ENZA(えんざ)
ENZA fieldwork #001 「MADAKE」
ENZA fieldwork #001 「MADAKE(マダケ)」
冷たい雨の降る11月27日の朝、土着ワークショップの講師でお世話になっている竹細工職人の阿部晋哉さんに同行し、山形県鶴岡市温海町鈴地区にあるマダケ(真竹・カラ竹)の地区共有林での伐採の様子を見学させていただきました。
マダケは竹細工、特に編み細工に適した種類の竹で、日本では青森が栽培の北限とされているそうです。中でも温暖な気候の九州の真竹は質が良く、大分は全国一の産地だそうです。
そんなマダケの竹林が東北の山形にあり、現在も「地区の共有林として、地区の有志たちによって維持管理されているのは、なかなか珍しい例ではないか。人の手の入ったという意味では、マダケ竹林の北限かもしれないね。」という阿部さんのお話を伺い、「ぜひ一緒に拝見させていただきたい」とお願いをして今回の同行が叶いました。
せっかく鶴岡に行くので、以前トークでご一緒させていただいた「日知舎」主宰の成瀬正憲さんにもお声がけしたところ、見学する地区がご自宅から車で15分のところだという偶然が重なり、ご一緒することになりました。
マダケの産地といえば新潟にも佐渡があります。佐渡は竹細工で有名だったのですが、近年は、職人の高齢化や竹細工製品の需要減少などで、マダケの竹林は荒れてきてしまっているとのことで、かつてのような地域産業としては維持が難しくなっているようです。
阿部さんは、大分県の別府で竹細工を学び、職人としての仕事をスタートされている経緯から、新潟に戻られた後も九州の真竹を使っているとのことですが、「材料が住まいの近くで手に入るにこしたことがないよね。佐渡も検討したけど、島なので船による運搬費がどうしてもかかってしまうんだよね。」とおっしゃっていました。
今回、温海町の竹林を訪れた経緯は、竹林の維持管理を担っている鈴地区の自治会のみなさんが、「自分たちの竹をもっと活用ができないか」と鶴岡市温海町の観光活性化事業と絡めて検討をされる中で、インターネットを通じて阿部さんのことを知り、「ぜひ一度私たちの竹を見てもらって、竹材・竹林の活用について意見をもらえないか」とお声がかかったそうです。
阿部さんの工房のある新潟市西蒲区からは高速を使って2時間あまり。村上の笹川流れからほど近い、温海町の五十川(いらかわ)・鈴(すず)というエリアにある、日本海沿いの国道7号線からすぐの場所に、その竹林を抱える山はありました。
道路脇から1本道を入るとそこはもう山。自治会長の佐藤さんのご案内で、斜面に沿った道を車でくねくねと上がっていくと、目の前に竹林が現れます。
雨が降っていたので、滑りやすい足元に気をつけて進んでいくと、うっそうとした竹林内に入ります。
竹林にはマダケだけではなく、栗やクヌギ、柿といった広葉樹や杉もところどころに植えられていました。元々畑として使われていた土地の名残だそうです。
足元にはマダケの地下茎が見えたり、色々な葉っぱが落ちていました。
地区の方は、維持管理されているといっても、それを専業としてやっているわけではないため、みなさん長年やられている(一番長い人で30年以上)方に教えられながら、毎年一回有志で集まり、この11月に伐採をし、少しずつ間引く作業をやっているそうです。この日は30〜70歳代まで(メインは60歳代)計15人で伐採作業をされていました。
途中、昨年伐採した竹が横たわっていたところがありました。置き場は他所へ持っていくのが大変なので、邪魔にならないような場所にまとめて置いておくのだとか。
斜めに倒れているのが、倒竹や今年の伐採によるもの。
竹林は密ではありましたが、思ったほど暗くなく、やはり人の手が加わっているのだと実感します。
まっすぐに伸びる竹や枝葉が凛とした印象でした。
足元は落ち葉などでふかふかしていて、歩いていて気持ちのよい竹林です。
また、上を見上げるとカサカサとした枝葉が見え、昼の光も入ってきます。
自治会長(以下会長)“ここのカラ竹(マダケのこと、鈴地区の皆さんはそう呼ぶ)は、一応管理するのに予算もあるので、肥料はやっているんです。昨年は230本、欲しいという人の元へ販売させてもらいました。でもその伐採を自治会有志でやるのには、とっても大変でした。だから今年はできない。ここの竹は1年おきくらいに豊作になるんです。肥料もやっているし、質はいいのではないかと。ここは日本海側だけど、対馬海流(暖流)の影響を受けているから、割合あったかいんですよ、内陸に比べて。ここは山形で一番雪が降らないんです。内陸にはマダケはない。ただ、冬雪に降られるとダメだね。折れてしまう。春はね、筍が美味しんですよ!”
春になると、地区の皆さんで筍を採りに行き、6月には「鈴カラ竹まつり」という筍のフェアを開催。30年前からやっているまつりで、筍汁にしてふるまったり、海の幸などとともに朝採りの筍を販売しているそうです。
会長 “カラ竹はね、孟宗竹より生えてくるのが1ヶ月遅れるんです。もちろん、孟宗竹の筍の方が断然美味しいのですが、ここの筍は、通常のカラ竹だと「えぐみ」があるんですが、ここのは全然「えぐみ」がなくて美味しいですよ。”
ただ、筍の採れる量が毎年一定せず、沢山とれれば問題ないのですが、収量が少なすぎてまつりが行えない年もあるのだとか…。そのため、近隣や道の駅にしか出回らない筍になっているといいます。
阿部さんは竹林を見て、「これだけの竹林の規模で、こうして地区ぐるみで管理できているのは、貴重なことだね。」と何か手ごたえを感じていらっしゃるご様子でした。
会長 “この竹林をね、なんとかこの11月の間伐の時期と6月の祭りに合わせ、ツアーのようなことができないかと考えたりしているんです。鶴岡市役所温海庁舎の観光課の方や自然における体験活動を企画なさっている方と一緒に。”
阿部さん(以下敬称略) “そうですね。道をきちんと整えれば、散策もいいかもしれませんね。”
「せっかくなので、何本か伐っていきますか?」と自治会長さんがおっしゃり、その場で「それじゃ、1本いただいていきましょう」と阿部さん。加工に良さそうな太さに成長した(2、3年の)竹1本を選び、あっという間に切り分けていらっしゃいました。
会長 “竹の年齢はどうやって見分けるんですか?”
阿部 “枝を見れば、だいたい1年に1本ずつ枝が、枝分かれして生えていくので、何年かわかるんです。あとは色で見分けるのが一番ですよ。寿命は6,7年。一番使いやすいのは3年位ものですね。1年目はまだ足元に皮が残っているんです。”
この日は雨で想像以上に蒸し暑くて作業も思うように進まないとのことで、早めに切り上げ2時間ほどで伐採作業は終了となりました。
ご自身も「シャキシャキおろし(鬼おろし)」(竹の大根おろし器)を作ったり、30年以上竹林管理に関わり、地元のカラ竹の広報役をなさっている男性は、「これは昔から立派な竹だって伝えられているんですよ。8枚に裂ける(割れる)んだって。だから竹細工屋さんは数いっぱい取れるので儲かったんだって。節が高くなくて、素性の良い竹なんだと。そうとう昔っから竹林はあったよ。竹材としての価値が昔はあったんでね。今は道路があるけど、昔は道路もなく、全部人力で担いでたんだよ。それだけ事業として成り立ってたんだね。ここは「台風なし」と言われ、風がない分、生育もいいんですよね。ただ、雪でやられる。ところどころ、倒竹対策に木を植えているんです。あと杉の木とは競争して伸びるらしいんですよね。」
広報役の男性 “竹林管理人が一人でもいればいいんですけどね。あと綺麗にして遊歩道でもできたらね。竹林の散策、深緑の竹はすごいですもんね。この辺の家は、みんな山持ちなんだ。でも管理となるとなかなかできない。私も1年に一回山に入ればいい方なんです。”
会長 “去年、花が咲いたんですよ。言い伝えでは、竹林では花が咲くと、それは寿命が来た証で、翌年枯れてしまうのだとか。でもまだ枯れていないですけどね。”
広報役の男性 “寿命120年説もあるし、60年説もある。120年じゃ当時を知っている人ほとんどいないからね。私が聞いた話では、かつて竹林が枯れてしまった時、一番最初は紫の花が咲いて、その次に白い花が咲いた。そういう記録は石に彫っていればいいですけど、残っていない。せめて私の聞いたことは記録しておいているんだけどね。”
その後7号線に面した、自治会長の経営されるそば処「売虎庵」(うるとらあん)にて、昼食をいただきながら阿部さんを囲み、しばしの歓談に。
竹林管理に30年以上関わってきた村の大工さんの話では、「わたしらの上の上(じいちゃんたち)の世代までは竹を竹材として売ったり、加工してばあさんたちがさらに編み加工をかごやてご(漁師のかご)といった売りものにしたりしていた。けどいつのまにか、編みはまだできるかもしれないけど、竹の材料そのものをひごに加工したりできる人がいなくなってしまった。それを専業にする人がいないからね。」
実際、鶴岡市にもかご屋はあるそうなのですが、そこに鈴地区の真竹を竹材として入れるには、その手前での「加工」が大変で手間がかかるので、事業としては成り立たないということでした。
会長 “ひごっていうのは私たちでもすぐにできるもんですか?”
阿部 “できますよ。ざっくりとしたひごであればナタと小刀があれば。マダケはね、乾燥も早いし、割ればすぐに使えるんですよ。ただ、私たちが伝統工芸品として編み作業をする場合は、もっと繊細な厚みや幅のひごが必要なので、専用の道具を使って、私たち職人は自分でひご作りからやるんです。”
会長 “なるほど。それ専用の道具もそろえなきゃいけないんですね。私たちが竹をあまり手間をかけずに使えるとしたら、どんな使い方ができますかね?”
阿部 “それこそ、筍を販売されているなら、筍を入れる「かご」をそのマダケのひごで作るとかね。編む技術はあるというなら、それがまずできることかもしれない。”
会長 “では、次回いらっしゃる12/11には実際に、うちの竹を使って「ひご」づくりをやりませんか?阿部さんに教えていただきましょう。どんな竹を用意しておけばよいでしょう?”
阿部 “さっき伐ってきた3年くらいのものが使いやすいね。6寸、7寸くらい。あとは、「竹箸」とかね。温海町の温泉旅館で使うとか、どこか使う先(需要)がないとなかなか商品化するには難しいかもしれないけどね。”
・・・そんなやり取りが続きました。
短時間ではありましたが、「地域にある素材」をいかにして「生きた素材」にしていけるのか、そこにはもちろん地域の人達の思いや生かす手が必要なうえ、「他所からの目や人」が加わってこそ動くことがある。そういった端緒を感じた現地見学(フィールドワーク)となりました。
後日12/11には、もう一度阿部さんが現地に行かれ、実際に竹のひご作りから箸をつくるという実践編をやられることになり、成瀬さんもご参加されたとのこと。またその時のお話を伺えたらと思っています。
<こぼれ話>
売虎庵さんにあった鶴岡の民芸品「御殿まり」。栃尾の手まりにも近いなと感じました。また、自治会長自慢のお蕎麦ももちろんですが、沖で獲れるという「ガサエビ」の天ぷらが最高に美味しかったです!窓から日本海が眼前に一望できるのが贅沢かつ開放的で素敵なお店でした。
ENZA w#002「カマダイ」@室礼 開催しました
あっという間に師走入りしてしまった2016年。今年初めてとなるワラ細工のワークショップ「ENZA workshop#002 カマダイ」を11/23の祝日に行いました!まずは皆さんとの記念写真から。
「室礼」で開催するのは久々ですが、西区在住の講師・山際辰夫さんと行う「カマダイ」作りは今回でもう5回を数えます。
材料となるお正月の「注連縄」用のきれいな青藁。今年も山際さんにご用意いただきました。
余分な葉の部分をすぐって、綺麗な束にした藁をカマダイ用に長さを切りそろえていきます。スタート前の準備時間、すっかり慣れたご様子です。
そしてワークショップがスタート。青い藁束に触るのが初めての方も多く、加工しやすいよう叩いた(機械で潰した)後の柔らかさを感じたり、香りを嗅いだりしていました。草餅に似たような、いい香り。
「ENZA」という名をつけた本ワークショップ、文字通り「円に座って、縁ができて・・」となるよう座布団を円状に並べています。
芯にするのは「くず藁」。まさにすぐった後の葉の部分を使います。昔は「くず藁」を藁布団の中に入れ、最後まで利用していました。穂の出る直前で刈り取った藁のため、穂はありませんが、その穂先部分も、山際さんは「注連縄」のお飾り部分に使います。これで無駄なく稲藁を使うことになり、山際さんが常々おっしゃっている「稲藁は捨てるところがないんだよ。全部使えるんだ」ということを実感します。
下の写真は、山際さんお手製の注連縄の飾り部分。大黒米の前後にある細い部分が、先ほどの穂先の藁です。細かさがお飾りの繊細さを引き立てています。
さて、ワークショップでは、くず藁を用いた芯作りに入っていきます。
ワークショップを重ねてきて思うのは、カマダイ作りのポイントは、この「芯作り」ではないかと。この芯が凸凹していたり、細すぎたり、ぐらついていると、仕上がりもうまくいきません。芯がしっかりして、かつ平らで平均的な分厚さになるように作ることが大切です。
2回目のご参加となる方も、しっかりと芯作りをなさっていました。藁でのくくり方があまいと緩んでしまうので、確実に留めていきます。
一見簡単そうに見えるのですが、意外に難しいこの作業。この芯作りが肝心なので、しっかり触って厚みや密度を調節しながら丁寧に作っていきます。
作りたい大きさが大きいと、その分芯も大きく、しっかりと作ります。
手で押さえたりして、密度を確かめているところ。
時間はかかりますが、丁寧に皆さん作っていらっしゃいました。
作りたいカマダイの大きさよりも2cmほど小さい円になったら、はみ出た藁をカットし、平らな表面にしていきます。
これで芯の完成です。今回は、大きさを一律にせず、それぞれにご希望の大きさのカマダイを作っていきます。
芯ができたら、いよいよ編む作業です。
毎回取る藁の厚さ(本数)を一定にし、左右の順番をいつも同じにして、編み込んでいきます。
仕組みがわかるとスイスイ編めるようになりますが、それまでは手に力が入ったり、頭で考えてしまったりします。でも慣れてしまうと、簡単なんですよね。山際さんはお一人お一人にわかりやすく教えてくださるので、参加者の皆さんも飲み込みが早くてびっくりです。
その山際さんに教えていただいた私(ENZA世話人の桾沢厚子)も、ようやく一通りは教えられるようになったかなと思います。でもまだまだ…。
コーヒーの湯沸かしポット用にと「小ぶりのカマダイ」に着手された2回目の参加者さんは、すっかり手つきが安定していらっしゃるようです。網み目の仕上がりも綺麗!
お隣さんに楽な持ち方をアドバイスされていました。「ENZA」は自分のできることを持ち寄って交換したり、お互いに技を磨いたり、興味を深めたり・・という場をめざしているので、こういう場面は嬉しいですね。
「室礼」の階下、KOKAJIYAはお昼時。お腹の空く時間帯でしたが、皆さん手を休めずに作業に集中されていました。
ここからは編み込み作業の様子が続きます。
だいぶできてきました。
編み込みで円を一周し終えると、仕上げにイグサの縄でしばります。山際さんの手で綺麗に縄ないされたイグサの縄。
一番最初は、先ほどの「小ぶりのカマダイ」を作られていた方のカマダイが完成しました!
そして他の皆さんも、次々と仕上げに入ります。
動画撮影で記録も。ここ、重要ですね。
あとは、端っこを切り揃えるだけです。
ダッチオーブン用にと、一番大きなカマダイに挑戦された参加者の方も、だいぶ編みあがってきました。
編みあがった方は、残った稲藁で初めての「縄ない」にも挑戦。つるっとしたイグサとは仕上がりは異なりますが、この「縄ない」も楽しい時間です。
子供の頃からの経験がある山際さんの「縄ない」は、なんというか姿そのものがかっこいいです。ズリズリッとリズミカルにいい音が出るんですよね。
無事、皆さん完成し、お茶タイムへ。このワークショップ開催のきっかけになった、もともと小鍛冶屋の蔵にあった古くて美しい「カマダイ」を眺めながら、仕上げの違いについて話したりしました。
参加者の皆さんには、予定より大幅に時間がかかってしまい申し訳なかったのですが、それぞれに思いのこもった素敵な「カマダイ」ができて本当に良かったなと思います。どうもありがとうございました!そしてKOKAJIYAのメンバー、講師の山際辰夫さんにも感謝です。写真はいつもの通り、ブリコールの桾沢和典が担当しました。
ENZA-W#003「鳥のしめなわ」12/11(日)開催!
「そこにあることを、自分ができることに変えていく」
干し柿、カマダイに続き、
しめ縄(注連縄)とは、「外から悪いものが入らないように」と古の人たちが考案した、神を祀る神聖な場所を他の場所と区別する「結界」の機能をもつもの。今回作る「鳥のしめ縄」は、宮崎県の高千穂地方の酉(とり)のしめ飾りや、広島県の鶴飾りなどを参考にしています。
熟練した職人を講師に、しめ縄の要となる稲藁の縄綯(な)いや左綯い、3本撚(よ)りの基本を学ぶことができます。飾ったしめ縄は、1年中飾ることができ、藁の色の変化も楽しめます。「2017年が素敵な年になりますように・・・」手作りのしめ飾りに祈りを託してみませんか?
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ENZA(えんざ)-Workshop 003 ワラ細工「鳥の注連縄(しめなわ)」
●日時:2016年12月11日(日) 12:30~16:30
●場所:旧笹川家住宅(新潟市南区味方216)内の居間
※駐車場(無料)がございます
●講師:ワラ細工名人 山際辰夫さん
●参加費:4,500円(材料講習費・入館料込、南区のお茶菓子付き)
●定員:10人
●申し込み・お問い合わせ:TEL 080-4051-1211(ぐみざわ)or メール(info@bricole.jp)まで。
「12/11のENZAワークショップ参加希望」とお伝えのうえ、「お名前、連絡先、参加人数」をお知らせください。
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<参加者の方へのお願い>
※床の電気カーペット以外の暖房がないため、暖かい服装でお越しください。
※お子様連れの方もご参加できます。お気軽にご相談ください。
●主催:Bricole(ブリコール)
昨年、旧庄屋佐藤家で開催した土着ワークショップ「鳥の注連縄づくり」の様子 ↓↓
レポートはこちらをご覧ください。
縄綯い(右縄)
芯づくり
左縄綯い
左縄綯い
鳥の形に
下がり飾り(足の部分)づくり
完成後の記念写真
ENZA w#001「干し柿」@いわむろや 開催しました
小雨降る11/6、ENZA workshop#001「干し柿」づくりの2回目を、岩室観光施設「いわむろや」で開催しました。今回皮むきと湯通しは、いわむろやで行い、干し場を「KOKAJIYAの軒下」に変更しました。
使用した柿は、、前回の旧武田家住宅と同じ、巻の三根山農園さんによる、柿団地・稲島(とうじま)のおけさ柿です。今回も粒の大きい柿を箱いっぱいに分けてくださいました。
まずは、今回のワークショップ用に作成した『干し柿の栞』をお配りしつつ、柿についての小話をした後、皮むき作業に入りました。
勉強熱心な参加者のみなさんで、佐渡のおけさ柿のこと、干し柿のつくり方についてなど、色々な話で盛り上がりました。
皮むきも回数を重ねるごとに楽しくなるものですね。三根山農園の長津さんから「うちはピーラーを使うよ。そっちの方が早いしね」と伺っていましたが、最近では包丁の方がやり易くなってきました。お子さんと一緒ならピーラーがおすすめです!
皮むきの後は、湯通しです。この時、茹で過ぎに注意です!
湯通しを終えた柿は、そのままばんじゅうに載せ、KOKAJIYAへ車で移動。通りに面した軒下に干していきます。このころには、少し晴れ間も見えてひと安心。最初が一番カビやすいので、晴れているうちに、ささっと作業をしました。
KOKAJIYAには、このネックレス状の柿が本当に良く似合います。私たちが作業している横で、お食事中のお客様や通り過ぎる車からも見て下さっている方がいました。家を柿のオーナメントで飾っているかのようで、なんだかとても楽しい時間。
干し終え、すっかり屋外作業で冷えてしまった体を、KOKAJIYA2F「室礼」にあがっていただき、しばしのお茶タイムであたためました。
最後は、リズミカルに並んだ柿ネックレスの前で記念撮影! お湯を用意していわむろやに駆けつけてくださった夏井の農家・山上さんも加わり、写真を撮ってみると・・・「あら、KOKAJIYAの中のお客様までピース!」思わず笑みのこぼれる記念写真になりました。
参加者のみなさま、山上さん、いわむろやの小倉さん、KOKAJIYAのみなさん、ありがとうございます。これから次の手もみ作業まで、柿の変化の様子を見守っていきたいと思います。
11/23(祝)【ENZA w-002 カマダイ】室礼にて開催!
ENZA workshop#002 藁細工「カマダイ」のご案内
「そこにあることを、自分ができることに変えていく」というテーマのもと、一つの場所をぐるりと囲んで集まり、ものをつくったり、経験をともにしたりしながら、それぞれの経験値を高め、興味を深化させていくことを意図して始まった「ENZA」。ENZA Workshop 2回目の開催は、藁細工で「カマダイ」(なべしき)をつくります。
かつては稲の栽培の余剰物であった稲わら。手刈りではなくてコンバインで刈り取る今では、農家さんが自家用に使用する他にはなかなか手に入りにくく、貴重な素材となっています。そこにあるもの(藁)を暮らしに生かすために、長年かけて各々の地域に伝えられてきた藁細工。その奥深さの一端に触れる機会として、初心者でも本格的に楽しめる「カマダイ」づくりを行います。すでにご参加された方も、「縄綯い」でつくるカマダイにも挑戦できます。
ENZA w-002 藁細工「カマダイ」
●日時:2016年11月23日(水・祝日)
≪午前≫10:00~11:30 ≪午後≫13:00~14:30●場所:西蒲区岩室温泉666 KOKAJIYA2F「室礼」
※駐車場は「いわむろや」駐車場(西蒲区岩室温泉96-1)をご利用ください●講師:ワラ細工名人 山際辰夫さん
●参加費:3,000円(材料/講習費込、お茶菓子付き)
●定員:各回6人
※お子様連れの方もご参加できます●申し込み・お問い合わせ:TEL 080-4051-1211(ぐみざわ)or メール(info@bricole.jp)まで。
「11/23のENZAワークショップ参加希望」とお伝えのうえ、「お名前、連絡先、《午前》or《午後》、参加人数」をお知らせください。●主催:Bricole(ブリコール)
講師の山際さんは今年米寿!今年も、身体に鞭打って、注連縄やお正月の玉〆め飾りづくりのために春から藁の準備をされてきました。その稲わらを使わせていただきます。山際さんについては、こちらをご覧ください。
2014年開催の土着ワークショップ「カマダイづくり」の様子より。
ENZA w#001「干し柿」@武田家住宅 開催しました
曇りや雨の続く晩秋。木の葉が色づいたと思ったら、いつの間にか落ちはじめ、新潟も一歩ずつ着実に冬に向かっています。そんな中ぽっと晴れ間を見せてくれた10月最後の日曜日。『ENZA(えんざ)』のワークショップ第1回目となる西区木場、旧武田家住宅での干し柿ワークショップを開催しました。
前日の夕方、巻町の柿農家・三根山農園の長津やすおさん宅に、丹精込めて育てた渋柿を取りに伺いました。10月下旬に入り、昨年より少し遅めの収穫だったという「越王おけさ柿」と呼ばれる角田山山麓のブランド柿。その出荷規格は厳しく、少しでも日焼けや青み、入れ墨と呼ばれる染みがあると規格外としてセンサーではじかれてしまうそうです。その中からワークショップ用に180個分けてくださいました。
実物を見るとなんら問題なさそうに見える、いやむしろとても立派な柿で驚きます。「おけさ柿」で知られる種のない「平核無(ひらたねなし)」は、水分が多く、肉質が緻密で、甘みも栄養もたっぷりな渋柿です。それを1~2か月かけて「干し柿」にしていきます。
『ENZA』では、「そこにあることを、自分ができることに変えていく。」ということをテーマに、1つの場をぐるりと囲んで寄り集まって、そこかしこにある「興味のあること」を参加者みんなで深化させる機会と場をつくっていこうと考えています。
「干し柿をつくる」という行為にも、様々な先人たちの知恵、地域の風土や文化、人々が生活の中で脈々と伝えてきた思想や積み重ねが詰まっています。私たちブリコールは、そういう「行為の奥にある何か」をそれぞれが見つけ出すきっかけや機会を作り、そこにあることを自分に引き寄せて、活かしていくことができるような“関係づくり”を意図しています。
会場の旧武田家住宅では、すでに新潟市文化財センター職員の方が、敷地内の柿の木の柿を使って干し柿づくりを始めていました。こちらは、縦にぶら下げるタイプと、串に挿すタイプの干し方でした。
18世紀前半に木場地区に建てられたといわれる旧武田家住宅の茅葺き屋根の軒下。縁側にちらりと見える柿の点々が、かわいらしく、またよく似合います。この隣りには、近々大根も干されるそう。ひと昔前までは、町のあちこちの軒先に見られた生活の風景ですね。職員の方も『こうして軒下を実際に使うのがいいんですよね。ただ保存するんじゃなくね』とおっしゃっていたのが印象に残りました。
そんな武田家の一角を使わせていただきました。干場は2か所、南東向き(玄関向かって左脇)と北東向き(玄関右横の側面)の軒下です。干す場所による違いも見ていきたいと思います。
縁側からの光が美しい囲炉裏のある茶の間で、参加者のみなさんとともに「皮むき」の作業をスタート。
これまで「土着ワークショップ」で秋葉区タカツカ農園の高塚俊郎さんに教えていただいた方法とコツなどをお伝えしました。また、今回初めてワークショップに際して『干し柿の栞』を作り、お配りしました。干し柿や柿に関して調べたり、経験談をまじえた作り方のコツ、柿の利用例などをまとめました。
そしていよいよ本題の皮むき作業へ。
大きめの柿だったので、剥き慣れるまで、表面が多少でこぼこしますが、数個やるうちにみなさんとても綺麗に剥いて下さりました。
とそこへご近所に住んでいる「土着ワークショップ」ではおなじみのワラ細工職人の山際辰夫さんが参入!私たちの様子を気にかけて下さり、遊びに来て下さりました。
するとまたそこへ武田家住宅の見学の方いらして「何やってるのかね?干し柿かね?」とたずねられ・・
いつのまにかみなで雑談に。そしてなんと偶然にも年配の男性のお一人が、「私、この武田家に高校生まで住んでいたんだよ!」とおっしゃり、まさに武田さんご本人(写真一番左)でした。
そんなサプライズもあり、話に花が咲くと、今度はもうお一人の男性が「私にちょっとやらせてみてよ」と包丁を手渡すと、とんでもなく見事な包丁さばきでささーっと柿の皮を剥いてしまいました。
「君たちの手つきでは危なくて、こういうのは昔からやってるから得意なんだよ」と笑っておっしゃいました。何でも先生はいるものですね。道具の使い方や感覚が手に沁みついている感じでした。学びたいところです(汗)山際さんともお知り合いのようで、みなさん包丁をとって立ったまま楽しく皮剥きにご参加されていました。
それを見ていた山際さんも「どれ、そんじゃ俺も…」と見事な手さばきを見せて下さりました。
お爺さん方の光景がなんとも微笑ましく、思わぬ偶然で楽しい時間になりました。
参加者のお一人は「無心にやれるこの時間がすごくいい」とおっしゃっていて、私も同感です。
ひたすら皮をむき続けること1時間あまり。むいた皮は綺麗なものは持ち帰りました。そのまま乾かして、柿チップスにもできますし、大根などと一緒に漬けると甘みや風味がでるとのこと。
続いて、柿を干す前の「湯通し」作業に入ります。
山際さんは「これまで湯につけたことなんてないよ。でもカビが生えにくくなるなら、面倒くさがらずに次回からやってみようかね」とおっしゃっていました。
干し柿専用の柿クリップとシュロ縄で干し場の準備をして、湯通しした柿を次々に干していきます。
ネックレス状に干すこのやり方は、柿同士や紐と柿がぶつからず、綺麗に仕上げられると高塚さんに教えていただきました。
人数が少なめでしたので180個全ては干せませんでしたが、お天気に恵まれた午前中いっぱいを使って、楽しく前編の皮剥き&干し作業まで終えることができました。
その後はお茶タイム。
ビタミンCたっぷりで独特の甘みの柿の葉茶と佐渡の「柿餅本舗」さんの干し柿、弥彦の玉兎をお出ししました。そして駄洒落で「柿の種」も。山際さんの育てた二番穂(7月末、藁細工用に青刈りした後に出てきた穂)の稲穂も添えて。
新潟のスーパーには「米菓」とは別に「柿の種」コーナーがあるほど、身近な柿の種。元祖柿の種で知られる浪花屋製菓さんのパッケージ裏には、なぜ柿の種と呼ばれるようになったかが書かれていました。気になる方は、スーパーで探してみてください(笑)
今回『干し柿の栞』を作った際に、参考に、また引用した本を並べました。
しばし談笑の後、記念撮影をして終了となりました。
最後に、サプライズをもう1つ。皮むき作業に入ろうとした時、参加者のお一人が「小学校同じでしたよね?」ともう一人の方に声をかけられていて、「えっ!あ、そうかも…」「おっ、お久しぶりです!」という会話が聞こえてきて、なんと同じ小学校の同級生だったことが分かりびっくり!卒業以来の再会だったそうです。そしてまたその小学校名が「真砂小」と聞いて二度びっくり!私桾沢も東京にあった(今は合併してしまった)真砂小の出身だったのです。なんだか偶然が重なった嬉しい余談でした。
次回は手もみ作業です。長津さん、参加者のみなさん、山際さん、ありがとうございました!会場のまいぶんポートの皆様にも感謝いたします。これから柿の様子を見守らねばならないので、引き続きお世話になります。まずはご報告とお礼まで。
*場所を変えて「干し柿」ワークショップを開催します! 〜参加者まだまだ募集中〜
【11/6(日)ENZA W#001「干し柿」@いわむろや/開催のご案内】
◇日時:2016年11月6日(日)10:00~12:30
◇会場:いわむろや 伝統文化伝承館(新潟市西蒲区岩室温泉96-1)※無料駐車場あり
◇参加費:2,500円(“干し柿の栞”とお茶菓子付き、後日干し柿6個持ち帰り)
※中学生以下参加無料(持ち帰り干し柿6個は別途500円)
◇持ち物:エプロン、ハンドタオル、使い慣れた包丁、(屋外作業があるため)温かい服装、ビニール袋(皮を入れるためのスーパーの袋など)
◇定員:A,Bともに10名程度
<全体工程>
●前編(今回):皮むき&干し作業
●後編(次回):干し柿回収&揉み作業(約3,4週間後、同じ会場にて)
その後持ち帰り、又は、乾燥後受け取り(お渡し場所はご相談のうえ決定)
<お申し込み・お問い合わせ>
080-4051-1211 info@bricole.jp 担当:桾沢(ぐみざわ)
「お名前、人数、ご連絡先」をお知らせ下さい。
※お子様もご一緒に参加できます。お申し込みの際、ご相談ください。
※会場設営などお手伝いして下さる方を同時募集します。「手伝ってもよい」という方はお申し込みの際、ぜひお知らせください。よろしくお願いいたします!
主催:Bricole
“ENZA” 第1弾は「Workshop-#001干し柿」
【 ENZA と ENZA Workshop#001「干し柿」 のご案内 】
この秋、Bricoleでは「ENZA(えんざ)」という新たな取り組みをスタートいたします。
テーマは「そこにあることを、自分ができることに変えていく」。
「ENZA(えんざ)」は、一つの場をぐるりと囲んで寄り集まって、そこかしこにある「興味のあること」を参加者みんなで深化させる機会と場を企図しています。「共に」見聞きし、体験することは理解の幅や応用の幅をぐっと広げてくれるはず。
具体的には、
●ENZA-W =以前の「土着ワークショップ」を引き継いだ形での実践ワークショップ(W)
●ENZA-T =様々な知識体験を持った方々を交えての座談会、トーク(T)
●ENZA-F =ただの旅行に留まらない探索や調査を交えたフィールドワークツアー(F)などを企画してまいります。
ENZA 暫定HP:http://bricole.jp/enzaabout/
今まで「土着ワークショップ」も同様の思いで開催してきましたが、活動地域や視点をある程度絞っていました。ENZAでは「旅(たび)」が一つのキーワードになります。
ENZAの「たび」とは、「他(た)」の「火(ひ)」にあたりに行くこと、またその火を持ち帰ったり、あるいは自分たちの火を外と交流させること。御近所にお茶飲みに行っても、遠くに行っても、他の火にあたりに行く、「たび」と捉えます。
かつて民俗学者の宮本常一氏が、おけさ柿生産に町ぐるみで励んでいた佐渡の羽茂町を訪れた際、現場の雰囲気を以下のように評されました。
「誰でもが、いつでも、自由に立ち寄れて、どんな話でもできるところに良い指導者がいる。知恵が湧き、力が集積されて、生産文化が形成されていく。」
まだ産声をあげたばかりの「ENZA」ですが、ぜひそんな場を目指していきたいと思います。
さっそく、ENZAとして第1弾となるのワークショップ「干し柿」のご案内です。
晩秋から冬にかけての冷たい雨や風の気候条件のもと、渋柿を自然の力で栄養も豊富な甘柿へと変えていく、昔ながらの「干し柿」づくりの知恵。地域の特性を知り、生活の中での実験を通しての蓄積が技術となっていく、その経験のプロセスを参加者のみなさんと共有し、楽しみながら、「美味しい干し柿づくり」を探求していきたいと思います。干し場は2箇所ありますので、ご都合のつく方にお越しください。
/// ENZA-W001「干し柿」///
<干し場A>
◇日時:2016年10月30日(日)10:00~12:30
◇会場:新潟市文化財センター(まいぶんポート) 旧武田家住宅(新潟市西区木場2748-1)※無料駐車場あり
<干し場B>
◇日時:2016年11月6日(日)10:00~12:30
◇会場:いわむろや 伝統文化伝承館(新潟市西蒲区岩室温泉96-1)※無料駐車場あり
◇参加費:2,500円(“干し柿のしおり”とお茶菓子付き、後日干し柿6個持ち帰り)
※中学生以下参加無料(持ち帰り干し柿6個は別途500円)
◇持ち物:エプロン、ハンドタオル、使い慣れた包丁、(屋外作業があるため)温かい服装、ビニール袋(皮を入れるためのスーパーの袋など)
◇定員:A,Bともに10名程度
<全体工程>
●前編(今回):皮むき&干し作業
●後編(次回):干し柿回収&揉み作業(約3,4週間後、同じ会場にて)
その後持ち帰り、又は、乾燥後受け取り(お渡し場所はご相談のうえ決定)
<お申し込み・お問い合わせ>
080-4051-1211 info@bricole.jp 担当:桾沢(ぐみざわ)
「お名前、人数、ご連絡先、希望日(干し場A or B)」をお知らせ下さい。
※お子様もご一緒に参加できます。お申し込みの際、ご相談ください。
※いずれの日も、会場設営その他のお手伝いして下さる方を同時募集します。「手伝ってもよい」という方はお申し込みの際、ぜひお知らせください。よろしくお願いいたします!
主催:Bricole
<干し場A:旧武田家住宅>
<干し場B:いわむろや>昨年の様子
※干し場Bでは、KOKAJIYAの軒先にも干します
後編の手もみ作業
完成した干し柿