2014-12
土着ワークショップvol.7 竹細工・煮ざるづくり レポート
2014年を締めくくる土着ワークショップは、「竹細工・煮ざる」づくり。12月7日、午前中の干し柿づくり<後編>に続き、KOKAJIYA2F室礼にて開催しました。
まずは、参加者のみなさんの嬉しそうな集合写真から。前日の大雪で足下の悪い中、柏崎、長岡、田上町からもご参加いただき、嬉しいかぎりです。
竹細工は身近にやる機会がなく、主催者の私(桾沢)もこの日の1週間前に、講師の阿部晋哉さんから教えていただき、初めて竹ひごを編みました。そんな初心者でもできるものとして選んだのは「煮ざる」。
今では家庭であまり見られませんが、お魚やお餅などを煮る際の、煮崩れやお鍋へのくっつき防止のために使われる実用品です。私も『日本のかご』(とんぼの本/新潮社)という本を見るまでは、全くその存在を知らなかったのですが、きれいな六角形の編み目が美しく、かべ飾りのようにも見えました。ぜひ作ってみたいと思い、KOKAJIYAからもほど近い西蒲区和納在住の竹職人・阿部さんと出会い、ワークショップ開催にいたりました。
さっそく「煮ざる」づくりをレポートしていきます。今回使用したのは、日本一の竹製品生産地、大分県別府産の真竹(マダケ)です。
予め阿部さんには、細くひご状に加工したものをご用意いただきました。竹細工は、編む前のひごにするまでが大変なのだとか。厚みや幅を一定にするひごづくりは難しいため、初心者でもできる基本の編み方「六つ目編み」を学びます。
最初に阿部さんの自己紹介(プロフィールはこちら)につづき、竹のお話。マダケという一般的な竹の種類で、11~12月に採り、苛性ソーダで漂白をして1ヶ月干したものを使っているそうです。マダケは新潟でも採れ、佐渡も竹細工で有名ですが、別府のものと比較すると少し堅いそうです。今回の「煮ざる」には、柔らかいものが向いているということで、別府の竹を使いました。一人ずつ配られたのは、24本の竹ひごと六つ目編みをきれいに編むための阿部さんお手製ガイドボード。以下、右綾バージョンの六つ目編みの紹介です。
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①ボードの真ん中で、最初に4本のひごで写真のように菱形をつくる。
②菱形の上側に5本目を自分に対し平行に、右斜め上向きの竹ひご2本の下にはさみ、5本目のひごの上にできた三角形をつくる2辺のひごの上下を入れ替える。
③この時、真ん中にきれいな正六角形をつくるように竹ひごの位置を調節する。
④菱形の下側に6本目を同じく自分に対し平行に、右斜め上向きの竹ひご2本の下にはさむ。6本目のひごの下にできた三角形をつくる2辺のひごの上下を入れ替える。これでまず最初の六角形ができます。
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参加者のみなさんのペースを考え、少しずつ区切って作業を進めていきます。
竹には節がありますが、その節も模様のうちということで、なるべく真ん中に節を集めます。
ボードの線を意識すると、きれいな正六角形が作れます。
ここまでできたら、次の6本を編み込んでいきます。まずは先生の見本から。
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⑤時折、竹同士が滑ったりしないように、霧吹きなどでお水をかけます。7本目は、右斜め上向きの竹ひごのうち、たて軸中心に近い方から2本持ち上げ、その下に自分と平行に挟みます。
⑥7本目の上部に三角形の隙間ができたことを確認したら、今度は、その三角形をつくる上2辺にあたるひごを交差させ、上下を逆転します。
⑦続いて、ボードごとひごを60度右に回転させ、7本目同様、8本目を自分と平行に挟んでいきます。そして、8本目のひごの上部にできた三角形のうち、上2辺を交差させます。
この作業を繰り返していくことで、上下のひごを交差させる回数が徐々に増えていきますが、6本ずつを一周として、編み込んでいきます。
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参加者のみなさん、最初はなかなか手こずっていらっしゃいましたが、阿部さんに一人ずつ見ていただきながら、少しずつ進めます。時折、お隣の方に聞きつつ、和気あいあいと作業をなさっていました。
途中、竹細工を編む手の動きが面白いなとみなさんの手を眺めていました。
というのも、竹は弾力があるので、竹からの反発力を感じつつ交差させたり、六角形を綺麗に保つためにひごを押さえたりと、けっこう作業中は神経を使うのです。その緊張感のようなものが伝わってきて、竹細工の面白さの一端に触れたような気がしました。
そして集中するみなさんの傍らでは、子どもたちが楽しそうに、灰いじりをする光景が…。土着ワークショップをきっかけに子どもたちもお友達になりました。
編み込み作業も佳境を迎え、いよいよきれいな編み模様が形になってきました。
竹の素のままの美しさがよくわかるこの編み模様。光に当たるととてもきれいです。
こうしてボードの上でみても編み目が揃っています。
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続いて、仕上げ作業へ。トウ(籐)で端っこのひごを8本ずつ結びます。この時、煮ざるが鍋の内側などにフィットしやすいよう、竹ひごに力を加え、カーブをつくります。たくさん湿らすと曲げ易いです。
お腹に煮ざるをあてて、裏から結び目を作りたい部分をつまみながら、トウを巻き付け固く結びます。
トウにも節があるので、節部分を避けながら結びます。
みなさん、最後の仕上げまで真剣です。
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そしていよいよ、完成!!ここまでお話も含め2時間半ほどでしょうか。なんとか形にできました。続いてお楽しみにとっておいた、作業後のデザートの時間。一足早く味見ができるということで、今年できたての「DAIDOCOシュト―レン」(今年の予約受付は終了しています)をいただきました。
毎度ながらDAIDOCOのシュト―レンは本当に絶品!完成した煮ざるにのっけている方も。
こうして、おいしい&うれしい初開催の土着ワークショップ「竹細工・煮ざるづくり」は、終了いたしました。参加者全員が「煮ざる」を形にすることができ、主催者としては正直ほっとしています。みなさま、ありがとうございました!!
今回、参加したくて叶わなかった方も、またぜひやりたいと思います。ぜひホームページなどでチェックしてみてください。
土着ワークショップvol.6 干し柿づくり <後編>レポート
大変な初雪に見舞われた翌日の12/7、なんとか雪もおさまり、予定通り「干し柿づくり<後編>手揉み作業」をおこなうことができました。そのもようをレポートします。
干し柿づくり<前編>レポートはこちら。
今年は「いわむろや」と「KOKAJIYA」の2箇所で、軒下に干した柿。11/3に干して4週間あまり経ち、いったん干場からおろします。
こちらはいわむろやの軒下からおろした柿。
干したときはこんな橙色でしたが、茶色味を帯び、小さくなって旨味が凝縮しています。
心配していたカラスに食べられるなどの問題はほとんどなく、いい具合にできていました。
さっそく、干し柿クリップを取り外し、白い粉付きの甘い干し柿にするため、1個1個手揉みをし、冷たい空気にさらしていきます。
講師の高塚さんのお話では、柿の表面が固くなっているので、素手で触っても問題ないとこのこと。中は水分を含んでまだとろーりと柔らかい状態のせいか、触り心地がとてもよいです。
子どもも興味を持ったようで、一緒に「もみもみ」をやってくれました。
中には、カビが生えてしまった干し柿もありました。カビの部分が小さければ、そこを削り再び熱湯に浸け、もう一度干せば、食べられると知り、丁寧にカビを除いて、改めて干すことに…。無駄にしない、その工夫も大事ですね。
白い粉は「果粉」と呼ばれ、柿の糖分が結晶化して、外に表出してきたものだそう。温度が高かったり、水分(湿気)がたまると、カビが生えてしまうので、干し方にも注意を払います。昔は乾いた藁(ワラ)を敷いて、その中に干し柿を置いて冷暗所で保管したとも聞きます。今回は、小鍛冶屋にあったお盆やお膳の上にキッチンペーパーを敷いた上に並べ、冷所に保管します。
干し柿の熟成した色合いがなんとも言えず、美しいです。
保管場所に選んだのはKOKAJIYAの階段。庭に面した廊下に接していて、適度に空気の流れがあり、温度も低い場所です。
たまにチェックをしながら、ひっくり返すという方法をとります。さて、仕上がりがどんなふうになるか、今からドキドキです。
こちらは、参加者のお一人が持ってきてくださったご自宅の干し柿。11/3の<前編>で配布した同じ柿でしたが、こちらの方が乾燥具合が強く、かための干し柿になっていました。やはり、干し場所で全然違うものができるということを確認しました!
参加者のみなさんには、干し柿が完成次第、KOKAJIYAまで取りに来ていただきたいと思います。後日、お渡し日を電話にてご連絡しますので、お楽しみになさっていてください!!
完成した干し柿についてはこちらへ。
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「土着ワークショップvol.06 干し柿づくり」は、新潟市シティプロモーション認定事業
『にいがたアグリピクニック』(事業者:foodrop)のプログラムです。
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土着ワークショップvol.6 干し柿づくり <前編>レポート
秋深まる11月3日、「土着ワークショップvol.6 干し柿づくり」の前編、柿干し作業を行いました。今回は室礼を飛び出し、「いわむろや」さんでの開催。昨年初めてKOKAJIYAの軒下で干し柿をやってみて、とても美味しくできたので、今年は場所を2箇所でやってみることに。
使用した渋柿は、西蒲区巻の柿団地で柿農家をやっていらっしゃる長津さんの柿。たくさんの柿ネックレスを作りたかったので、味に何ら影響もない、市場には出せないものも含め、約300個(50kg!)もご提供いただきました!市場に出ないとはいえ、立派な柿たち!
KOKAJIYAスタッフでもある吉岡ちえみさんのご紹介で、こんなに沢山の柿を提供いただいたのですが、柿団地近くの越前浜に住む吉岡さんは、今年初めて柿収穫のお手伝いをしたそうです。通称「柿ガール」と呼ばれる柿農家のお嫁さんやお手伝いをされるみなさんが、お揃いのTシャツを着て、柿もぎをしたり、共通の趣味であるトレイル・ランニングの際に角田山麓の柿をPRなさっているのだとか。とてもユニークな活動だなと思います。メンバーも募集中とのこと。ご協力に感謝です!!
講師にお願いしたのは、今年も秋葉区・タカツカ農園の高塚俊郎さんです。さすが!の手際の良さで、干し場の準備を一緒にやって下さいました。
全員が集まり、干し柿についてのお話からスタート。柿の種類(今回は平核無(ひらたねなし)という品種)が千種もあること、「八珍(はっちん)柿」の原木が新津にあること、また「なぜ渋柿は、干すと甘くなるのか?」、「ごまの正体は?」といったお話まで伺いました。
お話の間、タカツカ農園の看板柿「はっちん柿」、「ごまはっちん柿」(柿が苦手な方も食べやすい!)を「いわむろや」で販売されている柿の葉茶とともに試食。とっても美味しかったです!秋の味覚を満喫したところで、さっそく皮むき作業へ。
お好みですが、今回はおしり側から剥いていきます。
最後にヘタの部分を綺麗に四角くなるよう切っていき、余分な部分を除きます。
この皮むき作業、とても地味ですが、大人数でおしゃべりしながらやると案外楽しいです。
そして次々と綺麗に剥かれた柿が並ぶと、なんとも言えないかわいさ、「実り」へのありがたい気持ちがこみ上げます。
また事前に高塚さんが3週間程度干した干し柿を見本に、手揉み作業のコツも教わりました。
この手揉み作業は、干し柿の中から糖分を染み出させる(果粉と呼ばれる白い粉=糖分の結晶を出す)ために大切な作業とのこと。
みなさんが作業している間に、夏井の農家・山上さんが様子を見に来られ、ワンポイントアドバイスとともに、差し入れにご自宅でとれた柿をいただきました!
せっかくなので、柿を並べてみました。上が今回の柿、左がタカツカ農園の柿(大玉!)、一番右が山上さん宅の柿です。どれも美味しそう...
続いての作業は、熱湯での加熱消毒。10秒程度熱湯にくぐらせるだけで、カビが生えるのを防止してくれるそうです。あまり浸けすぎると柔らかくなってしまい、干しにくいので注意!
湯にくぐらせた柿は、すぐに干し場へ持っていきます。
柿農家さんのやり方を真似て「柿クリップ」と呼ばれる、便利で何年も使える市販のクリップに柿のヘタの下の部分をひっかけていきます。これがとても簡単で、柿の表面に紐などが当たって傷つかず、きれいな干し柿に仕上がるのだそうです。
柿のオレンジが、クリスマス飾りのようでとても楽しい作業です!
熱湯消毒をしたお鍋のお湯は、柿を浸けただけなのに、こんなに茶色になっていました!柿渋の色のよう。次回は、柿渋づくりにも挑戦したいなという気持ちがふつふつと湧いてきました。
無事に作業を終え、お楽しみの「まかないランチ」タイムです。
KOKJIYAの熊倉シェフこだわりの、“柿”と“牡蠣”と“かきのもと”をかけた言葉遊びランチ。
・牡蠣の時雨煮とからすみの出汁茶漬け
・かきのもとのおひたし
・シオコッティ(KOKAJIYA汐見シェフによる特製ビスコッティ)
・大学いも
・柿の葉茶
という“かき”づくしメニューでした。子どもたちも美味しく分け合って食べていました。
こうして「いわむろや」の軒下に初めて完成した柿ネックレス。
わずかではありますが、微笑ましい晩秋の風景がつくれたかなと思います。参加者のみなさま、ありがとうございました!!そして、沢山の皮むき作業、お疲れ様でした。
<後編>の手揉み作業は12/7(日)の午前中にKOKAJIYA2F室礼にて行います。
→後編のレポートはこちらにアップしました。
<ワークショップのその後・・・>
ワークショップ終了後、今年もKOKAJIYAの軒下に干し柿をぶら下げました。やっぱりこの風景、絵になります。
KOKAJIYAのスタッフやシェフも仲間入りして、なんだか楽しそう。
こうして今年も無事、柿ネックレスができました。あとは、秋から冬にかけて吹く冷たい風や岩室の空気に任せるだけ。
きっと今年の干し柿もうまくいくような気がしています。どうぞお楽しみに!!
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「土着ワークショップvol.06 干し柿づくり」は、新潟市シティプロモーション認定事業
『にいがたアグリピクニック』(事業者:foodrop)のプログラムです。
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