お知らせ, 土着ワークショップ [DWS]

土着ワークショップvol.8 レポート前編 「卵つと」づくり 

2月15日に開催した土着ワークショップ。2013年より始めて早8回目(!)の今回は、ワラ細工の「卵つと(苞)」づくりに初挑戦しました。レポート前編では「卵つとづくり」、後編では五十嵐稔さんの「民具の茶話会」をお伝えします。

ゲストには、お馴染みの山際辰夫さんとともに、三条市から新潟県民具学会(会長)の五十嵐稔さんにもお出でいただき、豪華なベテラン講師陣に恵まれ、スタートしたワークショップ。

スタート

まずは、開催前に試作した「卵つと」の見本を見ながら、これから作るもののイメージを膨らませます。「卵つと」とは、卵を持ち歩くために藁で包んだ藁細工のこと。参考のために本でみた山形の「卵つと」は卵を横向きに包んでいましたが、割れやすいというアドバイスから、縦向きに卵を並べていきます。新潟では縦が主流のようです。

見本

こちらが一人分の材料。

一人分材料

案外、藁は少量です。ここで材料の特徴として、卵を包むベッドのような役割をする藁(上)は、叩かないそのままの固い藁。茎の中に空気を含んでいるため、クッション性抜群です。一方、卵を押さえる紐がわりに使う藁(下)は、圧力機にかけた、いわゆる叩き藁。こちらは、断面が楕円状になって潰れているので、しなやかで、曲げたり結んだりの細工に適しています。卵は5個。昔から卵5個で包むという形が基本のようです。

まずは、ベッドとなる藁束をつくり、卵を乗せる部分(端っこ)を曲げて形を船のように癖づけします。

作業開始

1個目の卵を乗せ、叩き藁を2本とり、真ん中で結びます。この時強く縛りすぎると、当然卵は割れてしまいます。五十嵐さんのお話では、「今の卵は割れやすい」とのこと。むかしの卵は、鶏を外に出してよく運動させていたから、卵そのものも強いのだとか。なので、なおさら注意が必要です。

1個目が難しい

五十嵐さんも何年ぶりかで藁に触ったとおっしゃっていましたが、ブランクを感じさせない手つきです。

五十嵐さんも参加

1人で難しい場合は、2人がかりで始めると確実に作業が進みます。1人は卵を固定し、もう1人が藁で縛る。簡単なようで、卵の表面は結構滑ります。

2人1組

2人1組その2

順調に進めていく大学生のお一人。とっても器用!

3個目

5個までいけば、あとは結んで固定するだけ。

5個までいった

続いては、「縄綯い」に挑戦です。初心者にとっては難しいというこの縄綯い。山際さんの手つきを見ながら、右縄を綯います。

縄綯い01

参加者のみなさん、意外にもすんなり綯われていました。ビックリです。

縄綯い02

手元がとても素敵ですね。手で撚りをかけながら、交差させていく。至ってシンプルな作業ですが、力の入れ具合、スピードなどが直接出来上がりに反映されます。

縄綯い03

縄綯いができたら、両端を結んで「持ち手」部分をつくります。

結ぶ

余分な藁を切って、完成!

完成

それぞれのペースで、集中して作っていらっしゃる姿がなんともいえずいい雰囲気でした。

卵つとづくり全景

「見よう見まね」でこうして、技が伝わっていく様子がいつも清々しいなと思います。

縄綯いの風景

完成した「卵つと」。プラスチックのパックに入っていた時と、全然別物に見えるのはなぜでしょう…。

完成02

先に終わった学生さんが手伝う姿も見られ、微笑ましかったです。

手伝い

こうして「卵つと」づくりは、難なく終了!この後は、これも初の試み「茶話会」のはじまりです。
→レポートは、後編「民具の茶話会」につづく

Posted on 2015-03-05 | Posted in お知らせ, 土着ワークショップ [DWS]No Comments »