2013-09
写真展「岩室」(撮影:Tango)、その後。
9月に入っても蒸し暑さの続く頃、KOKAJIYAオープンとともに スタートした
写真展「岩室」(撮影:Tango) は、29日をもって終了しました。
ご覧いただいたみなさま、ありがとうございます。
///
8月もおわりに近づいた本当に暑かったあの日、 Tangoさんは初めて電車とバスで岩室を訪れ、
2,3時間ほど歩いて撮影されました。
その時の写真は、ご自身のブログ「はちがつのおわりの」 で公開なさっています。
今回展示できなかった写真もありますので、ぜひ見てみてください。
ふだん日常的に出会った風景を撮り貯め、また「撮る日」を 意識的につくりながら
撮影活動を続けるTangoさん。その撮影する体力と気力、そして「あっ」と
目の前の風景から何かを感じとってシャッターを切るその「感度」といえばよいのでしょうか、
それらには驚かされます。
「室礼」のような古民家での発表も初めてだったようで、 初めてづくしの急な企画にも
十分すぎるくらいに お応えくださいました。ありがとうございます。
そして、これをご縁に今後も継続して、 岩室のまちを撮影してくださることになりました。
室礼の発行するフリーペーパー「シツライ ひとひら」の表紙写真などを飾っていただきます。
次号(vol.1)は10/5発行予定。
時の移ろいとともに、まちの色も移り変わります。
時には、昨日あったものが突如なくなる、あるいは何かが新しく生まれる。
そんな劇的な変化もあるのかもしれません。
今後Tangoさんの目(写真)を通して、岩室というまちは どのような表情をみせてくれるのでしょうか。
観光写真には写りにくい、
“普段着の岩室のまちの変化”を見つづけたいと思います。
///
「室礼」のロゴができました
「室礼」のロゴができました。
書で「室礼」を表現してくださったのは、書家の華雪さん。
華雪さんは、新潟では10年余り毎年のように滞在・展示をなさっている、ご縁のある方です。
今回華雪さんにロゴをお願いしたのは、
「室礼」という言葉、場所に込めた私たちメンバーの心や思いを真摯に受け取り、
自身の身体を通した実感ある言葉として、形にして下さることを直感したからです。
華雪さんは、水と土の芸術祭(2009,2012ともに)の参加作家でもあります。
偶然にも、2012年の展示会場下見の際には、ここ小鍛冶屋もご覧になっていました。
そんな偶然も重なり、その時の記憶を辿りつつ、「室礼」への思いやコンセプトを
じっくり咀嚼する中で、この「書」に行き着いたのだと思います。
ロゴは、9月18日より玄関を入って右手奥、KOKAJIYA2階への階段入り口の壁面に掲示します。
ぜひ、実物をご覧いただければと思います。
また「室礼」では、華雪さんの展示も今後予定しております。
内容、日程など詳細は後日お知らせいたします。どうぞお楽しみに。
以下、華雪さんの制作に当たってお寄せいただいたコメントです。
///
今回、書を書かせていただくに当たって、
あの場所を書であらわそうとしたとき、
なにをたいせつにするべきか、考えました。
そして、あの場所そのもののゆったりとした厚みある雰囲気を、
「室」と「礼」の両方から描きたいと思いました。
「室」には場そのものの強さを、濃い墨色と、
古代中国で石碑を彫るときに使用された端正で力強い書体であらわしたいと思いました。
そして「礼」の字では、
その場所でひとを迎える主人のふるまいや思い―しつらえることを考えたいと思いました。
「礼」の字を書くときには、へんとつくりの間に余白ができます。
しかし紙の上では、墨の線としてこそ残りませんが筆の穂先は複雑に動いています。
余白は書き手が残そうとしてつくる場所でもあります。
今回、「室礼」ということば、あの場所をしつらえるふるまいについて考える中で、
その余白をできるだけゆったり残るよう意識して書きたいと思いました。
なんのために、そうしたいのかと自問したときに、
そうすることで、余白が「室」の強さを引き立てるように思い、
また字を見る人にとっては、余白が書き手の思いを想像できる部分になるのではと考えました。
書のおもしろいところは、
書き手が筆の動かした軌跡を、見るひとも追いかけることができるところに、
ひとつの特長があると思っています。
誰かの書いた書を見て、こうして、こうやって書いたのだな、と指で辿っていく。
その途中に余白があらわれたとき、ひとは、そこで立ち止まる。
それから、書き手の考えや動きを想像することになります。
このことが、ひとつの場所をしつらえることに似ているように思いました。
空間の中に、あえて用意された余白は、
そこをしつらえるひとの思いや考えが逡巡した場所でもあると思うのです。
そういう余白をつくることは、その場所をよく知っているからこそ、
つくることができるのかもしれない。
そのふるまいは、その場所のもともと持つ強さ、
可能性を引き出し、活かすことなのかもしれないと思いました。
そしてこういうことが、小鍛冶屋「室礼」にとって、またふるまいとしての「しつらえ」にとって、
たいせつなことなのかと考えながら、今回、「室礼」の二文字を書かせていただきました。
///
華雪プロフィール
1975年京都府生まれ。現在、東京都在住。
五歳の頃から通い始めた書道教室で、
漢字が持つ象形文字由来のなりたちと
複数の意味に惹かれ、以来、書と篆刻に親しむ。
1992年より個展を中心に活動し、
各地でワークショップも行っている。
日常の中から見出したテーマを、
少字数の漢字で表現する書や、
禅語などを用いた物語性の高い篆刻作品を中心に、
文字、言葉、文章、そして書くという
身体行為そのものを探る創作を続けている。
またさまざまな土地で、出会ったひとたちとの対話や、
そこで触れたもの、ことから生まれた思いを表現する
公開制作や展示を行っている。
刊行物には
「ATO 跡」(2009年、between the books)、「書の棲処」(2006年、赤々舎)、
「石の遊び」(2003年、平凡社)等があり、
作家活動の他に
「コレクション 戦争×文学」(集英社)、「石原慎太郎の文学」(文藝春秋)
をはじめとした、書籍の題字も手がけている。
「食べるということ」にまつわる古本、販売中
室礼では、季節ごとに異なるテーマで古本を販売します。
本が並ぶのが床の間なので、「床の間BOOKS」と名付けました。
最初のテーマは、「食べるということ」。
食のエッセイ、料理本や写真集、料理道具、
食生活史など、
食べることにつながりのある本が並びます。
お気に入りの一冊を見つかりますように。
本のラインナップはこのような感じです。
ぜひお手にとってみてください。
シツライ発のフリーペーパー「ひとひら」配布スタート
室礼が発行するフリーペーパー「シツライ ひとひらvol.0」ができました。
ひとひらとは、一枚、一片の紙切れのこと。
最初の特集は「KOKAJIYA」についてです。
毎回、岩室地域のもの、ひと、ことを特集でピックアップし、お伝えしていきます。
室礼でのイベント情報や、ギャラリーの展示情報、販売する本の紹介なども
おこなっていきます。
KOKAJIYAほか、これからいろいろな場所で設置&配布予定です。
ぜひお手に取って見てみてください。
*配布のご協力をいただけるお店、施設を(個人でも)募集中!
TOPページのメニューにある「お問い合わせ」フォームから
「フリーペーパー設置&配布の件」としてご一報ください。
【配布場所】
・灯りの食邸 KOKAJIYA
・角屋悦堂
・北書店
・marilou
・イカニタ
・hickory03travelers
・Cave Records
・テルツォ
・一酒庵
・西田屋
・F/style
・ツバメコーヒー
・新潟市美術館
・ツルハシブックス
・砂丘館
・新潟絵屋
・新潟市歴史博物館(みなとぴあ)
・三方舎 gallery
<順不同>
写真展「岩室」(撮影:Tango) 開催
KOKAJIYAオープンに合わせ、「室礼」では、
写真展「岩室」(撮影:Tango)を開催します。
新潟市在住の写真家Tangoさんが撮影した夏の終わりの岩室温泉。
岩室のまちを歩いて出会った、ただそこにある風景、
何気なくはっとさせられる瞬間。そんな断片たちを展示します。
展示期間は、9/29(日)21:00まで。火曜定休。
(終了しました。ご覧いただいたみなさま、ありがとうございました)
///Tangoプロフィール
1980年新潟県生まれ。中学生の頃より写真を撮り始める。
街の風景を好んで撮影し、個展やフリーペーパー配布等の活動や、
blogにて日々写真を公開している。
HP「はちがつのおわり」
「室礼-シツライ-」オープン
2013年9月5日、新潟市西蒲区にある岩室温泉の元民家、通称「小鍛冶屋」に
新しくレストラン「灯りの食邸 KOKAJIYA」がオープンしました。
そして、同じ日、KOKAJIYAの2階は、
喫茶室/ギャラリー/イベントスペース「室礼-シツライ-」として生まれ変わります。
玄関を入ってすぐの階段を上がると、そこにはかつて家の奥様が、
芸妓さんや地域の方にお茶やお華を教えられていた部屋があります。
床に据えられた炉釜や「勉強室」の札など、部屋の端々に当時の記憶が残されています。
岩室温泉は、岩室芸妓発祥の地。そうした歴史や文化の香りも感じられる場所です。
平安時代、宴や儀式など、ハレの日に貴族たちが邸宅の室内を調度(生活道具)で装飾
することから始まったとされる「室礼」。室礼とは「主(あるじ)が客を迎え、時間を共にし、
送る」、そうした時間や体験の場をつくる行為のことを指します。この背後には、
客人(マレビト)を迎え、送ることで日常の暮らしを新鮮なものにしていく、そんな昔の人の
くらしの知恵があったのではないでしょうか。
その「室礼」になぞらえ、2階は、家具や食器、本、壁、床の間…たくさんの記憶や時間を
含んだものたちの姿がこの場所の主(あるじ)となり、客人を迎え入れます。空間やものとの
出会いや対話が、客人に何らかの心の動きをもたらしてくれるような“関係づくり”を目指して
「室礼」ならではの空間づくり、イベント・シンポジウム・展示、物品販売などを行っていきます。