかわりに、間伐の作業を行い、竹林を守る活動を続けているのだそうです。三原さんご夫妻の竹細工は、そのような住んでいる里山を守りながらその資源を生かす、土地と暮らしとが直結したものになっています。

三原さんご夫妻 [笑竹堂faceboookより]

そんなお二人は、決して大分に留まるのではなく、様々な場所へ出向いて竹製品を販売したり、各地の職人の元を訪ね技術を学んだり、そしてまた今回のワークショップもそうですが、竹の文化を伝え、身近な里山の保全についても理解を広める精力的な活動をなさっていることに、非常に共感を覚えました。そして最近、今注目の「民泊」ができるよう営業許可をとられたのだそう。今後のお二人のご活躍が楽しみです!

おはなし

この日、ENZA世話人の私・桾沢も一緒にカゴづくりをさせていただきましたが、四つ目編みの途中でひごが折れてしまったり(三原さんご夫妻の息の合った修正に助けられました!)、「立ち上げ」のところも難しかったです。それでも平面からカゴになっていく面白さはなんともいえないものがあり、竹という素材の自由度と機能性に驚きました。そして、三原さんご夫妻のように竹細工の技を過去から継承し、各地域で職人さんたちが地道に守り、頑張っておられることに改めて感動した次第です。

息のあった修正

みなさん、本当に暑い中ありがとうございました!堀田さんはじめ、三条スパイス研究所のスタッフの皆様にもこの場を借りてお礼申し上げます!2日後、ENZA Workshop#004「竹カゴ」は、室礼での開催につづく…。

ENZAスパ研

 

出張商品がもどりました

旧佐藤家の市に参加していた商品が小鍛冶屋二階にもどりました。

まだ明るいけれどほんのり夜の気配が近づいてきた店内。
ふと谷崎潤一郎の「陰(かげ)」の話が頭にのぼりました。

「暗い部屋に住むことを餘儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った」

スリガラスで弱められた光線がきれいで、そんな話も理解できそうでした。
モノも不思議なぐらい陰影を帯びておとなびて見えます。

そんなこんなで元通り、「室礼」では光も陰もあるモノ達がまだ見ぬお客様をお待ちしております。
本日よりまた宜しくお願いします!








Posted on 2014-06-22 | Posted in お知らせ, 吉田明さんのやきものNo Comments »

 

陶芸家・吉田明さんのやきものを販売

十代の若きより陶芸に励み、朝鮮古陶・古窯を研究しながら「その場所の土」にこだわり、独自のスタイルで「やきもの」の初源を見つめてきた吉田明氏。大地の芸術祭への参加を機に十日町で陶土、釉石を見出し「妻有焼」を生み出しました。近年惜しくも急逝なさった吉田さんの数多い作品から、吉田さんの奥様の御厚意でKOKAJIYA2階「室礼」に数点を選んで置かせてもらっています。

独特の深さを湛えたやきものの肌を是非味わっていただければと思います。
どれも見飽きず、使う毎に愛着が沸く品々です。
お手に取っていただき、購入することが出来ます。

品目
1:焼締ぐいのみ(七輪陶芸)
2:ぐいのみ
3:白磁ぐいのみ
4:粉引あこだ花生
5:赤絵椿文皿
6:刷毛目鉄絵ぐいのみ



焼締ぐいのみ(七輪陶芸)
小ぶりな焼締茶碗です。外側は荒く岩のような表情をしています。多少口が窄まり、奥が広く、底がまるくなっています。覗き込むと月面のような不思議な世界となります。



ぐいのみ
「ぐいのみ」の品名でお預かりしてきましたが、小皿としても良いかもしれません。技術がありながら自然に身を託している吉田さんの姿勢が見える、美しい肌の一品です。



白磁ぐいのみ
釉薬の掛かり方がおとなしくもなくあばれてもいなく、薄い青が多様で目に楽しい一品です。内部に灰が降って小イボが出来た為、使う人は選ぶだろうと言われてお預かりしてきましたが、そこもまた魅力です。



粉引あこだ花生
「あこだ(阿古陀)」とはかぼちゃの一種のことだそうで、穏やかなふくらみとゆがみのあるいれものです。通常は焼成後にグラインダーなどで取り外す「台座」が付いています。それがあることで、立ち姿に良い影響を与えているように見えたのでそのままお預かりしてきました。吉田さんの奥さんは「徳利にしてもいいんじゃない?」とのこと。



赤絵椿文皿
「魯山人の写しをやってみた」品、とのことでしたが、却って勢いのある刷毛の気持ちよさがある、吉田さんらしいものになっている気がします。吉田さんの器は飾られることよりも「用いる」事を念頭に、色彩は抑えめにしてありますが散らしてある小さな金が綺麗です。




刷毛目鉄絵ぐいのみ
ぐるぐると刷毛目が勢いよく巻いている、小さなぐいのみです。鉄絵の「ツ」の文字が何を意味しているのか、聞きそびれてしまいました。「旋風(ツムジ)」の「ツ」でしょうか。

 

吉田明(よしだあきら)プロフィール

1948 (昭和23)東京都青海市に生まれる。
1962 中学の授業で経験したやきものが高じて、独学で窯をつくる。
1965 ロクロの基礎を江崎一生氏に学ぶ。
1972 八王子市美山町御屋敷に客窯を築き、地元の土に取り組み始める。
1973 佐賀県有田町の大山窯にて陶器の製作始動をしながら磁器を学ぶ。唐津、伊万里の古窯跡発掘。
1974 八王子の土をテーマに第一回個展。
1981 本格的に茶陶に取り組む。新宿・柿傅ギャラリーにて茶陶展。(以後、毎年開催)
1994 青梅市沢井に青梅窯を開窯。
1995 青梅市梅郷にギャラリーと自らの器で食を楽しむ酒処「すいとん屋」を開く。
1997 青梅市柚木町にギャラリー「やきものショップ陶」を開く。
1998 東京都西多摩郡日の出町大久野に日の出窯を開窯。
1999 日の出窯工房に朝鮮式割竹登窯を築窯。
2004 ニューヨークで茶陶展。
2005 新潟県十日町市「大地の芸術祭」参加。作品準備のため、妻有の土を調査、松代・海老集落に粘土層を発見。各所で原土を採取し、「妻有焼」にむけ研究・焼成テストを重ねる。
2007 イギリスで開催された「第11回国際陶芸フェスティバル」に招待。
2008 「妻有焼」で地域振興をめざし、旧野中小学校に登窯と窖窯を設計、築窯。「妻有焼陶芸センター」開設に尽力する。
同年12月5日、60歳で急逝。

協力:ギャラリーやきもの語り吉田明記念館

Posted on 2014-06-18 | Posted in お知らせ, 吉田明さんのやきものNo Comments »