2014-03

『角海浜物語』×『阿賀に生きる』いろり座談会&上映会開催!

春の陽気を感じる日が増え、岩室周辺の桜もすこし紅く膨らんできたように感じます。
来月、4月27日(日)のイベントが決まりました。

阿賀に生きるスチール

シツライひとひら presents <いろり座談会+16mmフィルム上映会>
『角海浜物語』×『阿賀に生きる』—自分を含めた世界の出来事—
です。

「ひとひらvol.02」号で『角海浜』についてインタビューをした斎藤文夫さんと、ドキュメンタリー映画『阿賀に生きる』(1992年、佐藤真監督)の製作に関わったみなさんを交え、座談会を開催します。同日の午前中には『阿賀に生きる』の16mmフィルムによる上映会もおこないます。20年以上経ってもなお輝きを放っている映画。その撮影をされた小林茂さんご本人によるフィルム上映は、またとない体験になることと思います。鑑賞は無料ですが、上映終了時に「カンパ」をお願いしたいと思います。また座談会の内容は、次号「ひとひら」に掲載予定です。

ぜひお誘い合わせのうえ、ご参加ください。

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角海浜物語

「シツライ ひとひら」presents <いろり座談会+16mmフィルム上映会>
『角海浜物語』×『阿賀に生きる』横断トーク
〜自分を含めた世界の出来事〜

ここから先は自分には関係のないこと、と線を引き、区別すること。
そこに人がいる、という想像力を消すこと。
それが、この国の経済の発展を支えた一つの方法だったのではないか。

一方で、「私が病気になったおかげで、あなたたちみんなが病気にならなくてよかった」
そう言って死んでいった人がいる。
自分の周りの人と自然に愛着を持ち続け、分ちがたく生活してきた人々がいる。

そこで生きる人々は、「豊かな」暮らしを望まなかった。
「これでいい」と多くを望まず生きることができた。

人が生活の糧としている川に有機水銀を流すこと。
人が棲む場所に原子力発電所を建てるということ。

それらを自分を含めた世界の出来事として受け止め、生きた人たち。
彼らと出会い、座談者たちは何を感じ、得たのか。
一緒になって考えてみたい。

阿賀に生きるスチール

<日時>
2014年4月27日(日)
10:00~12:00
第一部 映画『阿賀に生きる』(1992年、佐藤真監督)16mmフィルム上映会
(会場:新潟市岩室観光施設いわむろや内「伝統文化伝承館」

14:00~17:00
第二部 いろり座談会 『角海浜物語』×『阿賀に生きる』横断トーク
(会場:福井旧庄屋佐藤家

<座談者>
斎藤文夫(郷土研究家、写真家、福井旧庄屋佐藤家・囲炉裏の火焚きじいさん)
大熊孝(新潟大学名誉教授、『阿賀に生きる』製作委員会代表)
小林茂(映画監督、『阿賀に生きる』カメラマン)
旗野秀人(『阿賀に生きる』製作発起人、冥土のみやげ企画、新潟水俣病安田患者の会事務局)
村井勇(アトリエラボン、『阿賀に生きる』スチール)

●聞き手 桾沢厚子(岩室温泉KOKAJIYA2F「室礼」)

<会場>
・新潟市岩室観光施設いわむろや内「伝統文化伝承館」(新潟市西蒲区岩室温泉96-1
・福井旧庄屋佐藤家(新潟市西蒲区福井2908
※各々駐車場あり

<参加料>
第一部 上映会…鑑賞無料(カンパをお願いいたします)
第二部 座談会…500円(お茶、資料代)

<企画>
ブリコール(桾沢和典・厚子)

<協力>
太秦株式会社、NPO法人福井旧佐藤家保存会、NPO法人いわむろや、灯りの食邸KOKAJIYA

<お問い合わせ>
●メール:info@bricole.jp
●電話:080-4051-1211
●FAX:0256-78-8781
申し込みは不要ですが、当日は先着順によるご案内となります。予め席を確保されたい方は、上記のいずれかから、「1)参加者名、参加人数 2)連絡先電話番号」をお知らせ下さい。第一部と第二部、どちらか一方のみのご参加も歓迎いたします。
担当:ブリコール・桾沢(ぐみざわ)

<座談者プロフィール>
●斎藤文夫(さいとうふみお)
1933年新潟市西蒲区(旧巻町)福井生まれ。写真家、郷土研究家。「のぞきからくり」活用普及委員。NPO福井旧庄屋佐藤家保存会理事。元巻郷土資料館長の石山与五栄門氏や写真家・熊谷元一氏との出会いによって、郷土の風景、暮らし、人々の営みなどドキュメント志向の写真を撮り続ける。地域資源の発掘や文化・研究活動の傍ら、写真集も出版。1999年より旧庄屋佐藤家の保存活用を始め、現在も囲炉裏の火を守り続ける。

●大熊孝(おおくまたかし)
1942年台北生まれ。千葉育ち、新潟市在住。東大工学部土木卒、工学博士、新潟大学名誉教授、NPO法人新潟水辺の会代表。専門は河川工学、土木史。自然と人の関係がどうあればいいかを、川を通して研究しており、川の自然環境を守るとともに、治水・利水のあり方を住民の立場を尊重しながら考察している。主な著書に『洪水と治水の河川史』、『川がつくった川・人がつくった川』など。映画『阿賀に生きる』製作実行委員会代表。

●小林茂(こばやししげる)
1954年新潟県生まれ。ドキュメンタリー映画監督、カメラマン。『阿賀に生きる』の撮影により日本映画撮影監督協会第1回JSC賞受賞。主な監督作品に、札幌の学童保育所を舞台にした『こどものそら』、びわこ学園を舞台に重症心身障がい者の心象を描いた『わたしの季節』、アフリカのストリートチルドレンの思春期を描いた『チョコラ!』など。現在、人工透析をしながら豪雪地域の十日町市や津南町などを舞台に『風の波紋』を撮影中。

●旗野秀人(はたのひでと)
1950年新潟県阿賀野市(旧安田町)生まれ。家業の大工を継ぎ、現在、旗野住研専務。新潟水俣病問題で新潟水俣病安田患者の会事務局を務める。映画監督の佐藤真氏をくどき落とし、映画『阿賀に生きる』を誕生させた仕掛け人。また「阿賀に生きるファン倶楽部」や「冥土のみやげ企画」を主宰し、芝居や映画上映、温泉旅行の企画など、被害者の支援にとどまらない、多彩な地域文化運動のけん引役としても知られる。

●村井勇(むらいいさむ)
1961年東京生まれ。新潟市在住。アトリエラボン代表。フリーカメラマン。日本縦断徒歩旅行の途中で新潟に立ち寄り、その際『阿賀に生きる』にスチール担当として参画。1993年長野県南佐久郡にて映画『地域をつむぐ―佐久総合病院付属小海町診療所から』に撮影助手として参加。その後、単独で南佐久のお年寄りの姿を撮影し続け、初個展を新潟、長野、神戸、京都で巡回開催。以後個展多数。新潟日報「assh」の表紙写真を担当。

<座談会開催について>
今年に入って『阿賀に生きる』の映像を観る機会がありました。阿賀の村々や老人たちの生きる姿に「美しい、これこそ新潟の宝だな」と思う気持ちと、「自分もこんな老人たちのようにいつか達観して生きられる日がくるのだろうか?今は時代が違うから無理なのだろうか?」「うらやましい」と思う気持ち、また佐藤真監督はじめ、『阿賀に生きる』を制作した人々へ向かって、「なぜこんな素晴らしい映画が撮れたのだろう、なぜ残そうとしたのか」ということを知りたいという興味がふつふつと湧いて出てきました。そうした感覚の余韻のうちに、過疎に消えた村「角海浜」を記録した斎藤さんへのインタビューに臨みました。すると斎藤さんのお話の端々で、『阿賀に生きる』の映像でみた老人たちがフラッシュバックしてきました。また斎藤さんへのインタビューは、岩室温泉の古民家KOKAJIYA2F「室礼」で発行しているフリーペーパー「ひとひら」vol.2号に、記事として掲載しました。(「斎藤文夫さんに聞く、角海浜」)それを読んだ大熊さんと旗野さんから「『阿賀に生きる』に出てくる老人たちと角海浜の人々が重なって見えた」と、ほぼ同じ内容の感想をいただきました。「角海浜」と「阿賀」。この海の村(角海浜)と山や川筋の村(阿賀)には少なからず共通点があり、またそれぞれの村に関わった人々のあいだにも、そこに惹きつけられた共通した理由があるのではないか、それは何なのだろうという問いから、この座談会を企画しました。その問いは今の時代に不可欠な答えに繋がっていると思うのです。座談会の内容は、「ひとひら」次号にまとめる予定です。

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チラシデータ(A4縦片面用)
チラシデータ(A4横両面用おもて)
チラシデータ(A4横両面用うら)

 

土着ワークショップvol.2「流しびなづくり」レポート<後半>

「流しびなづくり」は、前半の「桟俵」づくりを終え、紙と布による「ひな人形」づくりの行程へ。

【下準備】男雛・女雛の頭部分を紙粘土(軽いタイプ)と白い水引で、また着物の型紙を画用紙で作る。

かお

【10】まずは着物の布選び。小さいながら味わいを出すために、古裂(こぎれ)や端切れを使います。

古裂

様々な布を用意し、男雛・女雛の好きな組み合わせを選びました。

選ぶ

【11】画用紙に沿って古裂を大きめに切り、ボンドで貼って着物部分を再現。和紙の金紙で帯や袴も同様につくっておく。首を差し込む穴を忘れずに。

人形01

人形02

もくもくと

細かな作業を、みなさん無心に進めます。

【12】ボンドが乾くまでの間に、顔部分に目や口などを書き入れる。(顔を書き入れる作業は、着物に顔を固定する前の方が書きやすいとのことで、次回からそうします!)

顔さがし

顔は様々な地方の人形や郷土玩具の「お雛様」の表情を参考に決めました。

顔付け

【13】穴に首をさしてテープで固定し、帯や袴をつける。これで「ひな人形」の完成です。

続いて、飾り部分。

【14】桃の花に、日本古来の伝統の包み方「折形(おりかた)」(※)の花包みを施す。今回は、初めての挑戦ということで、山折り、谷折りのガイドをつけて折ってみました。桃の節句を意識して、2色(白、ピンク)の和紙を重ねました。

(※)折形・・・贈り物を和紙で包んだり、儀式などに用いる飾りの紙を折る礼法。鎌倉〜室町時代に生まれ、武家の礼法の中で発展。江戸時代に庶民へも広まり、戦前までは定着していた。相手を思い、敬う気持ちを基盤とする礼のこころを表現し、人間関係を円滑にするための知恵。ものをむき出しにすることを嫌う日本人特有の美しい感性や、四季の移ろいを繊細に表現する。

おりかた

【15】いよいよ「ひな人形」を「桟俵」にバランス良く置き、平たい竹ひごで固定。そこへ桃の花や菜の花を添え、室礼特製のお札を挟んで「流しびな」の完成です。

完成品

最後に完成した「流しびな」を持って、記念撮影!(残念ながら時間の関係で全員での撮影が叶わず…)
記念撮影

そしてお楽しみ、一仕事を終えた後のお茶菓子タイム。KOKAJIYAオリジナルの陶の器に素敵に盛られたスイーツは春を感じる取り合わせ。

おかし

「平飼い卵と桃のふわり巻き」と「桜と苺のトリュフ」。DAIDOCOの山倉あゆみさん作です。

いただきます

おいしそう

できたての「流しびな」を眺めながら、本当に美味しくいただきました。

3時間にわたる盛り沢山なワークショップとなりましたが、充実した、世界でひとつだけの思いを込めた「流しびな」ができて参加者の方も満足そうでした。ご参加いただき、本当にありがとうございました。

つくりました

今回は流さない、飾るための「流しびな」をつくりましたが、来年は、岩室からすぐ近くのホタルで有名な矢垂川(やたれがわ)に流してみたいと思っています。風情ある、地域の人々の心に残る光景を、再びこの場所から作れたら…そんな夢を描いています。

最後までレポートを読んでいただき、ありがとうございます。次回の土着ワークショップはまだ未定ですが、決まり次第ご案内します。興味を持って下さった方、ぜひ今後HPなどをチェックしてみてください。

まねきねこ

 

土着ワークショップvol.2「流しびなづくり」レポート<前半>

今年初の土着ワークショップは、「流しびなづくり」。
春の足音も少しずつ聞こえてきた3/1の午後、ほんのり日の射す「室礼」で和やかにスタートしました。

レポート<前半>では、初心者では1時間半程かかる「桟俵(さんだわら)」づくりをお伝えします。

スタート

桟俵の説明

はじめに、講師の黒崎民具保存会会長・山際辰夫さんによる「桟俵」についてのお話。
新潟では米俵の側面に使うのが主で、「棧俵」という同じ漢字でも、「さんばいし」という呼び名の方が馴染み深いのだとか。

余談ですが、新潟市江南区(旧横越町)木津に「棧俵(さんばいし)神楽」というお神楽がありますが、まさにこの「棧俵」2つで大きな口をつくり、目には茄子を、鼻はカボチャ、歯は竹を割って金紙を貼り付け、熊稗(くまびえ)を髪にして手作りするそうです。昔、木津は水害が多く、農家の暮らしも苦しくて、大神楽を買えなかった若者達が知恵を絞り手作りの神楽を賀茂神社に奉納したのが始まりだそう。祭りが終わると近くの小阿賀野川に流すとのこと。不思議とこれも「流す」んですね。

「流しびな」は、上巳(じょうし)の節供の日、災厄を身代わりである「人形(ひとかた)」に乗せて海や川に流すという「ひな祭り」の源流にあるとされる風習です。
「流しびな」ではその人形(紙のお雛様)を乗せる船として「桟俵」を使います。かつては新潟でも行われていたそうで、山際さんも小さい頃、中之口川で流すのを見た記憶があるとおっしゃっていました。

かつての形とは異なると思いますが、今回、鳥取市用瀬(もちがせ)町の県無形民俗文化財「用瀬の流し雛」を参考に、室礼オリジナルで「流しびな」づくりを企画しました。

【下準備】材料に使うワラは、「夏井のはさ木」で有名な西蒲区夏井で昨年はさがけした稲ワラ。農家さんに分けていただき、山際さんにお願いして、それらを圧力器にかけ、柔らかくしておきました。

夏井のはさがけ

【1】稲ワラをすぐる。芯のしっかりしたワラを選び、ぼそぼそとはがれやすい部分をはがしていく。
わらを選ぶ

【2】すぐったワラを直径3~4cm程度の束にして、下(刈り取った部分)をそろえる。(ワラをたくさん使うと分厚い桟俵になり、少ないと隙間のある軽い桟俵になります)

【3】下から22cmのところを、麻紐でできる限りきつく縛る。(この部分が桟俵の中心になる)

【4】縛った中心から、また22cm上のところで、ワラを切る。

広げる01

ひろげるUP

押さえる

【5】中心をしっかり握りながら、放射線状に上下のワラを広げる。片方ができたら、地面などに抑えつけながらもう片方を広げる。均一に広げることで、きれいなバランスのいい俵の側面ができます。

ひろげる続き

【6】山際さん直伝の「桟俵編み器」(※)に広げたワラを固定。中心にねじ釘(内装ビス)をさし、道具に据え、2つの円盤で挟んで固定します。2つの円盤の大きいほう(奥)の直径が、完成品の直径。今回は20cmとしました。小さいほうの円盤(手前)の直径が18cm程度です。

編み器
(※)この道具は山際さんが、小さい桟俵を作り易いようにと考案されたもの。本来は、古い畳などと円盤(石臼)で藁を挟み、作り手が足でのったり、石臼の重みで固定しながら、編みます。

あみ01

あみ02

おさえ01

円盤固定

【7】最初に最上部の5,6本のワラ束を2つ(左からA、B)手に取り、2回左回りに交差させたあと、ワラ束(A)を右へ曲げる。次に右側に新たな5,6本のワラ束(C)をつくって、先ほど右側に残っていたワラ束(B)と今度は1回のみ交差させ、(B)を右へ曲げる。この作業を円盤の縁になるべく線が揃うように繰り返していき、最初の地点まで戻ります。
はさがけした稲わらの場合、乾燥が強いため、ワラが途中で切れないよう霧吹きで水分を含ませながら編み作業をするのがポイント。

見本をみる

あみこみ

あみ進め

【8】最後のワラ束と、最初のワラ束(A)を紐を使って結び、きつく固定。

こてい01

こてい02

大枠完成

【9】はみ出たワラ束の先を内側に挟み込んでいき、糸でかがって固定。飛び出たワラ屑などは、はさみで切り整える。これで「桟俵」の完成です。

かがる

完成後、山際さんから参加者のみなさんへのプレゼント!山際さんお手製の「草箒」をいただきました。
ほうき

思わぬお土産を受け取り、嬉しそうなみなさん。山際さんとはここでお別れです。どうもありがとうございました!!そして、後半の「ひな人形」づくりへと続きます。