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土着ワークショップvol.2「流しびなづくり」レポート<前半>

今年初の土着ワークショップは、「流しびなづくり」。
春の足音も少しずつ聞こえてきた3/1の午後、ほんのり日の射す「室礼」で和やかにスタートしました。

レポート<前半>では、初心者では1時間半程かかる「桟俵(さんだわら)」づくりをお伝えします。

スタート

桟俵の説明

はじめに、講師の黒崎民具保存会会長・山際辰夫さんによる「桟俵」についてのお話。
新潟では米俵の側面に使うのが主で、「棧俵」という同じ漢字でも、「さんばいし」という呼び名の方が馴染み深いのだとか。

余談ですが、新潟市江南区(旧横越町)木津に「棧俵(さんばいし)神楽」というお神楽がありますが、まさにこの「棧俵」2つで大きな口をつくり、目には茄子を、鼻はカボチャ、歯は竹を割って金紙を貼り付け、熊稗(くまびえ)を髪にして手作りするそうです。昔、木津は水害が多く、農家の暮らしも苦しくて、大神楽を買えなかった若者達が知恵を絞り手作りの神楽を賀茂神社に奉納したのが始まりだそう。祭りが終わると近くの小阿賀野川に流すとのこと。不思議とこれも「流す」んですね。

「流しびな」は、上巳(じょうし)の節供の日、災厄を身代わりである「人形(ひとかた)」に乗せて海や川に流すという「ひな祭り」の源流にあるとされる風習です。
「流しびな」ではその人形(紙のお雛様)を乗せる船として「桟俵」を使います。かつては新潟でも行われていたそうで、山際さんも小さい頃、中之口川で流すのを見た記憶があるとおっしゃっていました。

かつての形とは異なると思いますが、今回、鳥取市用瀬(もちがせ)町の県無形民俗文化財「用瀬の流し雛」を参考に、室礼オリジナルで「流しびな」づくりを企画しました。

【下準備】材料に使うワラは、「夏井のはさ木」で有名な西蒲区夏井で昨年はさがけした稲ワラ。農家さんに分けていただき、山際さんにお願いして、それらを圧力器にかけ、柔らかくしておきました。

夏井のはさがけ

【1】稲ワラをすぐる。芯のしっかりしたワラを選び、ぼそぼそとはがれやすい部分をはがしていく。
わらを選ぶ

【2】すぐったワラを直径3~4cm程度の束にして、下(刈り取った部分)をそろえる。(ワラをたくさん使うと分厚い桟俵になり、少ないと隙間のある軽い桟俵になります)

【3】下から22cmのところを、麻紐でできる限りきつく縛る。(この部分が桟俵の中心になる)

【4】縛った中心から、また22cm上のところで、ワラを切る。

広げる01

ひろげるUP

押さえる

【5】中心をしっかり握りながら、放射線状に上下のワラを広げる。片方ができたら、地面などに抑えつけながらもう片方を広げる。均一に広げることで、きれいなバランスのいい俵の側面ができます。

ひろげる続き

【6】山際さん直伝の「桟俵編み器」(※)に広げたワラを固定。中心にねじ釘(内装ビス)をさし、道具に据え、2つの円盤で挟んで固定します。2つの円盤の大きいほう(奥)の直径が、完成品の直径。今回は20cmとしました。小さいほうの円盤(手前)の直径が18cm程度です。

編み器
(※)この道具は山際さんが、小さい桟俵を作り易いようにと考案されたもの。本来は、古い畳などと円盤(石臼)で藁を挟み、作り手が足でのったり、石臼の重みで固定しながら、編みます。

あみ01

あみ02

おさえ01

円盤固定

【7】最初に最上部の5,6本のワラ束を2つ(左からA、B)手に取り、2回左回りに交差させたあと、ワラ束(A)を右へ曲げる。次に右側に新たな5,6本のワラ束(C)をつくって、先ほど右側に残っていたワラ束(B)と今度は1回のみ交差させ、(B)を右へ曲げる。この作業を円盤の縁になるべく線が揃うように繰り返していき、最初の地点まで戻ります。
はさがけした稲わらの場合、乾燥が強いため、ワラが途中で切れないよう霧吹きで水分を含ませながら編み作業をするのがポイント。

見本をみる

あみこみ

あみ進め

【8】最後のワラ束と、最初のワラ束(A)を紐を使って結び、きつく固定。

こてい01

こてい02

大枠完成

【9】はみ出たワラ束の先を内側に挟み込んでいき、糸でかがって固定。飛び出たワラ屑などは、はさみで切り整える。これで「桟俵」の完成です。

かがる

完成後、山際さんから参加者のみなさんへのプレゼント!山際さんお手製の「草箒」をいただきました。
ほうき

思わぬお土産を受け取り、嬉しそうなみなさん。山際さんとはここでお別れです。どうもありがとうございました!!そして、後半の「ひな人形」づくりへと続きます。