お知らせ
ENZA w#004「竹カゴ」@三条スパイス研究所 開催レポート ①
夏真っ盛りの8/7と8/9、ENZAの4回目のワークショップとして、大分県由布市の竹細工職人、三原啓資さん・萌枝さんご夫妻から学ぶ「竹カゴ(四つ目カゴ)」づくりを2会場で開催しました。
平日にもかかわらず「竹細工」や「カゴづくり」にご関心のあるみなさんが多く集まって下さいました。そして2日とも、講師の三原さんと偶然にも同じ別府の竹工芸訓練(支援)センターで同期の訓練生だったという成田文香さん(新潟市西蒲区在住の若手竹細工職人さん)がワークショップのヘルプに来て下さりました!本当にありがとうございます。
竹細工を本格的にやるには「竹ひごづくり」からなので相当に時間と労力がかかります。そこを事前に三原さんが何から何までご準備いただき、3時間ちょっとという短い時間で最後の「編みと縁どめ」の体験を通じ、また職人直々のお話を通して竹細工の奥深さ、楽しさの一端に触れるとても良い機会になりました。
ではさっそく、8/7のワークショップの模様をレポートしていきます!(8/9のワークショップレポートはまた後日。)
竹細工の日本一の産地、大分から来新された講師の三原啓資さん・萌枝さんご夫妻。お二人は「笑竹堂」という屋号で、大分の青竹(マダケ)をメインに使った竹かごや生活道具をつくることを生業にされている竹細工職人さんです。実は萌枝さんのご実家が三条市ということで、ご縁あって今回のワークショップが実現しました!
会場の「三条スパイス研究所」は、この日最高気温39度という猛暑日。そんな暑い日の午後、屋根だけのほぼ屋外という「えんがわ」空間でワークショップはスタートしました。
カゴの材料となる竹ひごは、由布市の三原さん宅のご近所のマダケの竹林から伐り出して加工して下さったものを使いました。厚さ0.55mm、幅7mmに揃えられたひごは、今年の1月に伐り出し、乾燥させたものだそう。
しなやかでうっすら青みが残っていて、「こんなに薄いんだ」「揃っていてきれい」とみなさん驚いていました。一人一人に三原さんお手製の「四つ目編み」をきれいにするための下敷きと24本のひごが配られ、最初はこの下敷きの上で、編み作業を行っていきます。
縦2本・横2本、計4本のひごを編み、そこから下敷きのとおりに「節」の位置(わかりやすく色がついている!)を合わせながら、上・右・左・下に5本ずつひごを編み込んでいきます。
編む時は、どちらのひごが上かを確認しながら、上にもっていくひごは「すくい」、下にするひごは「おさえ」といいますが、1本とばしに「すくい」と「おさえ」を繰り返して編み込みます。右利きの方は、左手ですくう(上にくる)竹ひごを浮かせて、そこへ右手でひごを入れ込むというかたち。
一見簡単なようで、この四つ目編みは「簡単だからこそ竹ひごが動きやすく、きれいに目を保つのが難しいんです」と啓資さん。確かに編み作業の最中に、油断するとひごがすべって位置がずれていくことがしばしば…。
なんとか1周、計24本をひごを編み込んだら、平面は完成!
いったん、四辺の縁を別の竹ひご(とめひご)で仮止めしていきます。
これで編んだひごが固定されずれにくくなります。(※とめひごは後ほど外す)
このあとは「立ち上げ」といって、かごにしていく(2Dから3Dにしていく)一番気を遣うけど、竹細工の面白さ、不思議さの一つがここにあると言っても過言ではない作業にうつります。
この時、竹に無理な力がかかって折れないよう霧吹きでしっかり濡らしながら、かご底の「四辺」となる部分を両手でしっかりめに折り曲げ、くせづけをします。
竹はしなやかなので、多少の折り曲げには強いようで、直角よりも多い「120度くらい」まで曲げたでしょうか。くせをつけました。
またこのタイミングで「力竹(ちからだけ)」というかごの強度や突っ張りを強くするための竹を、底の部分にばってんにして挿します。今回の竹カゴは、あまり重いものを入れないという前提なので、後でこの力竹は外しました。
その後、かごの底の四つ角となる場所(起点)から、上にむかって左右の竹ひごを編み込んでいきます。このとき、先ほどの「とめひご」はひごの数に入れないので、注意しながら編みます。このときのポイントは、かごを完成形に近くなるように少し手で力を加え、全体に丸みを帯びさせながら、編んでいくことだそう。
立ち上げたの時は、ひごとひごの間の四角がひし形のようになったり、広くなったり狭くなっりと大きさや形にに違いが出てきやすくなります。そのため、いつも底の下敷きの通りに編んだ、あの編み目(四角い空間)くらいになるように意識して、立ち上げます。
四つ角があるうちの、1つの角を挟んだ左右のひごを編んだら、その対角線上にある反対側の角を起点に編みます。
こうして、4つの角で編み終わったら、このような形に。ひごとひごの間の空間が、きれいな四角になるように細かな調節を繰り返し、また次の作業(右利きの人にとって止めやすい縁のとめ方)のために、編み込みすぎた部分をほどいていきます。詳しくは、ばってん(×)になった部分で、必ず右から左上に向かっている竹ひごが常に上になるようにしておきます。
この時点でもうカゴ然としていていい感じですが、ここからが最後の仕上げ「縁どめ」の作業です。
縁の止め方は色々ですが、今回は「共縁」といって編み上げた竹ひごのみを使って、斜めにうまく重ね合わせていって、ひご同士が固定され動かなくなる縁どめの方法を学びます。
先ほど右から左に向かってぴらぴらと開いている竹ひごを1本右手に持ち、山型に左に曲げながら、左から右へ向いた竹ひご4本の下(★)をくぐらせ、先ほどの「×」部分のすぐ下の四角い穴を含めて6つ目の「穴」めがけて差し込みます。(文章ではなかなかわかりにくいですね。参加された方は備忘録まで)
これを平行に左側に向かって同じように繰り返していくと、最初はやんわりとした縁ができます。
それを今度は「穴」の後ろから竹ひごを引っ張り、徐々に徐々にひご同士を、隙間のないようにしっかり締めでいきます。
実はこの日「共縁」の工程がうまくいかず、未完成でのお渡しとなってしまいました。参加者のみなさまには、申し訳ございませんでした。この場をお借りしてお詫びいたします。
(★)ここが写真では2本になっていますが、実際には4本のひごをとります!
原因は翌日には解決!(★)のところの本数を2本とご案内していたことが原因だとわかりました。すぐに修正して、8/9の室礼でのワークショップでは、みなさんしっかり仕上げることができました!(7日ご参加者の皆様には、後日仕上げの方法を描いたお手紙と完成版の竹カゴを別途三原さんが送ってくださりました)
文字にすると伝わりづらいですが、編みから縁の仕上げまで、みっちりやって3時間ちょっと。過酷な環境ながら、みなさん最後まで一生懸命にかご作りに励んでいらっしゃいました。お疲れ様でした。
最後に、スパイス研究所のご近所にある「お菓子司 うえき」さんの「もなかアイス(抹茶やイチゴ、小豆、バニラなど)」を食べながら、三原さんより「笑竹堂のこと」「竹の伐採~ひごづくりまで」や「台湾や中国での出張ワークショップの様子」「別府の竹細工のビデオ」を映像で見ながらのお話を伺って、ワークショップは終了となりました。
印象的だったお話をいくつかご紹介します。
●まず、竹ひごつくりの工程で行う「面取り」という作業について。
ちょうど断面から見ると、台形のようにひごがなっていて、編む時やまた製品になった時も、表面のひごの手触りが角張っていなくて、滑らかになります。一つ一つのひごにそのような加工がされているのかと思うと、気の遠くなるような作業の積み重ねです。職人さんの地道な手作業が、あのやさしいぬくもりある肌触りを生んでいるのだなと納得しました。
さらに今回の竹では行っていませんが、「磨き」という竹の表面を削る加工もあるのだとか。これは職人さんのこだわり、あるいは使う人の好みにもよるのだそうですが、この「磨き」を行うと、時間が経つにつれて、竹の色が「飴色」に変化していくのだそうです。その使い込まれた、時を経て醸される美しさは、やはり竹細工ならではの味わいではないかと思います。今度、お店や博物館などで竹細工を眺めることがあるならば、ぜひ表面にも気をつけて見てみるとよいのではないかと思います。
●次に竹製品のメンテナンスについて。
竹は湿気を嫌います。風通しの悪いところ、湿気のたまるところに置いておくと、カビが生えてしまいます。特に今回のカゴはそこまで気を遣わなくてもよいそうですが、流れている空気に触れさせることで、長く使うことができるとおっしゃっていました。竹製品を長持ちさせるには、やはり湿気は禁物だそうです。
●最後に竹林、里山の保全について。
三原さんの住んでいらっしゃる由布市は、竹林も多く周囲は里山なのだそう。その近隣の里山資源を生かしながら、竹細工を生業とされているため、「里山を守る」「持続可能である」ということを、製品作りにおいても生活においても第一に考えていらっしゃいます。特に竹林は全国的にみても、質の高いマダケが手に入る九州にありながら、年々持ち主の高齢化などによって竹林の管理ができなくなってきているとのこと。そこで三原さんは、自分が無償で竹を譲ってもらうかわりに、間伐の作業を行い、竹林を守る活動を続けているのだそうです。三原さんご夫妻の竹細工は、そのような住んでいる里山を守りながらその資源を生かす、土地と暮らしとが直結したものになっています。
[笑竹堂faceboookより]
そんなお二人は、決して大分に留まるのではなく、様々な場所へ出向いて竹製品を販売したり、各地の職人の元を訪ね技術を学んだり、そしてまた今回のワークショップもそうですが、竹の文化を伝え、身近な里山の保全についても理解を広める精力的な活動をなさっていることに、非常に共感を覚えました。そして最近、今注目の「民泊」ができるよう営業許可をとられたのだそう。今後のお二人のご活躍が楽しみです!
この日、ENZA世話人の私・桾沢も一緒にカゴづくりをさせていただきましたが、四つ目編みの途中でひごが折れてしまったり(三原さんご夫妻の息の合った修正に助けられました!)、「立ち上げ」のところも難しかったです。それでも平面からカゴになっていく面白さはなんともいえないものがあり、竹という素材の自由度と機能性に驚きました。そして、三原さんご夫妻のように竹細工の技を過去から継承し、各地域で職人さんたちが地道に守り、頑張っておられることに改めて感動した次第です。
みなさん、本当に暑い中ありがとうございました!堀田さんはじめ、三条スパイス研究所のスタッフの皆様にもこの場を借りてお礼申し上げます!2日後、ENZA Workshop#004「竹カゴ」は、室礼での開催につづく…。
ENZA-W#004「竹カゴ」8/7(月)・9(水)開催!
「そこにあることを、自分ができることに変えていく」というテーマのもと、一つの場をぐるりと囲んで寄り集まり、ともに経験をしながら、個々の興味を深化させていこうと始まった「ENZA」。
6月のENZAで出会った大分県由布市の竹細工職人・三原さんご夫妻を講師に、竹カゴづくりワークショップを開催します。この季節にぴったりの涼しげな竹カゴ。竹細工の本場である大分で修練を積んだお二人から、基本的な竹細工の編み方の一つ「四つ目編み」とかごの縁の仕上げ「共縁(ともぶち)」の方法をじっくり学びます。動画を見ながらの解説や竹カゴにまつわるお話も伺います。
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●日時と場所:
①2017年8月7日(月) 13:30~16:30
三条スパイス研究所/ステージえんがわ(三条市条市元町11−63)
※「三条鍛冶道場」または市営駐車場をご利用ください。
②2017年8月9日(水) 13:30~16:30
KOKAJIYA2F室礼(新潟市西蒲区岩室温泉666) http://daidoco.net/kokajiya/
※駐車場は「いわむろや」の駐車場をご利用ください。
(①と②の内容は、同じとなります)
●講師:
笑竹堂 竹細工職人 三原啓資さん・萌枝さんご夫妻
【講師プロフィール】
三原啓資、1968年岡山生まれ。三原萌枝、1985年新潟生まれ。ともに大分県竹工芸訓練・支援センター(別府市)を修了。のちに結婚し、大分県由布市の里山で夫婦で自ら山に入り、竹を切り出し、暮らしの道具として使いやすく丈夫なかご作りを続けている。
屋号:笑竹堂
●内容:
・青竹カゴ(直径18㎝、高さ8㎝)づくり
※編み方は四つ目編み、縁の処理は共縁です
・竹カゴにまつわるお話
●参加費:4,500円(材料講習費込、お茶菓子付き)
●定員:①15人 ②10人
●申し込み・お問い合わせ:
TEL 080-4051-1211(ぐみざわ)or メール(info@bricole.jp)まで。
「8/〇のENZAワークショップ参加希望」とお伝えのうえ、「お名前、連絡先、参加人数」をお知らせください。
●主催:Bricole(ブリコール)
●協力:三条スパイス研究所/三条市まちなか交流広場 ステージえんがわ/KOKAJIYA/NPO法人いわむろや
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<参加者の方へのお願いとお知らせ>
※①は屋根付きの屋外、②は古民家での開催ですので、なるべく涼しい服装(気になる方はエプロン持参)でお越しください。
※会場は暑くなります。熱中症予防のため、飲み物を各自ご持参ください。
※①ではゴザの上での作業です。必要な方は座布団をご持参ください。
※両会場ともにレストラン(①三条スパイス研究所 ②灯りの食邸 KOKAJIYA)がございます。ぜひワークショップ前のランチも合わせてお楽しみください。
三原さんご夫妻と可愛い娘さん [笑竹堂faceboookより]
*四つ目編み(上から)
(底裏から)
【BOOKS f3 × Bricole】本屋で手しごとvol.01「カマダイ」開催します
ブリコールからのお知らせです。
室礼でも何度も開催してきたワラ細工の鍋しき「カマダイ」づくりのワークショップ。今回は、中央区沼垂にある本屋「BOOKS f3」さんでやります!
昨年青刈りした稲ワラを使って、自分だけの鍋しきをつくってみませんか?お仕事帰り、初めての方大歓迎!藁文化に関する色々な本もご紹介します。
【BOOKS f3 × Bricole 企画】
本屋で手しごと vol.01「カマダイ」
◆日時:2/27(月)19:00〜20:30
◆場所:BOOKS f3(新潟市中央区沼垂東2-1−17)
◆伝える人:桾沢厚子(Bricole / KOKAJIYA2F 室礼運営、ENZA主催)
◆内容:予め用意した稲わらの芯に藁束を編み込み、ミニカマダイ(直径13cm前後)をつくります。
◆参加費:2,000円(材料費込み・ドリンクと干し柿付き)
◆定員:5名程度
要申し込み:【info@booksf3.com】宛に「お名前・人数・連絡先」を明記
定員に達したため、申し込み受付終了となりました
ENZA w#003「鳥のしめ縄」@旧笹川家住宅 開催しました
2017年は、昨年12/11に開催したENZA workshopの3回目「鳥のしめ縄」づくりのレポートからスタートです!本年もどうぞ、室礼とブリコールをよろしくお願いいたします。
酉年の今年にぴったりの“鳥”を形どった「しめ縄」。いわゆる神棚用の注連縄、牛蒡締めや輪(玉〆め)飾りなどはよく見かけますが、なかなかありそうで身近にはないお正月飾りの一つではないかと思います。企画した私自身も『民藝』(第673号 特集:しめ縄)という本からその存在を知り、写真などを参考にワラ細工職人の山際辰夫さんに試作をお願いし、ワークショップ実現に至りました。
お正月飾りも最近は様々なものがみられます。中には稲藁は使わず、水引や和紙、飾り紐、造花、手拭いなどで作られているものも店頭で見かけるようになりました。しかし、やはり「しめ飾り、しめ縄」といえば「稲藁」ではないかなと思います。
藁文化の研究者でいらっしゃる宮崎清先生(千葉大学名誉教授)は、「藁は、草冠に高いと書いて、下に木と書く。これは稲作が伝わって以来、主食としての米だけでなく、藁そのものが多種多様な生活の道具類に用いられ、全く捨てるところもない。木よりもっと利用価値の高い草なのだという意で、この字があてられたのではないか。いわば稲藁の文化は、日本の人々の心を支える大切な文化なのだ。」とおっしゃっています。
そんな稲藁を手で綯(な)い1つ1つ丹精込めてつくられる「しめ縄」は、時代は変われど、私たちの暮らしを支えてくれている大事な「生きる」ためのアイテムではないかなと思います。ENZAでは、ただ手を動かしてものをつくるのではなく、そういった「ものが生まれる背景」まで思い巡らせる、そんな時間と空間を今後もつくっていけたらいいなと思っています。
さて前置きが長くなりましたが、新潟市南区味方にあるの国の重要文化財、《旧笹川家住宅》にて、山際辰夫さんを講師に開催したENZA w#003の様子をお伝えします。
まずは、しめ繩の太い部分を作るための「芯」作りです。以前、カマダイ作りの際に余った穂先の藁を芯に使います。藁スグリをしたくず藁を使うこともできますが、初めての方でも綺麗に芯が作れるようにと山際さんがご用意くださりました。今回のワークショップでも、米寿の山際さんが昨年、春の種蒔きから青刈り、乾燥まで手をかけ作ってくださった青ワラを使用しています。
畳店で余った畳をほどいて再利用している「イグサ」を紐代わりにして、くるくると巻きつけ、ばってんに交差して全体を巻き縛ります。芯を3つ用意したら、今度は縄ないのためのワラ束の準備です。
同じ太さになるよう、何度か左右で束を持ち替え、量を調節して3束作ります。
そのうちの2束を取り、根元に近い側から15〜18cm程度のところを、紐でしっかり8の字に縛ります。ここが左綯いの起点になります。
続いて、ここを起点として足を使って抑え、両手で2束のわらに時計周りに撚りをかけ、それらを反時計周りに交差させていきます。この作業、職人の山際さんの手にかかれば、ザザッと両手を滑らかに動かされ、あっという間に撚りの力も適度に加わった左縄ができていきます。
今回参加者の中には、「室礼」のHPを見て宮城県栗原市から駆けつけて下さったとても熱心な男性もいらして、縄綯いは普段教えていらっしゃるとのことで、さすが慣れた手つきで撚りをかけてます。
2、3回交差させたら今度は、先ほどの芯を各々ワラ束の中に包み込み、縄綯いを続けます。この時、芯がワラ束の外から見えないようにすることがポイント。
参加者のみなさんが、撚りをかけながらの縄綯いに苦戦したり、逆向きに撚りをかけたりしていると、順次、山際師匠の修正の手が入ります。
不思議と縄綯いをやり直しても、ワラには柔軟性があり、そこまで仕上がりに影響はないようです。
鳥の胴体のところの縄綯いが終わると、そこで一旦紐できつく縛って止めます。
さらにもう一つ残しておいたワラ束を、最初に8の字に紐で止めた起点に追加し、同様の撚りをかけます。途中で芯を挿入しながら、しめ縄に絡みつけていきます。綺麗に縄綯いできたら、三本縄綯いの作業は終了です。
表面にぼそぼそと出てきたワラは、綺麗に切り整えます。
こうしてお腹に丸みのある、鳥のしめ縄の胴体部分が完成!
続いて、鳥の足の部分の「下げ飾り」を作ります。芯にはワラ縄を使い、その周りには、先ほどの藁束を切った残りを無駄なく使います。
バナナの皮のように全方向にワラを折り曲げていくと、足の「下げ飾り」ができていきます。
その後、顔づくりへ。胴体の先を顔をつくるように曲げ紐で固定。目打ちやドライバーで穴を拡げ、目になる部分を作ります。(少々痛々しいですが・・・)
胴体や下げ飾りの作業に取り組む間、余力のある参加者の皆さんは、しめ縄本体をぶら下げるのに使う「イグサの縄綯い」に山際さんの手つきを見ながら、トライされていました。こちらの縄綯いは、右綯い(反時計まわりに撚りをかけ、時計回りに交差させる)です。
イグサは、茎がまっすぐで枝分かれがなく、ワラのように途中でぼそぼそと出てこないので、出来上がる縄もつやっとした仕上がりになります。
鳥の胴体部分を弓状に曲げ形を定めたら、先ほどのイグサ縄で引っ張って結びます。
最後に、足(下げ飾り)をボンドで固定して出来上がりです!!
「イグサの縄綯い」は、凸凹が少なく平坦に長くできるのが特徴。慣れてくるとズリズリっといい音が出てくせになる作業です。先ほどの栗原市の男性が、隣の方に縄綯いを教えて下さったりして「車座になって集い、自分のできることを持ちより共有する」というENZAならではの光景も見られてうれしかったです。
完成後は、南区月潟にある老舗の、お菓子司「まさや」さんの美味しい“みそ饅頭”を頬張りながら、出来上がった鳥のしめ縄を眺めたり、記念写真を撮ったりして過ごしました。
最後に、会場として使用させていただいた《旧笹川家住宅》は、昭和28(1953)年に民藝運動で有名な柳宗悦、濱田庄司らが、イギリス人陶芸家のバーナード・リーチを連れて訪れた場所。リーチは、1953~54年にかけて日本各地の窯場をめぐり、制作、講演会、展覧会、会合など多忙な日々を過ごしたそうです。リーチはその旅を克明に記録し、絵入りの日記に残しており、その中に「十月十二日 私たちは、これまでに見たうちで最も魅力のある家宅(※)の一つで夜を過した。ここには古い領主の家と、見事に釣合のとれた、静かで威厳にみちた庭がある。この家は「下手」(げて)ではなく、「上品」だ。しかも洗練され過ぎない立派さがあり、荒けずりな田舎じみたところは少しもない」と、感想を述べています。(柳宗悦訳、水尾比呂志補訳『バーナード・リーチ日本絵日記』講談社学術文庫 2002年)
※この家が笹川邸であったかどうかは、本の中では「笹川」の文字が見られないのですが、昭和45年刊の『郷土資料事典 新潟県・観光と旅』(人文社)の笹川家住宅に関する記述を参照しました。
>>追記 昭和30年8月発行の『民藝』(第32号)において、伊東安兵衛による「笹川邸を訪ねて」という記述の中で、確かにリーチらが笹川邸を訪れていたことを確認できましたので、上記は事実のようです。
ワークショップ当日、貴重な冬の晴れ間が見られた笹川邸の縁側。重要文化財なので電気や暖房などは最小のため、ほぼ屋外に等しく寒いです・・・(苦笑)
旧笹川家住宅は、江戸時代には味方8カ村を束ねる大庄屋であった名家で、当時から権威ある立派な佇まいだったと思いますが、時を下った今、空間に身を置いて感じるのは、大らかで素朴な自然との関わり、そしてそれを楽しむ余裕、自由な遊び心があったのではないかなと思います。また機会があればぜひ利用したいと思います。
参加者のみなさま、笹川邸の白倉さん、南区地域課のご担当者様、お菓子を紹介くださった堤さん、そして山際さん、どうもありがとうございました!!
【おまけの後日談】
栗原市の男性は、実は一般社団法人 くりはらツーリズムネットワークの事務局長をやられている大場寿樹さんで、ワークショップご参加後「さっそく宮崎清先生のご著書も読み、イグサも用意してオリジナルで作ってみました」とさらに改良を加えた「鳥のしめ縄」を創られ、画像を送ってくださりました。その行動力と応用力がすばらしいです!!くりはらツーリズムネットワークのHPを拝見すると「栗原地元食大学」「栗原手づくり市」など面白そうなプロジェクトの数々・・。多種多様な地元栗原での体験プログラムは、2015年度グッドデザイン賞も受賞されているそうです。新潟と栗原市は少し離れていますが、今後どこかで交流、またご一緒できる機会があればいいなと思います。大場さん、ありがとうございます。
また「鳥のしめ縄」を気に入ってくださった、沼垂の《BOOKS f3》店主の小倉快子さん。後日、山際師匠が作られたものをお店にお届けに。素敵に飾って下さりました。写真はtwitter(@booksf3)から拝借。小倉さん、どうもありがとう!
ENZA fieldwork #001 「MADAKE」
ENZA fieldwork #001 「MADAKE(マダケ)」
冷たい雨の降る11月27日の朝、土着ワークショップの講師でお世話になっている竹細工職人の阿部晋哉さんに同行し、山形県鶴岡市温海町鈴地区にあるマダケ(真竹・カラ竹)の地区共有林での伐採の様子を見学させていただきました。
マダケは竹細工、特に編み細工に適した種類の竹で、日本では青森が栽培の北限とされているそうです。中でも温暖な気候の九州の真竹は質が良く、大分は全国一の産地だそうです。
そんなマダケの竹林が東北の山形にあり、現在も「地区の共有林として、地区の有志たちによって維持管理されているのは、なかなか珍しい例ではないか。人の手の入ったという意味では、マダケ竹林の北限かもしれないね。」という阿部さんのお話を伺い、「ぜひ一緒に拝見させていただきたい」とお願いをして今回の同行が叶いました。
せっかく鶴岡に行くので、以前トークでご一緒させていただいた「日知舎」主宰の成瀬正憲さんにもお声がけしたところ、見学する地区がご自宅から車で15分のところだという偶然が重なり、ご一緒することになりました。
マダケの産地といえば新潟にも佐渡があります。佐渡は竹細工で有名だったのですが、近年は、職人の高齢化や竹細工製品の需要減少などで、マダケの竹林は荒れてきてしまっているとのことで、かつてのような地域産業としては維持が難しくなっているようです。
阿部さんは、大分県の別府で竹細工を学び、職人としての仕事をスタートされている経緯から、新潟に戻られた後も九州の真竹を使っているとのことですが、「材料が住まいの近くで手に入るにこしたことがないよね。佐渡も検討したけど、島なので船による運搬費がどうしてもかかってしまうんだよね。」とおっしゃっていました。
今回、温海町の竹林を訪れた経緯は、竹林の維持管理を担っている鈴地区の自治会のみなさんが、「自分たちの竹をもっと活用ができないか」と鶴岡市温海町の観光活性化事業と絡めて検討をされる中で、インターネットを通じて阿部さんのことを知り、「ぜひ一度私たちの竹を見てもらって、竹材・竹林の活用について意見をもらえないか」とお声がかかったそうです。
阿部さんの工房のある新潟市西蒲区からは高速を使って2時間あまり。村上の笹川流れからほど近い、温海町の五十川(いらかわ)・鈴(すず)というエリアにある、日本海沿いの国道7号線からすぐの場所に、その竹林を抱える山はありました。
道路脇から1本道を入るとそこはもう山。自治会長の佐藤さんのご案内で、斜面に沿った道を車でくねくねと上がっていくと、目の前に竹林が現れます。
雨が降っていたので、滑りやすい足元に気をつけて進んでいくと、うっそうとした竹林内に入ります。
竹林にはマダケだけではなく、栗やクヌギ、柿といった広葉樹や杉もところどころに植えられていました。元々畑として使われていた土地の名残だそうです。
足元にはマダケの地下茎が見えたり、色々な葉っぱが落ちていました。
地区の方は、維持管理されているといっても、それを専業としてやっているわけではないため、みなさん長年やられている(一番長い人で30年以上)方に教えられながら、毎年一回有志で集まり、この11月に伐採をし、少しずつ間引く作業をやっているそうです。この日は30〜70歳代まで(メインは60歳代)計15人で伐採作業をされていました。
途中、昨年伐採した竹が横たわっていたところがありました。置き場は他所へ持っていくのが大変なので、邪魔にならないような場所にまとめて置いておくのだとか。
斜めに倒れているのが、倒竹や今年の伐採によるもの。
竹林は密ではありましたが、思ったほど暗くなく、やはり人の手が加わっているのだと実感します。
まっすぐに伸びる竹や枝葉が凛とした印象でした。
足元は落ち葉などでふかふかしていて、歩いていて気持ちのよい竹林です。
また、上を見上げるとカサカサとした枝葉が見え、昼の光も入ってきます。
自治会長(以下会長)“ここのカラ竹(マダケのこと、鈴地区の皆さんはそう呼ぶ)は、一応管理するのに予算もあるので、肥料はやっているんです。昨年は230本、欲しいという人の元へ販売させてもらいました。でもその伐採を自治会有志でやるのには、とっても大変でした。だから今年はできない。ここの竹は1年おきくらいに豊作になるんです。肥料もやっているし、質はいいのではないかと。ここは日本海側だけど、対馬海流(暖流)の影響を受けているから、割合あったかいんですよ、内陸に比べて。ここは山形で一番雪が降らないんです。内陸にはマダケはない。ただ、冬雪に降られるとダメだね。折れてしまう。春はね、筍が美味しんですよ!”
春になると、地区の皆さんで筍を採りに行き、6月には「鈴カラ竹まつり」という筍のフェアを開催。30年前からやっているまつりで、筍汁にしてふるまったり、海の幸などとともに朝採りの筍を販売しているそうです。
会長 “カラ竹はね、孟宗竹より生えてくるのが1ヶ月遅れるんです。もちろん、孟宗竹の筍の方が断然美味しいのですが、ここの筍は、通常のカラ竹だと「えぐみ」があるんですが、ここのは全然「えぐみ」がなくて美味しいですよ。”
ただ、筍の採れる量が毎年一定せず、沢山とれれば問題ないのですが、収量が少なすぎてまつりが行えない年もあるのだとか…。そのため、近隣や道の駅にしか出回らない筍になっているといいます。
阿部さんは竹林を見て、「これだけの竹林の規模で、こうして地区ぐるみで管理できているのは、貴重なことだね。」と何か手ごたえを感じていらっしゃるご様子でした。
会長 “この竹林をね、なんとかこの11月の間伐の時期と6月の祭りに合わせ、ツアーのようなことができないかと考えたりしているんです。鶴岡市役所温海庁舎の観光課の方や自然における体験活動を企画なさっている方と一緒に。”
阿部さん(以下敬称略) “そうですね。道をきちんと整えれば、散策もいいかもしれませんね。”
「せっかくなので、何本か伐っていきますか?」と自治会長さんがおっしゃり、その場で「それじゃ、1本いただいていきましょう」と阿部さん。加工に良さそうな太さに成長した(2、3年の)竹1本を選び、あっという間に切り分けていらっしゃいました。
会長 “竹の年齢はどうやって見分けるんですか?”
阿部 “枝を見れば、だいたい1年に1本ずつ枝が、枝分かれして生えていくので、何年かわかるんです。あとは色で見分けるのが一番ですよ。寿命は6,7年。一番使いやすいのは3年位ものですね。1年目はまだ足元に皮が残っているんです。”
この日は雨で想像以上に蒸し暑くて作業も思うように進まないとのことで、早めに切り上げ2時間ほどで伐採作業は終了となりました。
ご自身も「シャキシャキおろし(鬼おろし)」(竹の大根おろし器)を作ったり、30年以上竹林管理に関わり、地元のカラ竹の広報役をなさっている男性は、「これは昔から立派な竹だって伝えられているんですよ。8枚に裂ける(割れる)んだって。だから竹細工屋さんは数いっぱい取れるので儲かったんだって。節が高くなくて、素性の良い竹なんだと。そうとう昔っから竹林はあったよ。竹材としての価値が昔はあったんでね。今は道路があるけど、昔は道路もなく、全部人力で担いでたんだよ。それだけ事業として成り立ってたんだね。ここは「台風なし」と言われ、風がない分、生育もいいんですよね。ただ、雪でやられる。ところどころ、倒竹対策に木を植えているんです。あと杉の木とは競争して伸びるらしいんですよね。」
広報役の男性 “竹林管理人が一人でもいればいいんですけどね。あと綺麗にして遊歩道でもできたらね。竹林の散策、深緑の竹はすごいですもんね。この辺の家は、みんな山持ちなんだ。でも管理となるとなかなかできない。私も1年に一回山に入ればいい方なんです。”
会長 “去年、花が咲いたんですよ。言い伝えでは、竹林では花が咲くと、それは寿命が来た証で、翌年枯れてしまうのだとか。でもまだ枯れていないですけどね。”
広報役の男性 “寿命120年説もあるし、60年説もある。120年じゃ当時を知っている人ほとんどいないからね。私が聞いた話では、かつて竹林が枯れてしまった時、一番最初は紫の花が咲いて、その次に白い花が咲いた。そういう記録は石に彫っていればいいですけど、残っていない。せめて私の聞いたことは記録しておいているんだけどね。”
その後7号線に面した、自治会長の経営されるそば処「売虎庵」(うるとらあん)にて、昼食をいただきながら阿部さんを囲み、しばしの歓談に。
竹林管理に30年以上関わってきた村の大工さんの話では、「わたしらの上の上(じいちゃんたち)の世代までは竹を竹材として売ったり、加工してばあさんたちがさらに編み加工をかごやてご(漁師のかご)といった売りものにしたりしていた。けどいつのまにか、編みはまだできるかもしれないけど、竹の材料そのものをひごに加工したりできる人がいなくなってしまった。それを専業にする人がいないからね。」
実際、鶴岡市にもかご屋はあるそうなのですが、そこに鈴地区の真竹を竹材として入れるには、その手前での「加工」が大変で手間がかかるので、事業としては成り立たないということでした。
会長 “ひごっていうのは私たちでもすぐにできるもんですか?”
阿部 “できますよ。ざっくりとしたひごであればナタと小刀があれば。マダケはね、乾燥も早いし、割ればすぐに使えるんですよ。ただ、私たちが伝統工芸品として編み作業をする場合は、もっと繊細な厚みや幅のひごが必要なので、専用の道具を使って、私たち職人は自分でひご作りからやるんです。”
会長 “なるほど。それ専用の道具もそろえなきゃいけないんですね。私たちが竹をあまり手間をかけずに使えるとしたら、どんな使い方ができますかね?”
阿部 “それこそ、筍を販売されているなら、筍を入れる「かご」をそのマダケのひごで作るとかね。編む技術はあるというなら、それがまずできることかもしれない。”
会長 “では、次回いらっしゃる12/11には実際に、うちの竹を使って「ひご」づくりをやりませんか?阿部さんに教えていただきましょう。どんな竹を用意しておけばよいでしょう?”
阿部 “さっき伐ってきた3年くらいのものが使いやすいね。6寸、7寸くらい。あとは、「竹箸」とかね。温海町の温泉旅館で使うとか、どこか使う先(需要)がないとなかなか商品化するには難しいかもしれないけどね。”
・・・そんなやり取りが続きました。
短時間ではありましたが、「地域にある素材」をいかにして「生きた素材」にしていけるのか、そこにはもちろん地域の人達の思いや生かす手が必要なうえ、「他所からの目や人」が加わってこそ動くことがある。そういった端緒を感じた現地見学(フィールドワーク)となりました。
後日12/11には、もう一度阿部さんが現地に行かれ、実際に竹のひご作りから箸をつくるという実践編をやられることになり、成瀬さんもご参加されたとのこと。またその時のお話を伺えたらと思っています。
<こぼれ話>
売虎庵さんにあった鶴岡の民芸品「御殿まり」。栃尾の手まりにも近いなと感じました。また、自治会長自慢のお蕎麦ももちろんですが、沖で獲れるという「ガサエビ」の天ぷらが最高に美味しかったです!窓から日本海が眼前に一望できるのが贅沢かつ開放的で素敵なお店でした。
ENZA w#002「カマダイ」@室礼 開催しました
あっという間に師走入りしてしまった2016年。今年初めてとなるワラ細工のワークショップ「ENZA workshop#002 カマダイ」を11/23の祝日に行いました!まずは皆さんとの記念写真から。
「室礼」で開催するのは久々ですが、西区在住の講師・山際辰夫さんと行う「カマダイ」作りは今回でもう5回を数えます。
材料となるお正月の「注連縄」用のきれいな青藁。今年も山際さんにご用意いただきました。
余分な葉の部分をすぐって、綺麗な束にした藁をカマダイ用に長さを切りそろえていきます。スタート前の準備時間、すっかり慣れたご様子です。
そしてワークショップがスタート。青い藁束に触るのが初めての方も多く、加工しやすいよう叩いた(機械で潰した)後の柔らかさを感じたり、香りを嗅いだりしていました。草餅に似たような、いい香り。
「ENZA」という名をつけた本ワークショップ、文字通り「円に座って、縁ができて・・」となるよう座布団を円状に並べています。
芯にするのは「くず藁」。まさにすぐった後の葉の部分を使います。昔は「くず藁」を藁布団の中に入れ、最後まで利用していました。穂の出る直前で刈り取った藁のため、穂はありませんが、その穂先部分も、山際さんは「注連縄」のお飾り部分に使います。これで無駄なく稲藁を使うことになり、山際さんが常々おっしゃっている「稲藁は捨てるところがないんだよ。全部使えるんだ」ということを実感します。
下の写真は、山際さんお手製の注連縄の飾り部分。大黒米の前後にある細い部分が、先ほどの穂先の藁です。細かさがお飾りの繊細さを引き立てています。
さて、ワークショップでは、くず藁を用いた芯作りに入っていきます。
ワークショップを重ねてきて思うのは、カマダイ作りのポイントは、この「芯作り」ではないかと。この芯が凸凹していたり、細すぎたり、ぐらついていると、仕上がりもうまくいきません。芯がしっかりして、かつ平らで平均的な分厚さになるように作ることが大切です。
2回目のご参加となる方も、しっかりと芯作りをなさっていました。藁でのくくり方があまいと緩んでしまうので、確実に留めていきます。
一見簡単そうに見えるのですが、意外に難しいこの作業。この芯作りが肝心なので、しっかり触って厚みや密度を調節しながら丁寧に作っていきます。
作りたい大きさが大きいと、その分芯も大きく、しっかりと作ります。
手で押さえたりして、密度を確かめているところ。
時間はかかりますが、丁寧に皆さん作っていらっしゃいました。
作りたいカマダイの大きさよりも2cmほど小さい円になったら、はみ出た藁をカットし、平らな表面にしていきます。
これで芯の完成です。今回は、大きさを一律にせず、それぞれにご希望の大きさのカマダイを作っていきます。
芯ができたら、いよいよ編む作業です。
毎回取る藁の厚さ(本数)を一定にし、左右の順番をいつも同じにして、編み込んでいきます。
仕組みがわかるとスイスイ編めるようになりますが、それまでは手に力が入ったり、頭で考えてしまったりします。でも慣れてしまうと、簡単なんですよね。山際さんはお一人お一人にわかりやすく教えてくださるので、参加者の皆さんも飲み込みが早くてびっくりです。
その山際さんに教えていただいた私(ENZA世話人の桾沢厚子)も、ようやく一通りは教えられるようになったかなと思います。でもまだまだ…。
コーヒーの湯沸かしポット用にと「小ぶりのカマダイ」に着手された2回目の参加者さんは、すっかり手つきが安定していらっしゃるようです。網み目の仕上がりも綺麗!
お隣さんに楽な持ち方をアドバイスされていました。「ENZA」は自分のできることを持ち寄って交換したり、お互いに技を磨いたり、興味を深めたり・・という場をめざしているので、こういう場面は嬉しいですね。
「室礼」の階下、KOKAJIYAはお昼時。お腹の空く時間帯でしたが、皆さん手を休めずに作業に集中されていました。
ここからは編み込み作業の様子が続きます。
だいぶできてきました。
編み込みで円を一周し終えると、仕上げにイグサの縄でしばります。山際さんの手で綺麗に縄ないされたイグサの縄。
一番最初は、先ほどの「小ぶりのカマダイ」を作られていた方のカマダイが完成しました!
そして他の皆さんも、次々と仕上げに入ります。
動画撮影で記録も。ここ、重要ですね。
あとは、端っこを切り揃えるだけです。
ダッチオーブン用にと、一番大きなカマダイに挑戦された参加者の方も、だいぶ編みあがってきました。
編みあがった方は、残った稲藁で初めての「縄ない」にも挑戦。つるっとしたイグサとは仕上がりは異なりますが、この「縄ない」も楽しい時間です。
子供の頃からの経験がある山際さんの「縄ない」は、なんというか姿そのものがかっこいいです。ズリズリッとリズミカルにいい音が出るんですよね。
無事、皆さん完成し、お茶タイムへ。このワークショップ開催のきっかけになった、もともと小鍛冶屋の蔵にあった古くて美しい「カマダイ」を眺めながら、仕上げの違いについて話したりしました。
参加者の皆さんには、予定より大幅に時間がかかってしまい申し訳なかったのですが、それぞれに思いのこもった素敵な「カマダイ」ができて本当に良かったなと思います。どうもありがとうございました!そしてKOKAJIYAのメンバー、講師の山際辰夫さんにも感謝です。写真はいつもの通り、ブリコールの桾沢和典が担当しました。
ENZA-W#003「鳥のしめなわ」12/11(日)開催!
「そこにあることを、自分ができることに変えていく」
干し柿、カマダイに続き、
しめ縄(注連縄)とは、「外から悪いものが入らないように」と古の人たちが考案した、神を祀る神聖な場所を他の場所と区別する「結界」の機能をもつもの。今回作る「鳥のしめ縄」は、宮崎県の高千穂地方の酉(とり)のしめ飾りや、広島県の鶴飾りなどを参考にしています。
熟練した職人を講師に、しめ縄の要となる稲藁の縄綯(な)いや左綯い、3本撚(よ)りの基本を学ぶことができます。飾ったしめ縄は、1年中飾ることができ、藁の色の変化も楽しめます。「2017年が素敵な年になりますように・・・」手作りのしめ飾りに祈りを託してみませんか?
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ENZA(えんざ)-Workshop 003 ワラ細工「鳥の注連縄(しめなわ)」
●日時:2016年12月11日(日) 12:30~16:30
●場所:旧笹川家住宅(新潟市南区味方216)内の居間
※駐車場(無料)がございます
●講師:ワラ細工名人 山際辰夫さん
●参加費:4,500円(材料講習費・入館料込、南区のお茶菓子付き)
●定員:10人
●申し込み・お問い合わせ:TEL 080-4051-1211(ぐみざわ)or メール(info@bricole.jp)まで。
「12/11のENZAワークショップ参加希望」とお伝えのうえ、「お名前、連絡先、参加人数」をお知らせください。
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<参加者の方へのお願い>
※床の電気カーペット以外の暖房がないため、暖かい服装でお越しください。
※お子様連れの方もご参加できます。お気軽にご相談ください。
●主催:Bricole(ブリコール)
昨年、旧庄屋佐藤家で開催した土着ワークショップ「鳥の注連縄づくり」の様子 ↓↓
レポートはこちらをご覧ください。
縄綯い(右縄)
芯づくり
左縄綯い
左縄綯い
鳥の形に
下がり飾り(足の部分)づくり
完成後の記念写真
2017年用【山際さんの注連縄・玉〆め】注文販売【終了いたしました】
お待たせいたしました!「注連縄・お正月飾り」の販売についてようやくの告知です。
今年も新年(2017)年用のお正月飾りのオーダー販売をさせていただきます。ワラ細工職人の山際辰夫さん(88歳米寿!)による、「注連縄」(しめなわ)と「玉〆め」(たまじめ)です。
【2017年用お正月飾りラインナップ】
●注連縄(しめなわ) 主に神棚用に 床の間などにも飾れます
・1尺(約30cm)大黒米飾り1つ付・・・・2,500円(税込)
・1尺5寸(約45cm)大黒米飾り1つ付・・・・3,200円(税込)
・2尺(約60cm)大黒米飾り3つ付・・・・4,000円(税込)
※3尺まではオーダーが可能です。
【1尺5寸(全体)】
【1尺と1尺5寸の比較】神棚がなくても、壁にかけて飾っても素敵です
【大黒米飾り(部分アップ)】先輩方から教わったというオリジナルの飾り
【1尺5寸(上部より)】ぎっしりと惜しみなく稲藁を使うのが特徴です
●【数量限定!!】玉〆め 玄関や鏡餅の周辺などに
(ヨコ約12~13cm タテ40cm前後)・・・・2,800円(税込)※下がり飾りの部分は「赤米」。
ご希望の方は「大黒米」にも変更可能です。
※紙垂(しで)は「白のみ」になります。
【玉〆め(全体)】玉のように注連縄を結ぶしめ飾りです
【赤米の下がり(部分アップ)】
【玉〆め上部(部分アップ)】
【大黒米の下がり(部分アップ)】
【大黒米の玉〆め(全体)】
【オーダー方法・お問い合わせ】
以下のメールか電話のいずれかでご予約ください。
【12/4(日)終了いたしました。沢山のご注文をありがとうございます】●メール [info@bricole.jp]
<記入事項>
お名前、(郵送希望の方は)ご住所、お電話番号、希望の商品名(大きさなども明記)、受取方法(室礼か郵送か)その他ご要望などあればお書きください。●電話 [080-4051-1211] 担当:桾沢(ぐみざわ)まで。
【受取方法】
お受け取りは、12月下旬となります。
ご注文順に作成しますので、日程はお返事の際にお知らせします。●「室礼」(新潟市西蒲区岩室温泉666 KOKAJIYA2F)でのお渡し
お会計はお渡しの際にさせていただきます。●郵送によるお届け
郵送をご希望の方には、振込先をお知らせいたします。
送料は実費となります。(都内へは「ゆうパック」で1つ¥1,000程度)
お振込の確認後、丁寧に梱包してお送りします。
【ご連絡事項】
●一つずつ手作りのため、多少大きさやバランスが異なります。
●数に限りがございますため、お早めにご注文ください。材料がなくなり次第終了となります。
●オーダー順、かつオーダーをいただいてからの制作となりますので、お届け日がご希望に添えない場合がございますことを予めご了承ください。
製作者・山際辰夫さんについてはこちらをご覧ください。
ENZA w#001「干し柿」@いわむろや 開催しました
小雨降る11/6、ENZA workshop#001「干し柿」づくりの2回目を、岩室観光施設「いわむろや」で開催しました。今回皮むきと湯通しは、いわむろやで行い、干し場を「KOKAJIYAの軒下」に変更しました。
使用した柿は、、前回の旧武田家住宅と同じ、巻の三根山農園さんによる、柿団地・稲島(とうじま)のおけさ柿です。今回も粒の大きい柿を箱いっぱいに分けてくださいました。
まずは、今回のワークショップ用に作成した『干し柿の栞』をお配りしつつ、柿についての小話をした後、皮むき作業に入りました。
勉強熱心な参加者のみなさんで、佐渡のおけさ柿のこと、干し柿のつくり方についてなど、色々な話で盛り上がりました。
皮むきも回数を重ねるごとに楽しくなるものですね。三根山農園の長津さんから「うちはピーラーを使うよ。そっちの方が早いしね」と伺っていましたが、最近では包丁の方がやり易くなってきました。お子さんと一緒ならピーラーがおすすめです!
皮むきの後は、湯通しです。この時、茹で過ぎに注意です!
湯通しを終えた柿は、そのままばんじゅうに載せ、KOKAJIYAへ車で移動。通りに面した軒下に干していきます。このころには、少し晴れ間も見えてひと安心。最初が一番カビやすいので、晴れているうちに、ささっと作業をしました。
KOKAJIYAには、このネックレス状の柿が本当に良く似合います。私たちが作業している横で、お食事中のお客様や通り過ぎる車からも見て下さっている方がいました。家を柿のオーナメントで飾っているかのようで、なんだかとても楽しい時間。
干し終え、すっかり屋外作業で冷えてしまった体を、KOKAJIYA2F「室礼」にあがっていただき、しばしのお茶タイムであたためました。
最後は、リズミカルに並んだ柿ネックレスの前で記念撮影! お湯を用意していわむろやに駆けつけてくださった夏井の農家・山上さんも加わり、写真を撮ってみると・・・「あら、KOKAJIYAの中のお客様までピース!」思わず笑みのこぼれる記念写真になりました。
参加者のみなさま、山上さん、いわむろやの小倉さん、KOKAJIYAのみなさん、ありがとうございます。これから次の手もみ作業まで、柿の変化の様子を見守っていきたいと思います。