2016-08

書籍「うつろうもの のこるもの」をKOKAJIYA・室礼にて販売中!

室礼を運営する私たちブリコールは、このほど書籍『MADO+BOOKS 001 うつろうもの のこるもの』を発刊しました!
8/7より「灯りの食邸 KOKAJIYA 1階入口」にて、販売を開始しております。

そこで、本書出版のいきさつについて少し触れてみたいと思います。

目門ブックス

2013年の夏からここ岩室にて活動をスタートさせ、半年が経った冬。すぐ隣りにある西蒲区福井というまちで、長年写真を撮り続けているおじいさんがいることを知っていた私桾沢(ぐみざわ)は、いろいろとこの辺りのお話を伺いたく、その斉藤文夫さんの活動場所である「旧庄屋佐藤家」を訪れました。

その時のインタビューは2,3時間だったでしょうか。いろり端で滔滔とお話される斉藤さんの話が非常に面白く、とくに今はなき村「角海浜」のお話にはぐんぐん引き込まれました。そこで、その内容から抜粋し、私たちが不定期で発行しているフリーペーパー「ひとひら」のvol.03に「角海浜」と言うタイトルで掲載させてもらいました。

いろりのまえ斉藤さん

ひとひら3表紙

ひとひら03

するとこのフリーペーパーは、思いのほか反響をいただき、刷った1000部はあっという間になくなり、斉藤さんからも喜んでいただきました。
そのインタビューと前後する頃、映画『阿賀に生きる』(佐藤真監督、1992年)を見て心を動かされた私は、角海浜の老人たちと、阿賀に生きた人々との間に多くの共通項が浮かびあがり、この作品づくりに関わったみなさんと先ほどの斉藤さんとでお話をする機会がつくれないか、と同時に、この映画を岩室で上映する場もつくりたいと思いました。

そして、様々なご縁とみなさまのご理解ご協力が重なって2014年の春に実現したのが、映画『阿賀に生きる』16mmフィルム上映会@いわむろやと「いろり座談会」でした。

いろり座談会チラシ

斉藤さんと『阿賀に生きる』に関わったみなさんとともに、横断トークというかたちで行ったこの座談会は、3時間に及ぶ盛りだくさんの会でしたが、今考えても奇跡的にありがたい場でした。上映会は、撮影された小林茂さんが、配給会社の太秦さまにかけあってくださり上映許可をいただき、自ら16mmフィルムと映写機材を持参して映写技師さん・音響さんとともに上映してくださいました。そしてそれは、『阿賀に生きる』がそうであったように、お客様からのカンパ方式でおこないました。

いろり座談者01

いろり座談者02

いろり座談者03

「いろり座談会」もゲストの皆様へはノーギャラですし、いわむろやさんの機材をお借りし、会場の佐藤家もほぼタダ同然での利用をさせてもらいました。『阿賀に生きる』の仕掛け人・旗野秀人さんが座談会でおっしゃっていたように、何かお金ではない、べつのものを介した、誰かと誰かの想いからできあがるような、とても熱を帯びた空間になっていたなと、当事者ながらにそう思います。

集合写真

今回私たちが出版した『MADO+BOOKS 001 うつろうもの のこるもの』は、その「角海浜インタビュー」と「いろり座談会」を収録しつつ、斉藤文夫さん「角海浜」、村井勇さん「『阿賀に生きる』スチール」、石山与五栄門さん「鎧潟」という、3人の撮影者による貴重な白黒写真を中核にしています。写真はとにかく素晴らしいです。ぜひ、ご覧いただきたいものばかりです。

本のタイトルに、MADO+BOOKS(目門ブックス)と冠しているのは、今後も書籍をシリーズとして出してゆきたいという思いを込めています。奥付に「MADO+BOOKS(目門ブックス)」について以下のような文章(桾沢和典)を載せました↓

“いつか誰かの見た「光」や「音」。それは、人の心に切り取られ、ある時代には、「物語」や「絵」として、ある時代には「写真」や「映像」として残されます。断片となって形を変えながらも、大事に選びとられた事物は、他の誰かに伝えられ、生き続けることがあります。
まど(目門)とは、風景を切り取る目と、物事が往来する門のようなもの。誰かがどこかで出会い、大事にえらびとった事物を「本」という形で寄せ集めることで、人が人に手渡すことを願ったそれが、誰かにとっての良き贈り物となることを願います。” 

 
東京から新潟へ移住し、岩室での活動をきっかけに出会った人々とが有機的につながり、様々な関係線の中で、おかげさまでこの本はできあがりました。
過去から未来へ、うつろいながらものこってゆくものたちに思いを込めて…。
ぜひともお買い求めいただき、大切な周囲の方々にも宣伝していただけると嬉しいです。

まどのつか

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MADO+BOOKS 001 「うつろうもの のこるもの」
書籍概要
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http://bricole.jp/madobooks/

“しかしそれでも人は生きる。「うつろうもの」と「のこるもの」との狭間で。
ときにあえなく翻弄され、ときにはそれに逆らうように。”

(本書寄稿「写真が想い出す」・・・美術批評家/椹木野衣 より)

まど表紙

タイトル : MADO+ BOOKS 001
『うつろうもの のこるもの』
企画・編集・発行: Bricole(桾沢和典・桾沢厚子)
大きさ : A5サイズ(148mm×210mm)
ページ数 : 表紙4p+本文80p
印刷部数 : 1,000部
発行日 : 2016年8月6日
販売額 : 1,500円(税込)(本体1,389円)
販売場所 :①直接注文 ②オンライン販売 ③新潟市内外の販売店様(販売店リストはページ下記↓)

お問い合わせ/ご注文先:080-4051-1211(ぐみざわ)メール:info@bricole.jp
インターネット販売はこちら>>Bricoleストア

「私たちの生活は、私たちの望むままに変わってきたのか?
 それとも、気づいた時には変わってしまっていたのか?」

巻の原発問題に揺れながら廃村した「角海浜」の生活をカメラで追い続けた斉藤文夫氏、映画『阿賀に生きる』の老人たちの姿を親密な距離感で撮り溜めた村井勇氏、消えゆく「鎧潟」をそこに棲む人々とともに記録し続けた石山与五栄門氏。 三者三様に、「浜」、「河」、「潟」に生きた人々を捉えた、貴重な写真で過去を振り返りながら、自然と人間との関わりにおける河川のあり方を追求してきた 大熊孝氏(新潟大学名誉教授、ビュー福島潟7代目名誉館長)、人の生き様をあぶり出すドキュメンタリー作品を生み出す、『風の波紋』監督小林茂氏、長年新 潟水俣病患者に寄り添い続け、映画『阿賀に生きる』仕掛け人でもある旗野秀人氏(冥土のみやげ企画)をゲストに迎え、「自然とともに生きていた人の暮ら し」を自らの体験と出会った人々から語る「いろり座談会」の三時間にわたる全内容を収録。
(「過疎に消えた村の記憶 角海浜」:廃村までの「角海浜」を写真と共に語ってもらった斉藤文夫氏インタビューを同時収録。)

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<もくじ>
○角海浜 ―過疎に消えた村の記憶―
語り手:斉藤文夫(旧庄屋佐藤家・囲炉裏の火焚きじいさん) 聞き手:桾沢厚子

○いろり座談会「角海と阿賀に生きた人々」
座談ゲスト:
大熊孝(新潟大学名誉教授・河川工学/土木史)、斉藤文夫(郷土研究家、写真家)、
小林茂(ドキュメンタリー映画監督)、旗野秀人(「冥土のみやげ企画」主宰)、
村井勇(フリーカメラマン)
司会:桾沢厚子

○寄稿「写真が想い出す」/椹木野衣(美術批評家)

○あとがき
「間に生きるものとして」/桾沢厚子
「継続され反復される光」/桾沢和典

●掲載写真
角海浜の記録 斉藤文夫
映画『阿賀に生きる』スチール 村井勇
鎧潟 石山与五栄門

●付録:角海浜・阿賀に生きる関連年表

まど01

まど02

まど03

まど04

【販売店リスト】(2016.9.20現在)
<新潟市西蒲区>
●旧庄屋佐藤家
●KOKAJIYA2F 室礼
●岩室観光施設「いわむろや」
●tetote 越前浜店
●MAUI store
●にいだや&ギャラリー野衣
<新潟市中央区>
●北書店
●新潟・市民映画館シネ・ウインド
●新潟絵屋
●hickory03travelers
●BOOKS f3
●砂丘館
●ジュンク堂書店新潟店(新潟関連書籍/芸術書コーナー)
●みなとぴあ(新潟市歴史博物館)
<新潟市江南区>
●北方文化博物館
<燕市>
●ツバメコーヒー
<長岡市>
●ブックスはせがわ
<十日町市>
●10/29 「十日町姫田作品上映会」にて出張販売
<東京>
谷根千/上野
●古書ほうろう
●ROUTE BOOKS
●往来堂書店
●ひるねこBOOKS
恵比寿
●(9/22~)Nadiff a/p/a/r/t
●(9/25~)Nadiff BAITEN (東京都写真美術館内)
荻窪
●本屋Title

※今後、順次追加してまいります。
※お取り扱いいただける販売店様は、お手数ですが、ぐみざわまでご連絡ください。詳細をご連絡いたします。

Posted on 2016-08-08 | Posted in お知らせNo Comments »

 

【お知らせ】巻原発住民投票から20年記念シンポジウム「明日の巻地域を考える」

シンポ案内

【シンポジウムのお知らせ】
先日の日曜日に行われた第1回シンポジウムのバトンを引き継ぎ、今週の日曜、14日に旧庄屋佐藤家にて「巻原発住民投票から20年~明日の巻地域を考える~」という第2回シンポジウムが開かれます。私桾沢はその中で、司会・進行役という大役を引き受けることになりました(汗)

<<シンポジウム概要>>
「明日の巻地域を考える」
●日時:2016年8月14日(日) 14:00~16:30
●会場:福井旧庄屋佐藤家 新潟市西蒲区福井2908 
※駐車場あり
●出演:
 角田山妙光寺住職 小川英爾
 角田山自然見まもり人 坂井弘
 佐藤家保存会理事長 平岡一郎
 のぞきからくり研究家 上原木呂
 新潟大学教授 松井克浩    
●司会:
 ブリコール 桾沢厚子
【入場無料】

●主催:巻原発住民投票から20年 明日の巻地域を考える会、NPO法人福井旧庄屋佐藤家保存会
●協力:いわむろや
●後援:新潟市・新潟市教育委員会
●お問い合わせ:090-2551-8514(斉藤)

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「巻原発住民投票」が実現した1996年8月4日、私は東京の中学2年生。もちろん、新潟の一自治体(当時は巻町)で行われた“日本初”の住民投票のことは、知るわけもなく…。あれから20年、家族を持ち新潟に住まい、縁あって、「住民投票当時のことを振り返り、巻地域のこれからを考えたい」という趣旨のその催しにお声がけをいただきました。そして、私はシンポジウム、桾沢和典は展示「住民投票実現までの軌跡」という形で夫婦で関わらせていただいています。

ここで恥をさらしますが、大学時代、私は都市計画、都市環境デザイン等に興味があり、関連する授業を受けていました。その中で一番関心がなかったのが「自治体まちづくり」の授業。自治体、あるいは自治ということになかなか理解が及ばず、また机上の勉強ではあまり得るものがないのではないかと少し疑問も感じ、悶々としていました。

しかし、そんな「自治」ということが遠いこと(他人事)のように感じられた学生時代から10年を経た今、自分の生活の中で、机上の勉強としての自治ではなく、「生の(リアルな)自治」ということに触れている実感があり、それが新潟での人々との出会いを通じて、またここ数年の町内活動などに参加しはじめたことで、より明確に「自分事になってきた」という実感があります。

というわけで、前置きが長くなりましたが、今回のシンポジウムのテーマは、【地域の自治】ということだと解釈しています。いかに自分たちの住まう地域を、自分たちの手でつくっていくのか、関わっていくのか。
日本初という住民投票を実現させた地域で、そこで住まう人々、あるいはその動きに反応し研究をした人々…。彼らの「生きた経験」を今後の「知恵」へとかえていくため、後世に残そうと企画された今回のシンポジウム。良き、学びの場となるよう一生懸命、司会・進行役を頑張りたいと思います。

ゲストは、以下の5名。

●角田山妙光寺・住職の小川英爾さん(1952年生まれ 64歳)
平成1年、日本初の家族血縁による跡継ぎを必要としない永代供養墓『安穏廟(あんのんびょう)』を実現したアイデアマン。毎年夏に「フェスティバル安穏」と称し、合同供養、生老病死を語るシンポジウム、交流会等新たな結縁を結ぶ場を設けるなど、活動は多岐に及ぶ多忙な住職。お寺の存在を「人と人とを結ぶ場」として、地域のボーダーを超えたコミュニティ形成に大きく寄与している。

●角田山自然まもり人 坂井弘さん(昭和4年生まれ 87歳)
潟東村に生まれ、長年巻の中学校の教師を経て、現役最後は巻東中学校校長となった教育者。現在は「角田山自然まもり人」という会の世話係として、会員とともに、角田山の山道の整備などをボランティアでおこなっている。巻原発住民投票実現後に、巻町長となった笹口孝明さんは、巻中学校の教え子だそう。全国に存在する「良寛会」の巻支部の会長でもあり、新潟が誇る良寛の教えを今につないでいる。

●NPO法人福井旧庄屋佐藤家保存会 理事長 平岡一郎さん(1944年生まれ 72歳)
西蒲区福井にある茅葺古民家、佐藤家。その保存・活用活動を支える代表者。地元では土木・建設会社を経営し、福井の自治会長も務める。大学でフランス文学を専攻するなど、文化・芸術への理解も深く、福井地区に外からアートを取りこみ、神楽などの芸能と出合わせ、地区の自然や人間のすばらしさを伝える活動も行う。ホタルの里として整備されてきた福井地域の良さを知り尽くし、様々な地区活動を掌握する地域のドン的存在。

●のぞきからくり研究家 上原木呂さん(1948年生まれ 68歳)
昭和50年に旧巻町の民家から発見され、全国でも貴重な「のぞきからくり」(新潟市有形民俗文化財)の修復・復元に関わり、研究を熱心に行った研究者。実家は、地元の銘酒・「越後鶴亀」の酒蔵。「エチゴビール」(日本全国第一号地ビール)の生みの親。東京芸大出身で、シュルレアリスムの洗礼を受け、イタリアの大道芸などを実地で学び、人形遣い、舞台・映画俳優を経て現在はパフォーマーとしても活動する。

●新潟大学人文学部教授 松井克浩さん(1961年生まれ 55歳)
原発のある女川町育ち。専攻は社会学理論、災害社会学。ドイツの社会学者マックス・ウェーバーの研究者。巻原発住民投票後、大学として巻町に聞き取り調査に入り、内発的な地域づくりとは何か、真の民主主義とは何か、その学びを記録。2004年新潟中越地震の被災地復興に関わる調査を契機に、災害大国日本における被災と再生の経験、そして生の声を丁寧に記録に残しながら、社会のあり様を洞察する研究を各地でおこなっている。

以上のような、方々です。私の見解も多少入っています。

当日、もしかしたら、会場に新潟市長の篠田昭氏もいらっしゃるかもとのことで、緊張が高まっていますが、ぜひこのゲストのみなさんの貴重な経験談・ご見解をうかがいに、佐藤家へいらしてください。

Posted on 2016-08-07 | Posted in お知らせ, イベントNo Comments »

 

【お知らせ】『住民投票実現までの軌跡』展を「いわむろや」で開催中

ひさびさの投稿になります。

展示ポスター

昨日7/31から、ご近所の岩室観光施設「いわむろや」にて開催中の巻原発住民投票から20年~明日の巻地域を考える~記念展示『住民投票実現までの軌跡』。その展示の構成・デザインを、『室礼』を運営する私たちBricole(ブリコール)で担当させていただきました。

旧巻町に昭和44(1969)年から起こった東北電力による原発計画。その設置への賛成・反対の争いは30年という長期に渡り繰り広げられ、その問題に決着をつけたのが、「巻原発住民投票」でした。

この日本初の住民投票の実施によって、「地域住民が自分たちの未来を直接決めた」という歴史的な日(1996年8月4日)から数えて20年。当時を知り、問題と向き合い、闘い、行動し、また後世にその運動の記録を残そうとされた人達がいます。その方々が中心となり、今回の展示が実現しました。

当時の写真や1969年に新潟日報がスクープした『角海浜(巻町)に原子力発電所』という新聞記事から賛成派・反対派両方のチラシ、ビラ類、運動の様子を伝える物品や書籍など百数十点以上で構成された貴重な展示です。

スクープ記事

あの住民投票があって、今の新潟市に原発が建たなかった・・・。

その意味を、今、改めて振り返り、知り、後世に伝えていく必要があるのではないかと思います。ぜひ「いわむろや」へお越しください。

【展示概要】
●巻原発住民投票20周年記念展示『住民投票実現までの軌跡』
●期間:7/31(日)~8/21(日)
※「いわむろや」定休日 8/3(水)、8/17(水)
●時間:9:00~19:00
●会場:新潟市岩室観光施設 いわむろや 企画展示室
●入場無料
●お問い合わせ:090-2551-8514(斉藤)
●主催:巻原発住民投票から20年 明日の巻地域を考える会
NPO法人 福井旧庄屋佐藤家保存会
協力:NPO法人 いわむろや 後援:新潟市・新潟市教育委員会

●展覧会メンバー(以下、敬称略・五十音順)
展示企画・発起人:斉藤文夫・笹口孝明・中村正紀・平岡一郎
資料提供者:遠藤寅雄・斉藤文夫・笹口孝明・中村正紀
展示指揮:中村正紀
空間構成・デザイン・設営:Bricole(桾沢和典・桾沢俊介)
協力:小倉壮平・本間香苗

展示01

展示02

展示03

新潟日報 8月1日朝刊 2面掲載記事
日報掲載記事

Posted on 2016-08-01 | Posted in お知らせNo Comments »