土着ワークショップ [DWS]
【レポート】土着ワークショップvol.12 竹細工・煮ざる
昨年の12/6、土着ワークショップvol.12竹細工の「煮ざる」づくりを行いました!12月に入り、いつ雪が降るかと心配していましたが、この冬は暖冬ですっきりと晴れ、いいお天気の中での開催となりました。
岩室温泉からもすぐ近く、西蒲区和納在住の竹細工職人、阿部晋哉さんにお会いしたのは、2013年の夏。小鍛冶屋の倉庫にあった「林檎かご」を作ってみたいと思い、職人さんを探したのが始まりでした。
新潟は、佐渡産の竹かごなどが知られていますが、市内のこんなご近所に職人さんがいらしたことは、本当にありがたいことでした。ワークショップのご相談をする中で、素人でも数時間でできるものとして「煮ざる」を選び、2014年に初開催しました。
阿部さん曰く、新潟県内の竹は「孟宗竹(もうそうちく)」が一般的で、佐渡のかごに使われる「真竹(まだけ)」は、佐渡が北限なのだとか。阿部さんご自身は、竹細工のメッカ・大分県別府で修行をされたご経験から、今も九州産の「真竹」を使用されています。同じ「真竹」でも、佐渡産は少しかたく、加工するには、しなやかさの強い九州産が良いとのこと。今回のワークショップでも、九州産のものを使いました。
竹細工は、丸い竹からひごにするまでの加工が一番大変だそうで、11~12月に採り、苛性ソーダで漂白をして1ヶ月干したものを専用の器具で何回かに分けて割き、つくるものに合わせ厚さ・幅を決め、ひごに加工していきます。竹自体は身近にも見かけますが、それを加工するのがひと手間もふた手間もかかるため、昔ながらの竹かごなどの製品は、現在ではプラスチックや他の素材に取って代わられています。それでも、見た目の風合いや、成長の早い竹は永続的な利用も可能で、環境への負荷が少ないという良さもあり、今あらためて竹製品は注目されていると思います。
前置きが長くなりましたが、そんな竹を使った「煮ざる」づくりは、今回で2回目。煮ざるとは、餅や魚を煮る際に、鍋底にくっつかないようにするために使われるものです。平面的な円形のざるもありますが、この煮ざるは端っこを銅線と籐でしばり、見た目にもかわいらしいかご状のもの。お菓子などを入れるかごやインテリアの飾りとしても映えるので、使う人の工夫次第で自由に使えます。
講師の阿部さんの自己紹介のあと、少しずつ行程を分け、阿部さんの見本を見ながら、参加者の皆さんがそれぞれ手を動かして「六つ目編み」という竹細工の中でも基本的な編み方を学んでいきました。
阿部さんお手製のガイドボードの線(六角形となるようあらかじめ線がひかれている)を目安に、竹ひごを並べます。
最初の6本が組めたら、小さな真ん中の六角形ができます。ポイントは、ひごの表面にある節(黒っぽい部分)をなるべく真ん中に寄せると、見た目にもすっきりと美しいかごができます。
そして、次の6本を1工程として、両手を使って、少しずつ確認しながら、6本ずつを編みこんでいく作業を繰り返します。このとき、しっかり正六角形となるよう編み目を調節しながら、丁寧に編み込んでいくとうまくいきます。
最初は竹ひごの上下が分からず、慣れるまで時間がかかりますが、繰り返していくとだんだん編む原理がわかってきます。阿部さんもお一人ずつまわりながら、教えてくださいます。
親子でご参加くださった方もいらして、お母さんの作業をじっと見つめていました。
竹ひごの“弾力”を感じながら、手先を動かすこの作業は、とても楽しいです。
そうして、4周分(4行程)を編み終えると、大きな正六角形模様がみえ、あとは端の方をとめるだけ。
銅線で先の方6か所を留めると、すっかりかご状になります。留める位置を調節することで、竹のカーブが調節でき、好きな位置で止めておきます。
その上にさらに、水で湿らせた籐(とう)を巻き付け、銅線を隠していきます。
参加者の皆さん、最後までとても丁寧に編まれていました。会場もとっても静かで、写真から皆さんの集中度合が伝わりますでしょうか?そしていよいよ、編み目の密度もかごのカーブも異なる十人十色な「煮ざる」が出来上がりました!ものづくりのワークショップをやっていると、いつもこの違いが面白いなと思います。同じやり方でほぼ同じ材料でつくっていても、個性が出るんですね。
作業終了後は、新潟の農家さんたちが大切に育てた果実の1年の恵みがギュッと凝縮されたDAIDOCOのシュトーレンをおやつにいただきました。
そして、全員で記念撮影!
12月の定番ワークショップになりそうなこの竹細工。しなやかな竹ひごを幾何学的な模様に編み込んでいく作業は、なんというか無心になれる、とてもいい時間です。できた作品もとてもきれいですよ!ぜひ、また2016年も開催できればと思っています。
ご参加の皆様、阿部さん、KOKAJIYAのスタッフのみんな、広報のご協力をいただいた皆様、ありがとうございました!!年をまたいでのレポートとなってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございます。
12/23(水・祝)土着ワークショップvol.13 ワラ細工「鳥のしめ縄」づくり 開催
2015年を締めくくる土着ワークショップは、ワラ細工の「鳥のしめ縄(注連縄)」づくりです!
講師はおなじみ、新潟市西区木場在住の藁細工職人・山際辰夫さん(87歳)。以下、ご案内です。
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土着ワークショップvol.13 ワラ細工「鳥のしめ縄」づくり
日時:2015年12月23(水・祝)13:00~16:00(終了予定)
場所:新潟市西蒲区福井2908「旧庄屋佐藤家」
※駐車場あり
講師:ワラ細工職人 山際辰夫さん(黒埼民具保存会会長)
参加費:4,500円(材料/講習費込 本間屋の柚餅子&お茶付き)
定員:10人
申込み方法:TEL:080-4051-1211、Mail:info@bricole.jp(ぐみざわ)まで。
「12/23の土着ワークショップ参加申込み」とお伝えください。
【終了いたしました!】
<ワークショップで学べること>
●(注連縄の要となる)稲藁の縄綯(な)い、左綯い&3本撚(よ)り
●(足の部分の)下がり飾りづくり
【縄部分】
【下がり部分】
<当日の流れ>
【13:00~】「鳥のしめ縄」づくりスタート 講師:山際辰夫さん
終了後、山際さんの稲作に関する映像を見ながら、福井の名物お菓子・本間屋の柚餅子をいただきます
【16:00頃】終了予定
※お子様も一緒にご参加できます。小さなお子様がいらっしゃる場合はお気軽にご相談ください。
企画・主催:Bricole(桾沢和典・厚子)
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注連縄(しめ縄)とは、神を祀る神聖な場所を他の場所と区別する「結界」の機能をもつもの。「外から悪いものが入らないように」と古の人たちが考案した、願いや祈りのカタチの現れかもしれません。そんな注連縄は、一般的に年末になると、去っていく一年への感謝、そして新たな一年への期待を込め、新しく飾り替えられます。
神棚のある家は少なくなってきたかもしれませんが、それでも新潟では12月になると、注連縄やしめ飾りがスーパーやホームセンターなどに沢山並びます。室礼では、ご縁あって2013年冬より、山際さんの注連縄と玉〆め(飾り)をオーダー販売させていただいております。
しかし今年の初め、山際さん「今年はもう作れないかもしれない。ひざが痛くて、足腰が辛くなってきた…」とおっしゃいました。30年余り続けてこられた、山際さんの生きがいにもなっている「注連縄づくり」。それは、ワラを細工するということだけでなく、稲作の一連の仕事(種籾の発芽から苗床づくり、田植え、水の管理、雑草の管理、追肥の管理、青刈り、乾燥、藁の加工・細工、来年の田起こし…)のことをさします。
西区木場周辺を見回すと、山際さんのご年齢で、注連縄づくりをやられる方はほとんどいなくなりました。何せ手間がかかるからです。それを「好きで」続けてこられ、地元の方々に毎年100個以上手渡してこられた山際さん。その蓄積と関係を思った時、「これは今年も、何としてでもやってもらわねば!」とお節介ながら思いました。
山際さんの期待のお弟子さん(女性!)も木場にいらっしゃり、その方と一緒に、「今年もお願いします」と早々に苗づくりの日を決めてもらい、さらに山際さんの田植えから注連縄づくりまでの様子を撮影させていただくことまで厚かましくもお願いしました。そして、5月からは一緒に田植えをさせてもらったりしながら、膝の痛みに耐えつつ、山際さんは今年も材料の稲わらをご用意下さいました。おかげさまで、今回のワークショップ開催に至りました。
【山際さんの縄綯いの様子】
前置きが長くなりましたが、今回作る「鳥のしめ縄」は、通常山際さんが作られるしめ飾りとは異なり、ワークショップ用にお願いしたものです。形も検討を重ねました。元は、宮崎県の高千穂地方の酉のしめ飾り、岡山県高梁市成羽の鳥お飾りや広島県の鶴飾りの飾りなどを参考にしています。
神棚に注連縄を、玄関にしめ飾りを飾る時期は、だいたいクリスマス後~28日まで。ぜひ今回、ご自身の手で縄を綯ったしめ縄で、新しい年を迎えてみませんか?
飾ったしめ縄は、お正月期間が過ぎても、1年中お部屋の中で飾ることができます。藁の色が青から茶色く変化していく様子も楽しめますよ!
クリスマスムードたっぷりの祝日ですが、かやぶき民家の佐藤家では「日本の年末」らしく、お正月の準備をして過ごしたいと思います。ご参加、お待ちしております!
<お正月飾り販売についてのお知らせ>
2016年用の山際さんのお正月飾り(神棚用の注連縄、玄関用の玉〆め)は、11月24日(火)から、オーダーを受け付けます。情報アップまで少々お待ちください。
12/6(日)土着ワークショップvol.12 竹細工・煮ざる 開催!
今年も、竹細工の煮ざるづくりワークショップを開催します!(前回の煮ざるづくりの様子はこちら)
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土着ワークショップvol.12 竹細工・煮ざるづくり
日時:2015年12月6日(日)10:00~12:30(終了予定)
場所:新潟市西蒲区岩室温泉666 KOKAJIYA2F「室礼」
※駐車場は「いわむろや」(西蒲区岩室温泉96-1)駐車場をご利用ください
講師:竹細工職人 阿部晋哉さん 参加費:4,000円(材料/講習費込 お菓子&お茶付き、当日支払い)
定員:10人
申込み方法:TEL 080-4051-1211(ぐみざわ)まで。
「12/6の土着ワークショップ参加申込み」とお伝えください。
【12/5現在 満席となりました。ありがとうございます!】
※お子様連れの方もお気軽にご相談ください
主催:Bricole、KOKAJIYA2F 室礼 協力:新潟市岩室観光施設いわむろや、灯りの食邸KOKAJIYA
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竹細工のなかでも基本の編み方「六つ目編み」。その基礎を学びつつ、機能的で、見た目にも美しい「煮ざる」をつくります。魚や餅を煮るためのざるとしてだけでなく、壁掛け飾りやお菓子などを入れるトレーにも活用できます。
講師の阿部さんは、別府の職業訓練校で竹工芸を学び、師匠について修得した技で、現在、新潟市西蒲区にて、網代(あじろ)編みの竹バッグや盛器、茶道具などを製作されています。繊細かつ丁寧な仕事ぶりが定評の職人さんです。そんな阿部さんに、初心者にもわかりやすく教えていただきます。
また、作業後のお菓子時間では、この時期の定番になりつつある、DAIDOCO特製シュトーレンがひと足先に味わえます。どうぞお楽しみに!
講師:阿部晋哉さん プロフィール
1982年 日本一竹製品産地の大分県、別府高等職業訓練校入校(竹工芸科) 修了後、県別府産業工芸試験所研修生(1年間) その後、網代編の名工・市原華雲斎氏に師事。 2001年、大分から故郷の新潟へ転居。新潟県クラフトマンクラブに加入。
来年1・2月には、竹細工の2回完結型ワークショップも企画中!HPなどで詳細発表予定。
【土着ワークショップvol.11 干し柿づくり <前編>】レポート
11/8(日)、朝から冷たい小雨がぱらつく中、今年も「干し柿」づくりを行いました!
会場のいわむろやでは、「暮らしのお楽しみ会」が催されいつものように賑わう一方、伝統文化伝承館では、「干し柿」という昔ながらの知恵が伝承されていくという、まさに“広く窓の開かれた”いわむろやならではの光景が広がっていました。
ワークショップ<前編>では、皮むき~干し作業までを行いました。最初に、講師の高塚さん(新津のタカツカ農園)から、平種無し(ひらたねなし)という今回使用した品種の話、「渋(シブ)とは?」「渋を抜くにはどういう方法があるか」など、様々な柿にまつわるお話を聞きながら、皮むきのコツを学びました。
高塚さんは、地元小学校の子供たちに「野菜」や「菌」にまつわる教室を開いたり、秋葉区や三条で今話題の「森のようちえん」のお手伝いもされたりと、本業の米、柿づくりと加工といったお仕事以外にも、とても精力的に活躍されています。今年タカツカ農園では、強風のため、柿の収量が例年よりも少なくなってしまったそうです。それでも7000個の柿を干し柿に加工されたと伺い、農家さんはやはり単位が違う!と圧倒されました。
今回使用した柿は、昨年同様、巻の柿農家・三根山農園さんの柿。
園主の長津さんの元を訪れた際、「例年より1週間ほど色づきが早かったよ」とおっしゃっていました。ありがたいことに、300個以上(計70kg!)の柿をご用意いただきました。昨年よりも粒が大ぶり!!規格で言うと2Lサイズになるとのこと。(1個平均230g!)一見、素人目には立派に見えるこれらの柿も、実はB級扱いなのだとか…驚きです。そんな大粒の柿を会場に並べると、やはりすごいボリュームでした。
参加者のみなさんは、マイ包丁で一人14個(一山)をむき始め、一気に会場は集中モードへ。ガクの部分がきれいなお花の模様になると、干し柿としての仕上がりも綺麗になります。
お子様もお母さんの皮むきを横でかわいらしく手伝っていました。
最初は慣れない手つきの方でも、だんだんと慣れてきてスピードも上がります。中には「まだやれます!」とおっしゃって下さる心強い参加者の方も…。「今日は一生分の柿を見たわ」とのお声もいただきました(笑)
会場では子供たちがワイワイと遊ぶ中、6ヶ月の赤ちゃんもママの背中で頑張っていました!
おかげさまで、計300個以上の皮むき作業が1時間かからずに終了。その後、なるべく時間をあけずに、殺菌のための湯通し作業へ。
湯通しは、熱湯に20秒ほど入れ、すぐにすくいあげます。コツは、表面が殺菌できればよいので、ゆでてしまわないこと。何個も連続して入れると当然温度が下がりますので、時折お湯を足したり、沸騰まで時間をおいたりしました。
たくさん湯通ししていくと、液の色がどんどん茶色に。濃くなると、さらに紫色に近づくのだとか…。
湯通し後は、干し場であるいわむろやの軒下へ移動。そんな時に雨が本降りになってきました。急げ〜!
いわむろやの軒下は、海からの風こそ直接届きませんが、角田山・岩室周辺の山々を超え、風が吹き抜ける場所で、軒下も広いく雨に濡れにくい最適な場所です。
柿の干し方はいろいろありますが、「柿クリップ」という専用のクリップを使うと見た目にも綺麗に、柿の表面に紐などがあたることなく、干すことができます。クリップに1つ1つぶすっと挟んでいく感覚は何とも楽しく、みなさんの顔も嬉しそう。
そして、できあがったオレンジ色の柿ネックレスは、クリスマスのお飾りのよう!これから柿にカビが生えませんように、また鳥が食べませんように。そう祈り、会場を後にしました。
その後は、KOKAJIYA2Fの「室礼」へ移動してのお楽しみのランチタイム!
今回のワークショップに合わせ、KOKAJIYAスタッフにご提案いただいたまかないメニューは↓
・塩と「きりあえ」でいただく新米ごはん(西蒲区産コシヒカリ)
・鶏モモ肉の酒粕コンフィ
・柿と柿の素のマリネ
・お味噌汁
・自家製羊羹
・柿茶
すてきな六角形の箱に詰められたまかないを、みなさん美味しそうに召し上がっていました。最初から最後まで柿づくし!とっても楽しいワークショップとなりました。
ご参加下さった皆さん、高塚さん、長津さん、そして当日ご協力くださった関係スタッフの皆さん、ありがとうございました!!
<ワークショップ後談>
KOKAJIYAの軒下にも70個余りの柿を干しました。
やはり、100年以上の時を経たこの建物に干し柿がさがっている風景が何ともいえずいいのです。
これから雪のちらつく日まで、冷たい空気にさらし、乾燥させていくと、だんだんと小さく、茶色くなっていき、その徐々に変わっていく様子もまた美しいです。
<後編>は手もみ作業。日程は後日、参加者のみなさまに個別にご連絡いたします。当日の模様はまたレポートしていきますので、どうぞお楽しみに!
昨年の手もみ作業の様子は、こちら。
【11/19追記】
干し始めてから1週間あまりが過ぎました。天候が例年より暖かく、雨も多い状況が続いており、干し柿づくりにとっては条件の良くない日々が続いておりました。そこで、いわむろやとKOKAJIYAの干し柿は、より乾燥させるため、場所を移すことにいたしました。ご参加されたみなさんや、記事などを読んで岩室へお越しの皆様には、大変申し訳ございません。天候にはかないません。何卒ご了承下さいませ。
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「土着ワークショップvol.11干し柿づくり<前編>」
◇共催:新潟市岩室観光施設いわむろや、Bricole、KOKAJIYA2F「室礼」
◇協力:灯りの食邸KOKAJIYA、foodrop
11/8(日)土着ワークショップvol.11 干し柿づくり 開催
【土着ワークショップvol.11 干し柿づくり 前編】
今年も干し柿づくりの季節がやってきました。昨年に続き、角田山山麓、巻の柿団地の柿農家・長津さんの渋柿を使わせていただき、岩室温泉「いわむろや」での開催です。講師は秋葉区タカツカ農園の高塚さん。楽しくおしゃべりしながら皮をむき、軒下に柿色のネックレスをつくりませんか?作業後は、みんなでKOKAJIYAのまかないランチをいただきます!
昨年の干し柿づくりの模様はこちら>>【前編】【後編】【完成】。
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◇日時:11月8日(日)10:30~13:00頃
◇会場:いわむろや 伝統文化伝承館 (新潟市西蒲区岩室温泉96-1)
※無料駐車場あり
まかないはKOKAJIYA2F「室礼」(新潟市西蒲区岩室温泉666)にて
◇講師:タカツカ農園 高塚俊郎さん
◇参加費:3000円/学生2000円【学制割始めました】(講習費+KOKAJIYAのまかないランチ+後日干し柿12個持ち帰り)
※中学生以下参加無料(その場合はランチ、干し柿は別途)
※前編ご参加の方は、後編は無料。前編・後編のみのご参加も可能です。
◇持ち物:エプロン、ハンドタオル、使い慣れた包丁、(屋外作業があるため)温かい服装
◇定員:15名程度
<干し柿づくり工程>
●前編(今回):皮むき&干し作業
●後編(次回):干し柿回収&揉み作業(約3,4週間後「KOKAJIYA2F室礼」にて)
その後持ち帰り、又は、乾燥後受け取り(お渡し場所はご相談のうえ決定)
<まかないランチメニュー>
塩と「きりあえ」でいただく新米ごはん(西蒲区産コシヒカリ)、お味噌汁、柿と柿の素のマリネ、鶏モモ肉の酒粕コンフィ、柿茶、自家製羊羹
◇お申し込み・お問い合わせ:080-4051-1211 info@bricole.jp 担当:ぐみざわ
「お名前、人数、ご連絡先」をお知らせ下さい。
※お子様もご一緒に参加できます。お申し込みの際、ご相談ください。
11/2現在、定員に達しました。お申し込みありがとうございます。
◇共催:新潟市岩室観光施設いわむろや、Bricole、KOKAJIYA2F「室礼」http://shitsurai.bricole.jp/
◇協力:灯りの食邸KOKAJIYA、foodrop
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土着ワークショップvol.10 藁細工・カマダイづくりレポート
秋晴れの9月27日、江南区の北方文化博物館にて、久しぶりの土着ワークショップを開催しました!
今回お借りした「常盤荘」は、豪農・伊藤家の旧家のはなれ。普段はお茶会などに利用されるという畳敷きの広い空間は、縁側を開け放すと、ハスの池や赤く染まり始めたモミジが見え、とっても気持ちの良いワークショップ会場に!そこへ7月末に青刈りした新しい稲ワラの匂いが広がる中、多くの参加者の方に「カマダイ」づくりに挑戦いただきました。
講師であり、材料のワラやイグサもご提供くださっている黒埼民具保存会の山際辰夫さん(今年87歳!)から、最初にカマダイや稲わらに関する説明をいただき、作業をスタート。
山際さんに教えていただく「カマダイ」づくりは3回目ですが、山際さんは毎回事前に試作品を作り何度も練習をしてから臨みます。熟練した技を持った藁細工職人でありながら、実際にカマダイを民具保存会の先輩方から学んだのは、何十年も前。その手の勘を思い出すのには、やはり「数つくらんばだめだね」とおっしゃる山際さん。毎度準備や勉強を怠らず、材料もきれいに束ねてご用意くださる姿には、本当に頭が下がります。
はじめの作業は、芯づくり。今回のカマダイは、中の芯を改良しました!「すぐったワラくずが一番いいんだ」という、山際さんのご助言のもと、ワラくずを数本のワラで束ねて芯をつくりました。この際いかに凸凹せずに、均一に円をつくれるかがポイントです。
芯ができたら、編み作業に入ります。要領を掴むとあっという間に作業が進むのですが、それまでが大変…。リズムよく、均一に密に、ワラ束数本を編み込んでいきます。この時、常に片方の手でワラ束を抑えていなくてはならないので、力が入り、とても疲れます。肩や腰にくる…。時折休みも入れつつ、それをなんとか根気強く継続し、一周の編み込みが終わるとなんとも言えない達成感!こうしてワラを触っているのがまた楽しい時間なのです。
4カ月の赤ちゃんを連れてご参加くださった方もいらして、その小さな手にワラを握らせていらした様子は、とてもすてきな光景でした。その方から、「出産を機に、昔からの仕事や知恵だったり、自分の手でつくる楽しさだったりを娘にも伝えたいと感じるようになり…」とのコメントもいただき、主催者としてはとても嬉しかったです。
今回ご参加いただいたみなさんは、ほとんどがワラ細工初心者。それでも、みなさん何かしらモノづくりをされていたり、手仕事が好きだったり、そして嬉しいのは親子3代でご参加という方もいらっしゃいました。最後まで集中して真剣に取り組まれていた姿が清々しく、とても印象的でした。
こちらは午後の部の様子。こちらもみなさん集中し、会場には静かな時間が流れていました。
そして、奇しくも当日は中秋の名月。そんな日に似合う、また作業の疲れを癒すお菓子は、古町のおむすび屋、むすびや百(もも)さんにお願いしました。旬の栗やクルミ餡の「おはぎ」、とっても美味しく、優しい甘さが体に沁みました!みなさんぺろりと召し上がっていました。お子さんも「美味しいー」と嬉しそう。
完成したカマダイといい笑顔をいただきました!
最後に、できあがったカマダイを持って、恒例の記念撮影!(一部切れてしまい、すみません…)お疲れ様でした!
「カマダイ」づくりを通して、手間ひまをかけ、自分の手でモノを作る楽しさを感じられたかなと思います。ワラ細工は、匂いといい、ワラ素材の面白さといい、やればやるほどクセになる気がします。お米は身近だけど、ワラは身近ではなくなってしまった今、改めて、「自然からの恵みをちゃんと使う」こと、そこから「生活がつくっていけること」を少しでもこうした体験を通して一緒に共有し、住んでいる土地やそこに住んできた先人たちに、「ありがたいな」という気持ちが湧いたら、「土着ワークショップ」企画者としては嬉しいなと思います。
藁文化研究第一人者の宮崎清さんがおっしゃっていました。「藁の文化が消えたら、この国はおわりだ」と。本当にその通りだなと思います。今後も継続してゆきたいと思います。今回参加したかったけど、難しかったという方もいらっしゃいました。また次回ぜひご参加ください!改めて、ご参加いただいた皆様、北方文化博物館のスタッフの方、むすびや百さん、そして山際さんご夫妻、裕子さん、お手伝いの高松さんにお礼申しあげます。どうもありがとうございました!またよろしくお願いいたします。
※「土着ワークショップ」とは…昔ながらの生活に当たり前にあった「暮らしの基礎技術」を講師を招き体験して学べるワークショップ。2013年よりスタートし、岩室温泉のKOKAJIYA2F 室礼(シツライ)などを拠点に様々な場所で不定期に展開中。
企画・運営:ブリコール 桾沢和典・厚子
※「土着ワークショップvol.10 藁細工・カマダイづくり」は、水と土の芸術祭2015の市民プロジェクト「にいがた稲作文化ドキュメンタリー&シンポジウム 暮らしの骨格」の中のプログラムの一つとして開催しました。材料のワラは、山際さんとともに5月に田植えをし、7月に刈ったものを使用。プロジェクトでは、その田植えから稲刈り、ワラを使った注連縄づくりまでを映像として残す活動も行っております。
ご興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
9/27(日)土着ワークショップvol.10 藁細工・カマダイづくり 開催!!
【土着ワークショップvol.10 藁細工・カマダイづくり のご案内】
お待たせしました!半年ぶりとなる土着ワークショップ開催のお知らせです。今回は江南区沢海の北方文化博物館さんにお邪魔して行います。
今年で3年目になる藁細工のカマダイ(鍋敷き)づくり。生活の必要から生まれ、そこにあるもの(余っているもの)を活用して作られていた藁細工。その熟達した技術者も少なくなっている今、講師の山際さんに出会えたことは本当にありがたいことだなと思います。
以前ご参加された方も、今回はバージョンアップをして中級者向けのイグサ細工(縄綯いをやります)も選ぶことができます。ぜひご体験ください!!
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●日時:2015年9月27日(日) 終了いたしました
<午前の部>10:00~11:30
<午後の部>12:30~14:00
●場所:江南区沢海2-15-25 北方文化博物館内
「常盤荘」(ときわそう) ※駐車場あり
●講師:黒埼民具保存会会長 山際辰夫さん・ハツさんご夫妻、山際裕子さん
●つくるもの:カマダイ(鍋敷き) 直径15~18cm
a藁細工(初心者向け)、bイグサ細工(縄綯いあり・中級者以上)の2種類からお選びいただきます。
※チラシの表の写真はaの方です。
●参加費:3,500円(材料/講習費、北方博物館見学料込み むすびや百さんのおはぎ付き)
●定員:各回15人
●申し込み・お問い合わせ:TEL 080-4051-1211(ぐみざわ)or メール(info@bricole.jp)まで。「9/27の土着ワークショップ参加」とお伝えください。
※お子様連れの方も参加できます
※定員になり次第、受付終了となります
※当日、北方文化博物館では「呼び覚ます土の記憶~古代ハスと豪農の歴史~」展を開催中です。併せてお楽しみいただけます。
※本ワークショップは、新潟市水と土の芸術祭2015市民プロジェクト:『にいがた稲作ドキュメンタリー&シンポジウム 暮らしの骨格』(主催:ブリコール)の事業です
主催:Bricole(ブリコール)
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以前、室礼にて行った、カマダイづくりの様子はこちら↓
2014.10.19 開催:「土着ワークショップvol.05 カマダイづくり」レポート
2013.10.20開催:「土着ワークショップvol.01 新米ごはん&ワラで鍋敷きづくり」レポート
土着ワークショップvol.9 「流しびな」レポート
3月1日、空気もまだ冷たい中、土着ワークショップvol.9「流しびな」づくりを行いました。
「流しびな」は、現在のひなまつりの原形にあたるようなもので、形代(穢れをそれに託す)として紙の人形(ひとかた)をつくり、女の子が健やかに育つよう祈りを込めて「桟俵(さんだわら)」というワラ細工の船に乗せ、川へ流すという風習が古くからあります。鳥取の用瀬(もちがせ)や京都の下鴨神社にはその風習や神事が残り、今もその風情ある催しは、桃の節句の日に行われています。
ここ新潟でも「桟俵」はかつては身近なもので、米俵の側面に使われていた藁細工です。米俵が使われなくなり、すっかり身近ではなくなってしまった「桟俵」を自分の手でつくり、雛祭りに贈ったり飾ったりできて、愛着の持てる「流しびな」をつくってみようということで、昨年から始めたこの企画。
まず、材料はこちら。
講師の山際辰夫さんが、お正月飾り用に昨年拵えた青刈りした稲わらと、山際さんが発案された「桟俵」づくりのための道具です。
上の写真は、米俵に使う「桟俵」。これを作るには、石臼などを重しにしたり、人が上から乗って編んでいくというのが通常なのですが、飾り用のものは小さいため、上から乗るのは難しいということで、山際さんが円板2枚で挿んで、座りながら手元で編める道具をお考えになったそうです。前回は段ボールで作っていた円板ですが、改良を加えてこのたび木製になりました。
今回のワークショップは、小学1年生のお子さんも参加してくれました!「流しびな」の説明をした時、「それ、絵本でみたよ」と教えてくれました。探したら確かにありました!
絵本『ながしびなのねがいごと』(岡信子著、イラスト:広川 沙映子、世界文化社/1987)
今は手に入りにくいようで、後日さっそく図書館で予約し、借りることができました。ひなまつりに読んであげたい絵本、おすすめです。5歳の娘も気に入っています。
さっそく「桟俵」づくりに入ります。
一人あたりこのくらいと、手の感触で分量を分けます。
根元に近い方を揃え、40㎝程度に切ります。真ん中はギュッと固く麻ひもなどで結びます。
ワラ束をバナナの皮むきのように半分のところまで折り曲げ、均一な円盤となるように広げます。
上半分、下半分それぞれ広げると、平らな円盤状のものになります。
それを2枚の円板ではさみながらネジで道具に固定。このとき+ドライバーでしっかり、まっすぐ固定することが肝心です。
固定できたら、いよいよ編み作業へ。「編み」といっても複雑な作業ではなく、3本程度のワラを掴み、隣りの3本程度のワラに交差させ最初のワラ束を横に倒す。それをひたすら一周分繰り返すのですが、円板の淵に沿って、同じ本数だけわら束をつかむ。この2点に注意さえすれば、スムーズに仕上がりもきれいにできます。
山際さんも一人一人ていねいに教えてくださるので、コツさえつかめば、あとはやるのみ!
親子でつくるのも、とても楽しそうです。
小学生も最後まで編み作業を頑張っていました。
そして最後の仕上げ工程へ。最初と最後のワラ束を交差させ、数回ねじって糸で結んで固定します。
はみ出したワラのささくれは、はさみで切って表面をきれいに仕上げます。
これで、「桟俵」は完成。
最初は後ろの方で見ていたスイス人のパパも途中参加し、初めてのワラ細工に挑戦することに。
とても器用な方で、あっという間に技をマスターされていました!
続いて、紙びな人形づくりです。
用意しておいた、ムース粘土の顔と厚紙の人形。お好みの古裂をきもの用に選び、ボンドで貼り付けます。最後は、お顔書き。
実はお顔書きが、一番緊張する作業。失敗しないように、油性ペンで紙びなに命を吹き込みます。
最後は、人形とともに飾り用の桃の花と菜の花を添え、桃の花は「折形(おりかた)」とよばれる伝統的な包みの手法で「花包み」仕立てにして飾りました。
無事みなさん完成して、恒例の記念写真をパチリ!
十人十色な「流しびな」はとっても愛らしく、どれも心のこもった作品に仕上がったなと思います。
その後は、完成した「流しびな」を眺めながら、お茶会がスタート!
1F、KOKAJIYAスタッフの清水直子さんはじめ皆さんが、今回のために「流しびな」をイメージしたチョイスとすてきなセンスでお茶と甘味を用意してくれました。
お茶会メニューはこちら
・お抹茶(小鍛冶屋に残された茶碗・茶さじ・茶托を使って)
・角屋悦堂の水ようかん(岩室温泉の老舗和菓子屋さんの冬の看板メニュー!)
・「水に流す」をイメージした波の干菓子
・清水さんお手製のひなあられ
一人一人違うお茶碗でいただいたお抹茶に、ほどよい甘さで口どけのよい水ようかんがよく合って、どれもとても美味しかったです。実はKOKAJIYAスタッフが前もって、角屋悦堂の奥様にお茶のたて方を教わりに行っていたとのこと。
もともと小鍛冶屋では、住んでおられたご夫婦が地域の方にこの2階でお茶やお花を教えていらしたというご縁から、茶碗や茶さじなどさまざまな道具が残されていました。それをこうして再び使うことができたのも嬉しい偶然です。KOKAJIYAのある岩室温泉。この地域の持つ文化や小鍛冶屋という場の潜在性、地域の方に支えられていることを改めて実感したお茶会でした。
3時間に及ぶ長丁場のワークショップでしたが、最後まで和やかに、子どもたちも一緒にひな祭り気分を味わうことができました。ご参加の皆様、きめ細やかな準備をしてくれたKOKAJIYAスタッフに感謝です!
また来年も続けていきたいと思います。
土着ワークショップvol.8 レポート後編 「民具の茶話会」
後編では、山際辰夫さんと五十嵐稔さんを交えた「民具の茶話会」対談のもようをレポートします。(前編「卵つとづくり」は、こちら)
話し手:
五十嵐 稔(新潟県民具学会会長、三条市生まれの82歳)【写真向かって右】
山際 辰夫(黒埼民具保存会会長、新潟市西区在住の86歳)【写真向かって左】
聞き手:
桾沢 厚子(ブリコール)
桾沢: 今回私は「卵つと」の造形に惹かれワークショップを開いたのですが、今日は「つくる」だけでなく趣向を変え、いつも講師をしてくださる藁細工職人の山際さんと、藁細工はもちろん全国の民具について現地に足を運んで調査・記録などをなさっている五十嵐稔さんをお招きし、藁細工をメインとした民具にまつわるお話を小一時間伺いたいと思います。
<ゲストの自己紹介の後>
桾沢: 米俵の側面に使う「桟俵(さんだわら)」。これはなぜ「さんばいし」とも呼ばれるのでしょう?
五十嵐: 「さんだわら帽子」が縮まって「さんばいし」になったんです。江南区木津の桟俵(さんばいし)神楽は、獅子の口を2つの桟俵ではさみ、顔は野菜で作っています。この地域特有の神楽ですよね。
阿賀野川えーとこだ!流域通信より引用
この米を入れる俵、当たり前ですが、稲だけで作られます。でも、麦などはそれ自体で入れ物までは作らない。米は稲全部を使っている。それこそ稲作文化っていうのは、藁の文化とも言えるんです。藁には節があります。この先っぽが芯。芯だけを抜いて、ものを作る場合もある。藁はそのまま使うと固くて使えないんです。だから普通は叩いて使う。でも叩いた後、そのままにしておくとこわばる。叩いたら、その日のうちに使わないと固くなっちゃうので、そうなると縄も綯えない。
桾沢: よく藁仕事は冬の仕事と言われますが、それはなぜですか?
五十嵐: なぜ冬がいいかと言うと、越後の冬は湿気があります。藁はやっぱり湿気が大事なんですね。乾燥しているとプチプチ切れる。だから関東の藁は使いにくい。
桾沢: なるほど。冬の湿気が藁細工に適しているんですね。
五十嵐: そうそう。越後の藁は使いやすく、しかも冬仕事でやるのが基本。夏にもやる例はありますが、だいたいは冬の仕事。そして農家の人は朝早起きです。朝ご飯前にワラ叩きする。
桾沢: 朝食べる前にひと仕事するんですね。すごい!山際さんもいつもお早いんですよね。
山際: 私はもう2時3時起きだね。そうして、稲こき(脱穀機)で穂をみんなとってね。
五十嵐: 農家の人は、みんなそういう習慣があるから冬も早起きなんですよね。朝飯前にワラ叩きやって、ご飯食べて、縄綯いとか俵編みやむしろ織りとかをする。藁には本当にいろんな使い方があるんですよ。はざ架けした藁は、屑がいっぱい付いているでしょ。それを使いやすい(いい)部分だけとって、すぐる。熊手のようなものを使ってやるんだけど、その「ワラすぐり」のあと、叩いて使う。お手元にあるのは、柏崎市高柳町で村おこしの活動で「じょんのびだより」という機関誌を出しているのですが、その中で私が連載で書いた資料です。縄にも左縄と右縄があってね。また「ぐみ」といって、三つ編みのようにしたり、いろんな縄がある。荷縄は左縄で撚りをかけて、3本で三つ編みする。そうすると強くなるんですよ。さらに丈夫にするために、布を混ぜたりもしていました。
桾沢: 新潟の冬によく見られる雪囲い。あの縄も藁縄でしょうか?
五十嵐: そうです。あれは今ほとんど機械で綯っています。昔は手で綯っていた。それこそ昭和になってからは機械が多くなってきて、作業に使う縄はみんな機械だね。藁細工もものによっては、ワラを叩く場合と叩かない場合もある。機能に合わせて使っているんだよね。
山際: 用途によって藁は堅さ、柔らかさはみんな違うんさね。
桾沢: なるほど。ところで、今回作った卵つとのように藁で作った「つと」に煮た大豆を入れると、なぜ納豆ができるんでしょうか?
五十嵐: それは、稲藁には納豆菌がついているから。豆を熱く煮て、その豆をつとこの中にいれて、「卵つと」よりもっと大きいものでね。よく売っているつとこは、折り曲げているから小さい。三条の方は、藁束のまま大豆を入れていましたよ。そして、真ん中に「オトコ」というまじないを入れて、多少縁起のようなものがあるんだれどね。納豆そのものは正月の食べ物で、めでたいもの。昔は正月に食べていました。
山際: 俺たち農家の場合は、だいたい家庭で味噌つくったんですよ。豆を煮て、それを味噌玉にしてね。藁に包んで、軒下にだーっとかけておいてね。だいたい4月頃、味噌を仕込むんさね。あとは納豆もつくった。納豆は、納豆菌を入れていたね。
五十嵐: 三条の方は、12月25日がだいたい豆を煮る日。それは正月に納豆を食べるためでね、「25日納豆」とか呼んでました。雪の中に熱い豆を藁で包んでまとめて筵で覆って、こたつや雪の中に入れて熱が逃げないようにしてね。あとは「藁にお」に入れたり、糠(ぬか)床に入れたり、いろんな工夫をしていました。大晦日の年取りには、ちょうど納豆が食べられるようになった。
桾沢: 納豆がお正月の食べ物ってイメージは全くありませんでした。
五十嵐: 今回作った「卵つと」のように、藁には「ものを包む」役割もあるんです。壊れないように瀬戸物とかも包んでた。あと子どもが、親が農作業している時に外に飛び出ないように、「つぐら」というものの中に入れて布団を被せてた。よく昔の俳句なんかにも出てきますね。使い道は何でもあるんです。このすぐった藁でも、屑も捨てないで布団の中に入れた。そしてもちろん堆肥にもなります。
桾沢: 機械で稲を刈り取った場合、藁はどうなるんですか?
山際: 稲刈り機は収穫しながら、すぐ後ろからみんな藁が砕かれて出てくるんですよ。
桾沢: えー、砕かれてしまうんですね。
五十嵐: 藁は干す(はざ架けする)ために、ワラを束ねるのにも、そのつなぎを藁で作って束ねるんですよ。こうやって縛る時も、挿むだけでとまる。もう藁は穂先から根元まで捨てるところは何もない。言うなれば、これが「藁の文化」だと私は言えると思います。
桾沢: そうですね。先日も「藁の文化」を長年研究されている宮崎清先生にインタビューした際にも、同じお話を伺いました。その内容は、お配りした「シツライ ひとひらvol.5」にもまとめてあります。資源循環の中にある藁の存在。機械化や石油製品の登場・多様化によって、私たちは藁製品を身近に見なくなった。そういう時に、今この藁の存在が何を教えてくれるかっていうことが大事だと思うんですよね。五十嵐さんは、今後この藁がどうなっていくのか。どんなイメージもっていらっしゃいますか?
五十嵐: 稲作文化の日本ですから、藁を使う文化っていうのは、日本が世界に誇るものだと思います。これは人間の基本となる手の動きとかね、自然と子どもの時から、縄を綯ったり、いろんなことをしていると、それが身体に馴染んできて、私のように80過ぎてもこうやって縄を綯うことができるし、自然とものを結ぶとかできる。人間に身についた技術で、これを藁を使いながらやると一番残るんですよね。いろんな用途がある藁なので、それを使ってものをつくることが、人間の身体の動きの基本、技術の基本になってくると思う。だから、これは後世に受け継がれるべきものだろうということで、今日みなさんのように若い人がやって下さることは、大変ありがたいです。なかなか今、藁は捨てられる時代ですけれども、これをなくさないで、また藁そのものの良さが見直されると、今度は、稲刈りの方法とかそういうのにも、また藁を残すような工夫がされる時代がくるかもしれない。そうなってくればいいわけですから、そうなるためにも、藁は非常に大切なものであり、非常に有効な素材であることを、やっぱり稲作そのものを知らない人たちからもそういったことを知ってもらえば、機械をつくる人たちも「じゃあ、藁を残すような稲の刈り方の機械の工夫をしよう」とか収穫方法を工夫しようとか、稲作そのものも「いい藁がとれるような」稲作を工夫するということになってくればいいかなと思います。これはやっぱり日本の基本の文化、基層文化って言い方があると思いますが、それが藁の文化だと思いますので、ぜひ、今後ともこの活動を続けていただければと思います。
<KOKAJIYAの甘味をいただきながらの休憩>
今回の甘味:米粉の抹茶白玉(豆腐入り)あずき(自家製の黒蜜をかけて)
参加者の方: 普段は、豪農の館・北方文化博物館におりまして、今日は個人的な参加だったのですが、博物館には展示物としての藁細工、民具もたくさんあって、近所のお年寄りたちがいろんなものを今も作っていらっしゃるのですが、自分ではやったことがなく、チラシの写真を見て「作ってみたいな」と思って参加しました。
山際: 実際にやってみると、またやりたくなるよね。
<茶話会再開>
五十嵐: 「つと」っていうのは、江戸時代なんかはね、地主の家などでは、祝いのお櫃(ひつ)がありますよね。朱塗りなんかのね。でも、貧しい一般の農家ですと、お櫃がない。だから、お祝いに何かを持っていく時には、つとに餅を包んでいくといった風習があったんですよ。江戸時代、十日町の中里のあたりに、金沢瀬兵衛という江戸の武士が訪れ、その地域の事情を体験し、『越(こし)の山つと』(越後の山のお土産)っていう本を書き残したんですよ。鈴木牧之の『北越雪譜』は有名ですけど、紛争解決に来た武士が、織物のこととか藁仕事のこととか、そういうものを記した。いわゆる紀行文ですね。その中で、藁製品について書いてあって、絵もあるんです。十日町の中央印刷山内商店の山内軍平さんという方が復刻出版されたんです。「山つと」というのは、他所にものを持っていく時の包み、入れ物って意味なんですよね。実は「つと」は草冠に包む「苞」と書きます。藁の活用、同じ苞でもいろんなものがあったってことですよね。人に渡すために、綺麗な藁で包むということが、礼儀、心の表現でもあったんですよね。
山際: うち(西区木場)の方では、「つと」は「つっとこ」って呼んでいました。
五十嵐: 三条では、つとに敬称語の「つとこ」って呼んでたんですよね。
桾沢: 山際さんは長年藁細工をやってこられていますが、その藁は全部自分で手で植えて、青刈りもして全部一からご自身でやられているんですよね。
山際:いやまあ俺は農家生まれで、百姓の経験も何十年とあるんだけど、時代の移り変わりっていうか、ものすごい変わったよね。私たちの頃は、今みたいに乾田化していないんだよね。排水の便が悪い。三本鍬(くわ)で 平たい鍬も使ったりしてやってたんだよ、畝(うね)つくるのに。そういう時代の人間なんで、あまりにも農家の変わり様というかね、今の新しいトラックだとか機械が出てきて、俺たちは「田植え機だけはできないよ」と思ってたけど、それも全部機械でばばばばっーって「たいしたもんだな」って感心してますよ。
五十嵐: さっきの鍬は、私も調査に関わったこの『角海浜の民具』(内藤富士男編、巻町双書27)にも載っています。それと昔の稲作の苦労は、(会場にいる「旧庄屋佐藤家の火焚きじいさん」こと)齊藤文夫さんの書かれた本に写真がいっぱい載っていますから、ぜひご覧ください。
山際: ここ(腰のあたり)まで浸かるんだよ。田んぼに。
齊藤:ただ股引(ももひき)だけはいて、ゴム長靴なんかないから、足がびりびりするんだて。寒くて。でもやっているうちに自然に足が慣れてきてね。
五十嵐:「ひゃっこーい(つめたい!)」って言いながらも、田打てねえ(田を打つ=耕す)から、中に入んなきゃいけね。それを「足が海老になる」って言ってたね。
山際:そうそう。特に秋になるとね、雨が降るでしょ。そうすると、田んぼの水が増えるんだよ。今みたいに排水機ないから、泥濘(ぬかる)むんですよ。そうすると、女の人もだって腰以上にくるんだよ。だから「かんじき」履いて、縄で編んでさ、板状になったやつ付けて、それでもまだ足の短い人は、かんじきの上に台つけるんさね。箱型の「かんじき」。
桾沢: そこまで、ご苦労されてでも続けている「藁仕事の楽しみ」の源って何なんでしょう?
山際: どういっていいのかのー
五十嵐: 生き方そのもの、そうしなければ生きていけない、ということだったんですよ。そこで生まれて育つんだから、逃げ出すわけにいかない。
山際: 特に亀田郷なんてひどかったんだよね。海抜ゼロ。穂も根元からは刈れなかった。中間ぐらいから刈ったんでないかな。
五十嵐:むかしの農作業の絵をみると、舟にのって稲刈りした。田植えもね。2本の太い竹竿をおいて、その上にあっがって田植えをして、先へ行く時には、両足を動かして、少しずつ進んで田植えをしていくっていうやり方の絵も残っています。今燕市になりましたが、旧分水町の牧ケ花の解良家(良寛の庇護者で有名)にそういう絵が残ってたんです。長岡の新潟県立歴史博物館に絵巻が展示してあります。私はその展示に関わっていて、立体模型にして展示してあります。昔の農作業を知るには、みなとぴあや県立博物館に行くといいですよ。米をつくり、藁をとる。そのために鎌が工夫されたり、道具がいろいろ出てくる。脱穀方法とかもね。稲作が始まった頃は、穂刈りだけで、藁を使っていなかったという説が有力だったのですが、石包丁もあってね。柏崎の別の遺跡では、弥生時代の石器で根刈りをした痕跡もあった。だから、弥生時代から藁を使ってた可能性もあったのではと今は考えられています。ただ、発掘しても出てこないわけです。
桾沢: そうですよね。三内丸山遺跡から「縄文ポシェット」と呼ばれる編みかごのようなものが出土したといわれていますが、「編む」行為そのものは縄文時代からあったわけですよね。
五十嵐: そう。藁でなくても木の樹皮を縄にするとか、似たような草を藁と同じような使い方した可能性はあって、そこから藁が出てきてという考え方もできます。まだまだ分からないこともありますけどね。
桾沢: 最後に、五十嵐さんは、なぜ民具に惹かれたのでしょう?
五十嵐: 三条市の市役所時代ですが、たまたま昭和45年(1970年)に、新潟県の秘境、秋山郷(長野と新潟の境界、新潟県中魚沼郡津南町と長野県下水内郡栄村とにまたがる中津川沿いの地域)に行ったんです。秋山には、信州秋山と越後秋山とがあり、信州側の人は、津南町に一度出てからでないと他所へは行けないという辺境の村だったんです。その新潟県側の民俗調査があり、オブザーバーとして参加したのですが、そこで「土地が違うと、使ういろんなものが違う」とわかったんです。風土といいますか、住んでいる土地の雪が深かったり、山があったり、腰まで浸かるような深い田んぼだったり、山の田んぼだったりと、みんなその土地土地で道具が違うんですよね。そういう民具を調べることで、歴史や文化が違ってきていることがわかる。民具からいろんなことを学ぶことができるなと思ったんです。「歴史」というと書かれたものだけが歴史だと言われるけど、「もの」は、ものを言わない。道具とか絵画とか、言葉にはならない「もの」から、歴史を知ることができる。そう実感したんですよね。そういうことが一つのきっかけだったと思います。
<参加者のみなさんの感想>
「初めて藁を使って作らせてもらったんですが、お話も聞けて、藁の大切さ、藁って便利なものなんだなと。また作ってみたいなと思いました。」
「藁を使うの初めてで、いい匂い、手触り。プラスチックにはない“あったかさ”を感じられて、素敵だなと思いました。」
「私も藁の香りと、自分で作ったときの達成感が感じられてよかったです。縄綯いは難しかったんですけど、楽しめました。」
「私が子どもの頃は、藁製品ってまだあったんですよね。だけど、触ったことがなくて。縄綯いもどうするんだったかなと。向いが農家さんですが、藁を見たことなく、どこにあるのかなと思っていました。」
「三条市が実家で、職場が先ほどの北方文化博物館で、展示にも関わらせていただいています。移築された民家が2つあり、中の展示をきれいにしたいなと思っていて、藁の魅力と可能性を感じました。若い方にも受け入れられるとわかったので、頑張りたいなと思いました。米どころ・新潟の人が、藁細工を作れなくても、作り方くらいは知っている方がかっこいいんだろうなと。これを機にまた興味を深めていきたいと思います。」
「藁を初めて触ってみて、やっぱり慣れないとかなり難しいものだなって思いました。」
コメントを聞いた後、山際さんがぽろっと「いやあ、藁づくり、米づくりってのは楽しんですよ。」とおっしゃった一言がとても印象的でした。最後は恒例の記念写真撮影で終了となりました。参加者の皆様、ゲストのお二人、そしてKOKAJIYAのスタッフ、どうもありがとうございました!