お知らせ, 吉田明さんのやきもの
陶芸家・吉田明さんのやきものを販売
ツイート十代の若きより陶芸に励み、朝鮮古陶・古窯を研究しながら「その場所の土」にこだわり、独自のスタイルで「やきもの」の初源を見つめてきた吉田明氏。大地の芸術祭への参加を機に十日町で陶土、釉石を見出し「妻有焼」を生み出しました。近年惜しくも急逝なさった吉田さんの数多い作品から、吉田さんの奥様の御厚意でKOKAJIYA2階「室礼」に数点を選んで置かせてもらっています。
独特の深さを湛えたやきものの肌を是非味わっていただければと思います。
どれも見飽きず、使う毎に愛着が沸く品々です。
お手に取っていただき、購入することが出来ます。
品目
1:焼締ぐいのみ(七輪陶芸)
2:ぐいのみ
3:白磁ぐいのみ
4:粉引あこだ花生
5:赤絵椿文皿
6:刷毛目鉄絵ぐいのみ
焼締ぐいのみ(七輪陶芸)
小ぶりな焼締茶碗です。外側は荒く岩のような表情をしています。多少口が窄まり、奥が広く、底がまるくなっています。覗き込むと月面のような不思議な世界となります。
ぐいのみ
「ぐいのみ」の品名でお預かりしてきましたが、小皿としても良いかもしれません。技術がありながら自然に身を託している吉田さんの姿勢が見える、美しい肌の一品です。
白磁ぐいのみ
釉薬の掛かり方がおとなしくもなくあばれてもいなく、薄い青が多様で目に楽しい一品です。内部に灰が降って小イボが出来た為、使う人は選ぶだろうと言われてお預かりしてきましたが、そこもまた魅力です。
粉引あこだ花生
「あこだ(阿古陀)」とはかぼちゃの一種のことだそうで、穏やかなふくらみとゆがみのあるいれものです。通常は焼成後にグラインダーなどで取り外す「台座」が付いています。それがあることで、立ち姿に良い影響を与えているように見えたのでそのままお預かりしてきました。吉田さんの奥さんは「徳利にしてもいいんじゃない?」とのこと。
赤絵椿文皿
「魯山人の写しをやってみた」品、とのことでしたが、却って勢いのある刷毛の気持ちよさがある、吉田さんらしいものになっている気がします。吉田さんの器は飾られることよりも「用いる」事を念頭に、色彩は抑えめにしてありますが散らしてある小さな金が綺麗です。
刷毛目鉄絵ぐいのみ
ぐるぐると刷毛目が勢いよく巻いている、小さなぐいのみです。鉄絵の「ツ」の文字が何を意味しているのか、聞きそびれてしまいました。「旋風(ツムジ)」の「ツ」でしょうか。
吉田明(よしだあきら)プロフィール
1948 (昭和23)東京都青海市に生まれる。
1962 中学の授業で経験したやきものが高じて、独学で窯をつくる。
1965 ロクロの基礎を江崎一生氏に学ぶ。
1972 八王子市美山町御屋敷に客窯を築き、地元の土に取り組み始める。
1973 佐賀県有田町の大山窯にて陶器の製作始動をしながら磁器を学ぶ。唐津、伊万里の古窯跡発掘。
1974 八王子の土をテーマに第一回個展。
1981 本格的に茶陶に取り組む。新宿・柿傅ギャラリーにて茶陶展。(以後、毎年開催)
1994 青梅市沢井に青梅窯を開窯。
1995 青梅市梅郷にギャラリーと自らの器で食を楽しむ酒処「すいとん屋」を開く。
1997 青梅市柚木町にギャラリー「やきものショップ陶」を開く。
1998 東京都西多摩郡日の出町大久野に日の出窯を開窯。
1999 日の出窯工房に朝鮮式割竹登窯を築窯。
2004 ニューヨークで茶陶展。
2005 新潟県十日町市「大地の芸術祭」参加。作品準備のため、妻有の土を調査、松代・海老集落に粘土層を発見。各所で原土を採取し、「妻有焼」にむけ研究・焼成テストを重ねる。
2007 イギリスで開催された「第11回国際陶芸フェスティバル」に招待。
2008 「妻有焼」で地域振興をめざし、旧野中小学校に登窯と窖窯を設計、築窯。「妻有焼陶芸センター」開設に尽力する。
同年12月5日、60歳で急逝。
協力:ギャラリーやきもの語り吉田明記念館