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【レポート】土着ワークショップvol.11 干し柿づくり <後編:手もみ>

干し柿づくり<後編:手もみ> レポート

昨年の11/8に<前編>の皮むき&干し作業を終えた「干し柿づくり」。その後、1ヶ月あまりが経過した12/13、室礼にて<後編>の「手もみ」作業を行いました。

手もみ全体てもと

干し柿手もみ前

前編でいわむろやとKOKAJIYAの軒下に干した柿でしたが、干した当日が雨、その後もじっとりとした雨や曇りの日が続き、10日ほど経つ頃、一部の柿にぽつぽつと黒いカビが・・・。

この冬はいつもに増して暖冬、気温の高さと湿度のせいで、柿の表面のじめじめ状態が続いていたのが、柿のコンディションを悪くさせていたのでしょう。さらに柿の大きさも前回の1.5倍!(2Lサイズ)ということで、そもそも柿自身の水分も多かったことが影響したのだと思います。

カビを発見してからすぐに、柿を回収。場所を移して、アルコール35度の焼酎(ホワイトリカー)に1つ1つ浸して(殺菌のため)、干し直しました。それでも半分位の柿がダメになってしまい、なくなく処分することに。干し直すことができた柿は、1週間ほど屋根のある風通りのいい場所で、扇風機の強風を当て続けました。

すると、表面が乾いてきてカビは目立たなくなり、全体が茶色く縮みながら、徐々に干しあがっていきました。カビは水分がないと増えないので、こうなるともう安心。今回、予想外の天候に戸惑いましたが、なんとか柿の全滅を避けることができました。

干し直しをしてからも、ほぼ雪がなく、例年にない暖かさが気がかりでしたが、少しずつ柿も乾いていきました。そして、干し直しから3週間過ぎて、ようやく<後編>の手もみ作業に入ることになりました。

12/13、室礼に集まった参加者のみなさんと、さっそく作業を開始。表面が乾いて硬くなった干し柿を、表面が破れない程度に手で一つ一つ丁寧に揉んでいきます。

手もみ全体風景

手もみアップ

取り出す

手もみをするのは、干し柿の表面に白い粉(糖分)を発生させるため。このひと手間を加えることで、口に入れた時の甘さや味が全然違います。

手のアップ

講師の高塚さんのお話では、柿を揉むことで、中の方に凝縮されていた糖分が表面の方に移動、散らばり、やがて表面で冷やされ、その糖分が結晶化して白い粉となるんだそうです。

手もみ作業

20回くらい押していると、だいぶ柔らかくなり、甘さもしみ出しやすくなるような気がしてきます。そして揉んだ後の柿は、形を整え「ツボ型」にして、再び干します。

おしゃべり2

おしゃべり

和気あいあいとおしゃべりしながら行うと、あっという間に作業は終了していました!

参加者のみなさん、口をそろえて「皮むきや干す作業よりも、手もみ作業の方が楽しい」とおっしゃっていました。「これがやってみたかった」「柿の肌触りが気持ちいい」とも。

試食

最後に、手もみ前の干し柿を少しずつ試食してみました。既にとっても味が濃く、甘い干し柿になっていました。お茶との相性も最高です。これが白い粉が吹くと、さらに美味しくなるはず…。そんな完成を楽しみにしながら、再び柿たちを干場へ移動しました。

〜後日〜
<干し柿、いよいよ完成>

干し柿完成

12/13に手もみを終えた柿は、年末になってようやく白い粉が生え始め、年をまたいで、1月に入り全体が白くなってきました。こうなるともう食べ頃のサイン。

干場全景

干し柿全景2

実は今回、一部手もみしないものを残し、手もみしたものと比べると明らかにその違いがでました。

手もみの有無の違い
【左が手もみなし、右が手もみしたもの】

手もみしたものは白く、手もみしていないものは、ほんの少ししか白い粉が吹きませんでした。これで、手もみの効果をはっきりと確かめることができました。

その後、参加者のみなさんに完成した干し柿をお渡しして、11月から2カ月に渡って続いた今回の「干し柿づくり」も無事、終えることができました。

干し柿は、そのままでは苦くて食べられない渋柿を、自然の力(風や気温の低さ)を巧みに利用し、保存がきき栄養価も高く、かつ美味しい食べ物に変えるという、先人たちが編み出した生活の知恵です。

地域によっては、お正月の年神様への供え物の中にも、串柿(干し柿を串にさしたもの)が見られますし、柿に関する民俗・風習には他にも、「キマブリ(木守り/きまもり)」といって、「来年も実が沢山なるようにと、柿の木の実を1つだけ残す」風習や「成木責め(なりきぜめ)」といって小正月に「柿の幹を傷つけ、お粥をそこに塗って、今年もしっかり実をつけろよと、木に語りかける行為」などがありました。また、柿の利用法(柿酢、柿渋、柿の葉など)や、それぞれの加工・料理のし方などを掘り下げていくと、さらに「柿を楽しむ」可能性は広がってくると思います。

今回の干し柿づくりでは、当たり前ながら、作り手がその年の天候や干す場所の特性を考慮し、ちゃんと手をかけないと失敗してしまうものなのだということを学びました。この経験を生かし、今年もまた「干し柿づくり」に挑戦していきたいと思います。

途中、柿を見守ってくださったKOKAJIYAのメンバーや、<前編>で会場の協力をいただいた「いわむろや」、講師のタカツカ農園の・高塚さんに改めて感謝いたします。

最後に、参加者のみなさまにはご心配をおかけしましたが、気長に完成までお付き合いいただき、ありがとうございました!!ぜひ、またご家庭でもやってみて下さい。そして、干し柿の美味しい料理法などがあれば、ぜひ教えていただければと思います。

干し柿アップ

<前編>のレポートはこちら
2014年の干し柿<手もみ>については、こちら

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「土着ワークショップvol.11干し柿づくり」
◇共催:新潟市岩室観光施設いわむろや、Bricole、KOKAJIYA2F「室礼」
◇協力:灯りの食邸KOKAJIYA、foodrop