お知らせ
11/23(祝)【ENZA w-002 カマダイ】室礼にて開催!
ENZA workshop#002 藁細工「カマダイ」のご案内
「そこにあることを、自分ができることに変えていく」というテーマのもと、一つの場所をぐるりと囲んで集まり、ものをつくったり、経験をともにしたりしながら、それぞれの経験値を高め、興味を深化させていくことを意図して始まった「ENZA」。ENZA Workshop 2回目の開催は、藁細工で「カマダイ」(なべしき)をつくります。
かつては稲の栽培の余剰物であった稲わら。手刈りではなくてコンバインで刈り取る今では、農家さんが自家用に使用する他にはなかなか手に入りにくく、貴重な素材となっています。そこにあるもの(藁)を暮らしに生かすために、長年かけて各々の地域に伝えられてきた藁細工。その奥深さの一端に触れる機会として、初心者でも本格的に楽しめる「カマダイ」づくりを行います。すでにご参加された方も、「縄綯い」でつくるカマダイにも挑戦できます。
ENZA w-002 藁細工「カマダイ」
●日時:2016年11月23日(水・祝日)
≪午前≫10:00~11:30 ≪午後≫13:00~14:30●場所:西蒲区岩室温泉666 KOKAJIYA2F「室礼」
※駐車場は「いわむろや」駐車場(西蒲区岩室温泉96-1)をご利用ください●講師:ワラ細工名人 山際辰夫さん
●参加費:3,000円(材料/講習費込、お茶菓子付き)
●定員:各回6人
※お子様連れの方もご参加できます●申し込み・お問い合わせ:TEL 080-4051-1211(ぐみざわ)or メール(info@bricole.jp)まで。
「11/23のENZAワークショップ参加希望」とお伝えのうえ、「お名前、連絡先、《午前》or《午後》、参加人数」をお知らせください。●主催:Bricole(ブリコール)
講師の山際さんは今年米寿!今年も、身体に鞭打って、注連縄やお正月の玉〆め飾りづくりのために春から藁の準備をされてきました。その稲わらを使わせていただきます。山際さんについては、こちらをご覧ください。
2014年開催の土着ワークショップ「カマダイづくり」の様子より。
ENZA w#001「干し柿」@武田家住宅 開催しました
曇りや雨の続く晩秋。木の葉が色づいたと思ったら、いつの間にか落ちはじめ、新潟も一歩ずつ着実に冬に向かっています。そんな中ぽっと晴れ間を見せてくれた10月最後の日曜日。『ENZA(えんざ)』のワークショップ第1回目となる西区木場、旧武田家住宅での干し柿ワークショップを開催しました。
前日の夕方、巻町の柿農家・三根山農園の長津やすおさん宅に、丹精込めて育てた渋柿を取りに伺いました。10月下旬に入り、昨年より少し遅めの収穫だったという「越王おけさ柿」と呼ばれる角田山山麓のブランド柿。その出荷規格は厳しく、少しでも日焼けや青み、入れ墨と呼ばれる染みがあると規格外としてセンサーではじかれてしまうそうです。その中からワークショップ用に180個分けてくださいました。
実物を見るとなんら問題なさそうに見える、いやむしろとても立派な柿で驚きます。「おけさ柿」で知られる種のない「平核無(ひらたねなし)」は、水分が多く、肉質が緻密で、甘みも栄養もたっぷりな渋柿です。それを1~2か月かけて「干し柿」にしていきます。
『ENZA』では、「そこにあることを、自分ができることに変えていく。」ということをテーマに、1つの場をぐるりと囲んで寄り集まって、そこかしこにある「興味のあること」を参加者みんなで深化させる機会と場をつくっていこうと考えています。
「干し柿をつくる」という行為にも、様々な先人たちの知恵、地域の風土や文化、人々が生活の中で脈々と伝えてきた思想や積み重ねが詰まっています。私たちブリコールは、そういう「行為の奥にある何か」をそれぞれが見つけ出すきっかけや機会を作り、そこにあることを自分に引き寄せて、活かしていくことができるような“関係づくり”を意図しています。
会場の旧武田家住宅では、すでに新潟市文化財センター職員の方が、敷地内の柿の木の柿を使って干し柿づくりを始めていました。こちらは、縦にぶら下げるタイプと、串に挿すタイプの干し方でした。
18世紀前半に木場地区に建てられたといわれる旧武田家住宅の茅葺き屋根の軒下。縁側にちらりと見える柿の点々が、かわいらしく、またよく似合います。この隣りには、近々大根も干されるそう。ひと昔前までは、町のあちこちの軒先に見られた生活の風景ですね。職員の方も『こうして軒下を実際に使うのがいいんですよね。ただ保存するんじゃなくね』とおっしゃっていたのが印象に残りました。
そんな武田家の一角を使わせていただきました。干場は2か所、南東向き(玄関向かって左脇)と北東向き(玄関右横の側面)の軒下です。干す場所による違いも見ていきたいと思います。
縁側からの光が美しい囲炉裏のある茶の間で、参加者のみなさんとともに「皮むき」の作業をスタート。
これまで「土着ワークショップ」で秋葉区タカツカ農園の高塚俊郎さんに教えていただいた方法とコツなどをお伝えしました。また、今回初めてワークショップに際して『干し柿の栞』を作り、お配りしました。干し柿や柿に関して調べたり、経験談をまじえた作り方のコツ、柿の利用例などをまとめました。
そしていよいよ本題の皮むき作業へ。
大きめの柿だったので、剥き慣れるまで、表面が多少でこぼこしますが、数個やるうちにみなさんとても綺麗に剥いて下さりました。
とそこへご近所に住んでいる「土着ワークショップ」ではおなじみのワラ細工職人の山際辰夫さんが参入!私たちの様子を気にかけて下さり、遊びに来て下さりました。
するとまたそこへ武田家住宅の見学の方いらして「何やってるのかね?干し柿かね?」とたずねられ・・
いつのまにかみなで雑談に。そしてなんと偶然にも年配の男性のお一人が、「私、この武田家に高校生まで住んでいたんだよ!」とおっしゃり、まさに武田さんご本人(写真一番左)でした。
そんなサプライズもあり、話に花が咲くと、今度はもうお一人の男性が「私にちょっとやらせてみてよ」と包丁を手渡すと、とんでもなく見事な包丁さばきでささーっと柿の皮を剥いてしまいました。
「君たちの手つきでは危なくて、こういうのは昔からやってるから得意なんだよ」と笑っておっしゃいました。何でも先生はいるものですね。道具の使い方や感覚が手に沁みついている感じでした。学びたいところです(汗)山際さんともお知り合いのようで、みなさん包丁をとって立ったまま楽しく皮剥きにご参加されていました。
それを見ていた山際さんも「どれ、そんじゃ俺も…」と見事な手さばきを見せて下さりました。
お爺さん方の光景がなんとも微笑ましく、思わぬ偶然で楽しい時間になりました。
参加者のお一人は「無心にやれるこの時間がすごくいい」とおっしゃっていて、私も同感です。
ひたすら皮をむき続けること1時間あまり。むいた皮は綺麗なものは持ち帰りました。そのまま乾かして、柿チップスにもできますし、大根などと一緒に漬けると甘みや風味がでるとのこと。
続いて、柿を干す前の「湯通し」作業に入ります。
山際さんは「これまで湯につけたことなんてないよ。でもカビが生えにくくなるなら、面倒くさがらずに次回からやってみようかね」とおっしゃっていました。
干し柿専用の柿クリップとシュロ縄で干し場の準備をして、湯通しした柿を次々に干していきます。
ネックレス状に干すこのやり方は、柿同士や紐と柿がぶつからず、綺麗に仕上げられると高塚さんに教えていただきました。
人数が少なめでしたので180個全ては干せませんでしたが、お天気に恵まれた午前中いっぱいを使って、楽しく前編の皮剥き&干し作業まで終えることができました。
その後はお茶タイム。
ビタミンCたっぷりで独特の甘みの柿の葉茶と佐渡の「柿餅本舗」さんの干し柿、弥彦の玉兎をお出ししました。そして駄洒落で「柿の種」も。山際さんの育てた二番穂(7月末、藁細工用に青刈りした後に出てきた穂)の稲穂も添えて。
新潟のスーパーには「米菓」とは別に「柿の種」コーナーがあるほど、身近な柿の種。元祖柿の種で知られる浪花屋製菓さんのパッケージ裏には、なぜ柿の種と呼ばれるようになったかが書かれていました。気になる方は、スーパーで探してみてください(笑)
今回『干し柿の栞』を作った際に、参考に、また引用した本を並べました。
しばし談笑の後、記念撮影をして終了となりました。
最後に、サプライズをもう1つ。皮むき作業に入ろうとした時、参加者のお一人が「小学校同じでしたよね?」ともう一人の方に声をかけられていて、「えっ!あ、そうかも…」「おっ、お久しぶりです!」という会話が聞こえてきて、なんと同じ小学校の同級生だったことが分かりびっくり!卒業以来の再会だったそうです。そしてまたその小学校名が「真砂小」と聞いて二度びっくり!私桾沢も東京にあった(今は合併してしまった)真砂小の出身だったのです。なんだか偶然が重なった嬉しい余談でした。
次回は手もみ作業です。長津さん、参加者のみなさん、山際さん、ありがとうございました!会場のまいぶんポートの皆様にも感謝いたします。これから柿の様子を見守らねばならないので、引き続きお世話になります。まずはご報告とお礼まで。
*場所を変えて「干し柿」ワークショップを開催します! 〜参加者まだまだ募集中〜
【11/6(日)ENZA W#001「干し柿」@いわむろや/開催のご案内】
◇日時:2016年11月6日(日)10:00~12:30
◇会場:いわむろや 伝統文化伝承館(新潟市西蒲区岩室温泉96-1)※無料駐車場あり
◇参加費:2,500円(“干し柿の栞”とお茶菓子付き、後日干し柿6個持ち帰り)
※中学生以下参加無料(持ち帰り干し柿6個は別途500円)
◇持ち物:エプロン、ハンドタオル、使い慣れた包丁、(屋外作業があるため)温かい服装、ビニール袋(皮を入れるためのスーパーの袋など)
◇定員:A,Bともに10名程度
<全体工程>
●前編(今回):皮むき&干し作業
●後編(次回):干し柿回収&揉み作業(約3,4週間後、同じ会場にて)
その後持ち帰り、又は、乾燥後受け取り(お渡し場所はご相談のうえ決定)
<お申し込み・お問い合わせ>
080-4051-1211 info@bricole.jp 担当:桾沢(ぐみざわ)
「お名前、人数、ご連絡先」をお知らせ下さい。
※お子様もご一緒に参加できます。お申し込みの際、ご相談ください。
※会場設営などお手伝いして下さる方を同時募集します。「手伝ってもよい」という方はお申し込みの際、ぜひお知らせください。よろしくお願いいたします!
主催:Bricole
“ENZA” 第1弾は「Workshop-#001干し柿」
【 ENZA と ENZA Workshop#001「干し柿」 のご案内 】
この秋、Bricoleでは「ENZA(えんざ)」という新たな取り組みをスタートいたします。
テーマは「そこにあることを、自分ができることに変えていく」。
「ENZA(えんざ)」は、一つの場をぐるりと囲んで寄り集まって、そこかしこにある「興味のあること」を参加者みんなで深化させる機会と場を企図しています。「共に」見聞きし、体験することは理解の幅や応用の幅をぐっと広げてくれるはず。
具体的には、
●ENZA-W =以前の「土着ワークショップ」を引き継いだ形での実践ワークショップ(W)
●ENZA-T =様々な知識体験を持った方々を交えての座談会、トーク(T)
●ENZA-F =ただの旅行に留まらない探索や調査を交えたフィールドワークツアー(F)などを企画してまいります。
ENZA 暫定HP:http://bricole.jp/enzaabout/
今まで「土着ワークショップ」も同様の思いで開催してきましたが、活動地域や視点をある程度絞っていました。ENZAでは「旅(たび)」が一つのキーワードになります。
ENZAの「たび」とは、「他(た)」の「火(ひ)」にあたりに行くこと、またその火を持ち帰ったり、あるいは自分たちの火を外と交流させること。御近所にお茶飲みに行っても、遠くに行っても、他の火にあたりに行く、「たび」と捉えます。
かつて民俗学者の宮本常一氏が、おけさ柿生産に町ぐるみで励んでいた佐渡の羽茂町を訪れた際、現場の雰囲気を以下のように評されました。
「誰でもが、いつでも、自由に立ち寄れて、どんな話でもできるところに良い指導者がいる。知恵が湧き、力が集積されて、生産文化が形成されていく。」
まだ産声をあげたばかりの「ENZA」ですが、ぜひそんな場を目指していきたいと思います。
さっそく、ENZAとして第1弾となるのワークショップ「干し柿」のご案内です。
晩秋から冬にかけての冷たい雨や風の気候条件のもと、渋柿を自然の力で栄養も豊富な甘柿へと変えていく、昔ながらの「干し柿」づくりの知恵。地域の特性を知り、生活の中での実験を通しての蓄積が技術となっていく、その経験のプロセスを参加者のみなさんと共有し、楽しみながら、「美味しい干し柿づくり」を探求していきたいと思います。干し場は2箇所ありますので、ご都合のつく方にお越しください。
/// ENZA-W001「干し柿」///
<干し場A>
◇日時:2016年10月30日(日)10:00~12:30
◇会場:新潟市文化財センター(まいぶんポート) 旧武田家住宅(新潟市西区木場2748-1)※無料駐車場あり
<干し場B>
◇日時:2016年11月6日(日)10:00~12:30
◇会場:いわむろや 伝統文化伝承館(新潟市西蒲区岩室温泉96-1)※無料駐車場あり
◇参加費:2,500円(“干し柿のしおり”とお茶菓子付き、後日干し柿6個持ち帰り)
※中学生以下参加無料(持ち帰り干し柿6個は別途500円)
◇持ち物:エプロン、ハンドタオル、使い慣れた包丁、(屋外作業があるため)温かい服装、ビニール袋(皮を入れるためのスーパーの袋など)
◇定員:A,Bともに10名程度
<全体工程>
●前編(今回):皮むき&干し作業
●後編(次回):干し柿回収&揉み作業(約3,4週間後、同じ会場にて)
その後持ち帰り、又は、乾燥後受け取り(お渡し場所はご相談のうえ決定)
<お申し込み・お問い合わせ>
080-4051-1211 info@bricole.jp 担当:桾沢(ぐみざわ)
「お名前、人数、ご連絡先、希望日(干し場A or B)」をお知らせ下さい。
※お子様もご一緒に参加できます。お申し込みの際、ご相談ください。
※いずれの日も、会場設営その他のお手伝いして下さる方を同時募集します。「手伝ってもよい」という方はお申し込みの際、ぜひお知らせください。よろしくお願いいたします!
主催:Bricole
<干し場A:旧武田家住宅>
<干し場B:いわむろや>昨年の様子
※干し場Bでは、KOKAJIYAの軒先にも干します
後編の手もみ作業
完成した干し柿
書籍「うつろうもの のこるもの」をKOKAJIYA・室礼にて販売中!
室礼を運営する私たちブリコールは、このほど書籍『MADO+BOOKS 001 うつろうもの のこるもの』を発刊しました!
8/7より「灯りの食邸 KOKAJIYA 1階入口」にて、販売を開始しております。
そこで、本書出版のいきさつについて少し触れてみたいと思います。
2013年の夏からここ岩室にて活動をスタートさせ、半年が経った冬。すぐ隣りにある西蒲区福井というまちで、長年写真を撮り続けているおじいさんがいることを知っていた私桾沢(ぐみざわ)は、いろいろとこの辺りのお話を伺いたく、その斉藤文夫さんの活動場所である「旧庄屋佐藤家」を訪れました。
その時のインタビューは2,3時間だったでしょうか。いろり端で滔滔とお話される斉藤さんの話が非常に面白く、とくに今はなき村「角海浜」のお話にはぐんぐん引き込まれました。そこで、その内容から抜粋し、私たちが不定期で発行しているフリーペーパー「ひとひら」のvol.03に「角海浜」と言うタイトルで掲載させてもらいました。
するとこのフリーペーパーは、思いのほか反響をいただき、刷った1000部はあっという間になくなり、斉藤さんからも喜んでいただきました。
そのインタビューと前後する頃、映画『阿賀に生きる』(佐藤真監督、1992年)を見て心を動かされた私は、角海浜の老人たちと、阿賀に生きた人々との間に多くの共通項が浮かびあがり、この作品づくりに関わったみなさんと先ほどの斉藤さんとでお話をする機会がつくれないか、と同時に、この映画を岩室で上映する場もつくりたいと思いました。
そして、様々なご縁とみなさまのご理解ご協力が重なって2014年の春に実現したのが、映画『阿賀に生きる』16mmフィルム上映会@いわむろやと「いろり座談会」でした。
斉藤さんと『阿賀に生きる』に関わったみなさんとともに、横断トークというかたちで行ったこの座談会は、3時間に及ぶ盛りだくさんの会でしたが、今考えても奇跡的にありがたい場でした。上映会は、撮影された小林茂さんが、配給会社の太秦さまにかけあってくださり上映許可をいただき、自ら16mmフィルムと映写機材を持参して映写技師さん・音響さんとともに上映してくださいました。そしてそれは、『阿賀に生きる』がそうであったように、お客様からのカンパ方式でおこないました。
「いろり座談会」もゲストの皆様へはノーギャラですし、いわむろやさんの機材をお借りし、会場の佐藤家もほぼタダ同然での利用をさせてもらいました。『阿賀に生きる』の仕掛け人・旗野秀人さんが座談会でおっしゃっていたように、何かお金ではない、べつのものを介した、誰かと誰かの想いからできあがるような、とても熱を帯びた空間になっていたなと、当事者ながらにそう思います。
今回私たちが出版した『MADO+BOOKS 001 うつろうもの のこるもの』は、その「角海浜インタビュー」と「いろり座談会」を収録しつつ、斉藤文夫さん「角海浜」、村井勇さん「『阿賀に生きる』スチール」、石山与五栄門さん「鎧潟」という、3人の撮影者による貴重な白黒写真を中核にしています。写真はとにかく素晴らしいです。ぜひ、ご覧いただきたいものばかりです。
本のタイトルに、MADO+BOOKS(目門ブックス)と冠しているのは、今後も書籍をシリーズとして出してゆきたいという思いを込めています。奥付に「MADO+BOOKS(目門ブックス)」について以下のような文章(桾沢和典)を載せました↓
“いつか誰かの見た「光」や「音」。それは、人の心に切り取られ、ある時代には、「物語」や「絵」として、ある時代には「写真」や「映像」として残されます。断片となって形を変えながらも、大事に選びとられた事物は、他の誰かに伝えられ、生き続けることがあります。
まど(目門)とは、風景を切り取る目と、物事が往来する門のようなもの。誰かがどこかで出会い、大事にえらびとった事物を「本」という形で寄せ集めることで、人が人に手渡すことを願ったそれが、誰かにとっての良き贈り物となることを願います。”
東京から新潟へ移住し、岩室での活動をきっかけに出会った人々とが有機的につながり、様々な関係線の中で、おかげさまでこの本はできあがりました。
過去から未来へ、うつろいながらものこってゆくものたちに思いを込めて…。
ぜひともお買い求めいただき、大切な周囲の方々にも宣伝していただけると嬉しいです。
///
MADO+BOOKS 001 「うつろうもの のこるもの」
書籍概要
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http://bricole.jp/madobooks/
“しかしそれでも人は生きる。「うつろうもの」と「のこるもの」との狭間で。
ときにあえなく翻弄され、ときにはそれに逆らうように。”
(本書寄稿「写真が想い出す」・・・美術批評家/椹木野衣 より)
タイトル : MADO+ BOOKS 001
『うつろうもの のこるもの』
企画・編集・発行: Bricole(桾沢和典・桾沢厚子)
大きさ : A5サイズ(148mm×210mm)
ページ数 : 表紙4p+本文80p
印刷部数 : 1,000部
発行日 : 2016年8月6日
販売額 : 1,500円(税込)(本体1,389円)
販売場所 :①直接注文 ②オンライン販売 ③新潟市内外の販売店様(販売店リストはページ下記↓)
お問い合わせ/ご注文先:080-4051-1211(ぐみざわ)メール:info@bricole.jp
インターネット販売はこちら>>Bricoleストア
「私たちの生活は、私たちの望むままに変わってきたのか?
それとも、気づいた時には変わってしまっていたのか?」
巻の原発問題に揺れながら廃村した「角海浜」の生活をカメラで追い続けた斉藤文夫氏、映画『阿賀に生きる』の老人たちの姿を親密な距離感で撮り溜めた村井勇氏、消えゆく「鎧潟」をそこに棲む人々とともに記録し続けた石山与五栄門氏。 三者三様に、「浜」、「河」、「潟」に生きた人々を捉えた、貴重な写真で過去を振り返りながら、自然と人間との関わりにおける河川のあり方を追求してきた 大熊孝氏(新潟大学名誉教授、ビュー福島潟7代目名誉館長)、人の生き様をあぶり出すドキュメンタリー作品を生み出す、『風の波紋』監督小林茂氏、長年新 潟水俣病患者に寄り添い続け、映画『阿賀に生きる』仕掛け人でもある旗野秀人氏(冥土のみやげ企画)をゲストに迎え、「自然とともに生きていた人の暮ら し」を自らの体験と出会った人々から語る「いろり座談会」の三時間にわたる全内容を収録。
(「過疎に消えた村の記憶 角海浜」:廃村までの「角海浜」を写真と共に語ってもらった斉藤文夫氏インタビューを同時収録。)
///
<もくじ>
○角海浜 ―過疎に消えた村の記憶―
語り手:斉藤文夫(旧庄屋佐藤家・囲炉裏の火焚きじいさん) 聞き手:桾沢厚子
○いろり座談会「角海と阿賀に生きた人々」
座談ゲスト:
大熊孝(新潟大学名誉教授・河川工学/土木史)、斉藤文夫(郷土研究家、写真家)、
小林茂(ドキュメンタリー映画監督)、旗野秀人(「冥土のみやげ企画」主宰)、
村井勇(フリーカメラマン)
司会:桾沢厚子
○寄稿「写真が想い出す」/椹木野衣(美術批評家)
○あとがき
「間に生きるものとして」/桾沢厚子
「継続され反復される光」/桾沢和典
●掲載写真
角海浜の記録 斉藤文夫
映画『阿賀に生きる』スチール 村井勇
鎧潟 石山与五栄門
●付録:角海浜・阿賀に生きる関連年表
【販売店リスト】(2016.9.20現在)
<新潟市西蒲区>
●旧庄屋佐藤家
●KOKAJIYA2F 室礼
●岩室観光施設「いわむろや」
●tetote 越前浜店
●MAUI store
●にいだや&ギャラリー野衣
<新潟市中央区>
●北書店
●新潟・市民映画館シネ・ウインド
●新潟絵屋
●hickory03travelers
●BOOKS f3
●砂丘館
●ジュンク堂書店新潟店(新潟関連書籍/芸術書コーナー)
●みなとぴあ(新潟市歴史博物館)
<新潟市江南区>
●北方文化博物館
<燕市>
●ツバメコーヒー
<長岡市>
●ブックスはせがわ
<十日町市>
●10/29 「十日町姫田作品上映会」にて出張販売
<東京>
谷根千/上野
●古書ほうろう
●ROUTE BOOKS
●往来堂書店
●ひるねこBOOKS
恵比寿
●(9/22~)Nadiff a/p/a/r/t
●(9/25~)Nadiff BAITEN (東京都写真美術館内)
荻窪
●本屋Title
※今後、順次追加してまいります。
※お取り扱いいただける販売店様は、お手数ですが、ぐみざわまでご連絡ください。詳細をご連絡いたします。
【お知らせ】巻原発住民投票から20年記念シンポジウム「明日の巻地域を考える」
【シンポジウムのお知らせ】
先日の日曜日に行われた第1回シンポジウムのバトンを引き継ぎ、今週の日曜、14日に旧庄屋佐藤家にて「巻原発住民投票から20年~明日の巻地域を考える~」という第2回シンポジウムが開かれます。私桾沢はその中で、司会・進行役という大役を引き受けることになりました(汗)
<<シンポジウム概要>>
「明日の巻地域を考える」
●日時:2016年8月14日(日) 14:00~16:30
●会場:福井旧庄屋佐藤家 新潟市西蒲区福井2908
※駐車場あり
●出演:
角田山妙光寺住職 小川英爾
角田山自然見まもり人 坂井弘
佐藤家保存会理事長 平岡一郎
のぞきからくり研究家 上原木呂
新潟大学教授 松井克浩
●司会:
ブリコール 桾沢厚子
【入場無料】
●主催:巻原発住民投票から20年 明日の巻地域を考える会、NPO法人福井旧庄屋佐藤家保存会
●協力:いわむろや
●後援:新潟市・新潟市教育委員会
●お問い合わせ:090-2551-8514(斉藤)
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「巻原発住民投票」が実現した1996年8月4日、私は東京の中学2年生。もちろん、新潟の一自治体(当時は巻町)で行われた“日本初”の住民投票のことは、知るわけもなく…。あれから20年、家族を持ち新潟に住まい、縁あって、「住民投票当時のことを振り返り、巻地域のこれからを考えたい」という趣旨のその催しにお声がけをいただきました。そして、私はシンポジウム、桾沢和典は展示「住民投票実現までの軌跡」という形で夫婦で関わらせていただいています。
ここで恥をさらしますが、大学時代、私は都市計画、都市環境デザイン等に興味があり、関連する授業を受けていました。その中で一番関心がなかったのが「自治体まちづくり」の授業。自治体、あるいは自治ということになかなか理解が及ばず、また机上の勉強ではあまり得るものがないのではないかと少し疑問も感じ、悶々としていました。
しかし、そんな「自治」ということが遠いこと(他人事)のように感じられた学生時代から10年を経た今、自分の生活の中で、机上の勉強としての自治ではなく、「生の(リアルな)自治」ということに触れている実感があり、それが新潟での人々との出会いを通じて、またここ数年の町内活動などに参加しはじめたことで、より明確に「自分事になってきた」という実感があります。
というわけで、前置きが長くなりましたが、今回のシンポジウムのテーマは、【地域の自治】ということだと解釈しています。いかに自分たちの住まう地域を、自分たちの手でつくっていくのか、関わっていくのか。
日本初という住民投票を実現させた地域で、そこで住まう人々、あるいはその動きに反応し研究をした人々…。彼らの「生きた経験」を今後の「知恵」へとかえていくため、後世に残そうと企画された今回のシンポジウム。良き、学びの場となるよう一生懸命、司会・進行役を頑張りたいと思います。
ゲストは、以下の5名。
●角田山妙光寺・住職の小川英爾さん(1952年生まれ 64歳)
平成1年、日本初の家族血縁による跡継ぎを必要としない永代供養墓『安穏廟(あんのんびょう)』を実現したアイデアマン。毎年夏に「フェスティバル安穏」と称し、合同供養、生老病死を語るシンポジウム、交流会等新たな結縁を結ぶ場を設けるなど、活動は多岐に及ぶ多忙な住職。お寺の存在を「人と人とを結ぶ場」として、地域のボーダーを超えたコミュニティ形成に大きく寄与している。
●角田山自然まもり人 坂井弘さん(昭和4年生まれ 87歳)
潟東村に生まれ、長年巻の中学校の教師を経て、現役最後は巻東中学校校長となった教育者。現在は「角田山自然まもり人」という会の世話係として、会員とともに、角田山の山道の整備などをボランティアでおこなっている。巻原発住民投票実現後に、巻町長となった笹口孝明さんは、巻中学校の教え子だそう。全国に存在する「良寛会」の巻支部の会長でもあり、新潟が誇る良寛の教えを今につないでいる。
●NPO法人福井旧庄屋佐藤家保存会 理事長 平岡一郎さん(1944年生まれ 72歳)
西蒲区福井にある茅葺古民家、佐藤家。その保存・活用活動を支える代表者。地元では土木・建設会社を経営し、福井の自治会長も務める。大学でフランス文学を専攻するなど、文化・芸術への理解も深く、福井地区に外からアートを取りこみ、神楽などの芸能と出合わせ、地区の自然や人間のすばらしさを伝える活動も行う。ホタルの里として整備されてきた福井地域の良さを知り尽くし、様々な地区活動を掌握する地域のドン的存在。
●のぞきからくり研究家 上原木呂さん(1948年生まれ 68歳)
昭和50年に旧巻町の民家から発見され、全国でも貴重な「のぞきからくり」(新潟市有形民俗文化財)の修復・復元に関わり、研究を熱心に行った研究者。実家は、地元の銘酒・「越後鶴亀」の酒蔵。「エチゴビール」(日本全国第一号地ビール)の生みの親。東京芸大出身で、シュルレアリスムの洗礼を受け、イタリアの大道芸などを実地で学び、人形遣い、舞台・映画俳優を経て現在はパフォーマーとしても活動する。
●新潟大学人文学部教授 松井克浩さん(1961年生まれ 55歳)
原発のある女川町育ち。専攻は社会学理論、災害社会学。ドイツの社会学者マックス・ウェーバーの研究者。巻原発住民投票後、大学として巻町に聞き取り調査に入り、内発的な地域づくりとは何か、真の民主主義とは何か、その学びを記録。2004年新潟中越地震の被災地復興に関わる調査を契機に、災害大国日本における被災と再生の経験、そして生の声を丁寧に記録に残しながら、社会のあり様を洞察する研究を各地でおこなっている。
以上のような、方々です。私の見解も多少入っています。
当日、もしかしたら、会場に新潟市長の篠田昭氏もいらっしゃるかもとのことで、緊張が高まっていますが、ぜひこのゲストのみなさんの貴重な経験談・ご見解をうかがいに、佐藤家へいらしてください。
【お知らせ】『住民投票実現までの軌跡』展を「いわむろや」で開催中
ひさびさの投稿になります。
昨日7/31から、ご近所の岩室観光施設「いわむろや」にて開催中の巻原発住民投票から20年~明日の巻地域を考える~記念展示『住民投票実現までの軌跡』。その展示の構成・デザインを、『室礼』を運営する私たちBricole(ブリコール)で担当させていただきました。
旧巻町に昭和44(1969)年から起こった東北電力による原発計画。その設置への賛成・反対の争いは30年という長期に渡り繰り広げられ、その問題に決着をつけたのが、「巻原発住民投票」でした。
この日本初の住民投票の実施によって、「地域住民が自分たちの未来を直接決めた」という歴史的な日(1996年8月4日)から数えて20年。当時を知り、問題と向き合い、闘い、行動し、また後世にその運動の記録を残そうとされた人達がいます。その方々が中心となり、今回の展示が実現しました。
当時の写真や1969年に新潟日報がスクープした『角海浜(巻町)に原子力発電所』という新聞記事から賛成派・反対派両方のチラシ、ビラ類、運動の様子を伝える物品や書籍など百数十点以上で構成された貴重な展示です。
あの住民投票があって、今の新潟市に原発が建たなかった・・・。
その意味を、今、改めて振り返り、知り、後世に伝えていく必要があるのではないかと思います。ぜひ「いわむろや」へお越しください。
【展示概要】
●巻原発住民投票20周年記念展示『住民投票実現までの軌跡』
●期間:7/31(日)~8/21(日)
※「いわむろや」定休日 8/3(水)、8/17(水)
●時間:9:00~19:00
●会場:新潟市岩室観光施設 いわむろや 企画展示室
●入場無料
●お問い合わせ:090-2551-8514(斉藤)
●主催:巻原発住民投票から20年 明日の巻地域を考える会
NPO法人 福井旧庄屋佐藤家保存会
協力:NPO法人 いわむろや 後援:新潟市・新潟市教育委員会
●展覧会メンバー(以下、敬称略・五十音順)
展示企画・発起人:斉藤文夫・笹口孝明・中村正紀・平岡一郎
資料提供者:遠藤寅雄・斉藤文夫・笹口孝明・中村正紀
展示指揮:中村正紀
空間構成・デザイン・設営:Bricole(桾沢和典・桾沢俊介)
協力:小倉壮平・本間香苗
新潟日報 8月1日朝刊 2面掲載記事
藁細工職人・山際辰夫さんのこと。
今日は、山際辰夫さん・ハツさんご夫妻のことを書きたいと思います。
この写真は、いつも土着ワークショップの藁細工の講師としてお世話になっている、山際辰夫さん(昭和2年生まれの87歳)の手です。内側がツルツルしてますね。
手の甲は、こちら。
内側がすべすべなのは、長年(30年以上)「注連縄(しめなわ)」づくりをやられてこられ、稲わらで縄綯いをする際、沢山こすれて指紋が無くなるくらいになってしまうからだそうです。
そんな山際さんが先日の3/1の新潟日報朝刊の「ひととき」に掲載されました。
<新潟日報の記事より>
普段、何気ない会話の中でも伺っていることですが、改めて記事を読んで、「じいちゃんは、本当に藁細工やものをつくること(=手を動かすこと)が好きなんだなぁ」と実感します。
<山際さんご夫妻のつくった品々>
キビぼうき、棕櫚ほうき、草ぼうき、布草履、イグサ鍋敷き、カマダイなど
山際さんに講師をお願いしたワークショップもこの3月で8回を数えます。
<土着ワークショップ「カマダイづくり」の様子>
ワークショップに参加された方はお分かりになるかと思いますが、ついつい「じいちゃん」と本当の親戚のように呼んでしまうのは、2013年の夏に出会ってからこの3年ですっかり、西区木場の山際さんのお宅に何度となく通いつめ、家族ぐるみで山際さんご夫妻、そして飼い猫(♀)の「にゃーにゃー」にもお世話になっているからです。
特に昨年2015年は、水と土の芸術祭市民プロジェクトとして、「稲作文化ドキュメンタリー」というプロジェクトを私たちブリコールで企画し、その映像撮影のため、数か月間、ご夫妻の暮らしに密着し、あれこれお話を伺い、取材をさせていただきました。山際さんが一番得意とし、その暮らしの中心をなすと言っても過言ではない、藁仕事「注連縄」づくりに関わる稲の苗代づくりから、田植え、青刈り、乾燥、縄綯いまでを一緒に体験させていただいたのは、私たちにとっても貴重で、ありがたい経験となりました。
じいちゃん、ばあちゃんの若かりし頃、熱中した地域の踊り(棒踊り、花笠踊)の話、農家の生活歳時記、藁やキビ、竹細工など、自然の素材を使ったものづくりの話、稲刈り鎌(道具)の扱いの話、犬の肉まで食べたときう戦中の話、今でも現役で用水路のドジョウを捕まえて食べている話等々・・・、一日では語り尽くせない本当に沢山のお話を伺いました。
<地元の神社の注連縄づくりにも尽力された>
その時の様子が一部見られるサイトは、こちら。
ご夫婦の歴史や経験談を伺う中で、私はいつも彼らの生まれるずっと以前から連綿とつながっている“何ものか”の存在を感じます。時代の変化に寄り添いながらも、暮らしの技術や生きる知恵の大事な部分は引き受け、自分たちで工夫をこらし、あるいは苦労を重ねながら、今ある生活を楽しむこと。
短い時間の中でもお話を伺うことで、そういった彼らが当たり前に行い、過ごしてきたことを追体験(あるいは想像)できるような感覚があり、毎回とても楽しく、充実した時間を過ごさせてもらっています。そして、山際さんのお宅からの帰り道では、自然と力が湧いているというか、元気になっている自分がいます。
そして、そんな2015年最後の嬉しいニュースは、12/17の新潟日報で山際さんの「注連縄づくり」の写真記事が載ったこと。ご本人もとても喜んでいました。この注連縄はブリコールでも2014年からオーダー販売させてもらっています。(詳細はこちら)
<「記事を親戚が額に入れてくれたんだよ」と、嬉しそうに見せてくれた山際さん>
その後も日報さんの取材は続き、今回の3/1の記事につながったそうです。写真には写っていませんが、いつも山際さんの傍らにいるハツさん(山際さんの6つ下)と猫のにゃーにゃーの存在も欠かせません。
辰夫さん、ハツさんの「あ・うん」の呼吸は、さすがです。最近のワークショップも2人で、講師を務めて下さりました。こちらが教わっているのに、「いろいろ勉強になったよ、ありがとう」とおっしゃるハツさん。その柔軟さには頭が下がります。
先日も何気ない会話の中で、いつもお二人でスーパーに買い物に行くという話を聞き、その光景を思い浮かべて、「すてきだなぁ」と思いました。
<道路脇で青刈りした藁を干すお二人>
<山際さんの藁すぐりの様子を見守るハツさん>
そんな人生の大先輩である山際さんご夫妻には、まだまだ長生きしてもらって、色々教わりたいなと思っています。これからも足繁く通いたいです。
最後に、2/28に開催した「流しびなづくり」の記事がまたまた日報の地域欄に載ったので、その記事をUPします。
この春からは、また来年の注連縄用の稲作が始まるのでしょうか。
<山際さんの田んぼ>
「膝がいとうて(痛くて)、もう今年は無理だよ」とおっしゃる山際さんの声を聴かなかったふりして、「じいちゃんばあちゃんと、そして次は娘も一緒に田植えしたい」と、頃合いを見て伝えようと思います。
【レポート】土着ワークショップvol.14 「流しびな」(②後編:紙びな&折形)
2/28に行った土着ワークショップ(DWS)「流しびな」づくりのレポートの(後編)です。
(前編)でつくった「桟俵(さんだわら)」の舟に乗せる紙びなづくりは、まず着物選びから。様々な古布の中から、お雛様、お内裏様の着物を好きな組み合わせで選びます。
用意しておいた厚紙に合わせて、5ミリ程度多めに布を切っていきます。
ボンドで厚紙に布を貼りつけます。
続いて、紙粘土の顔に髪や表情を書き込んでいきます。真剣な様子でみなさん、顔を描かれていました。全作業の中でここが一番緊張します。
顔ができたら、着物の厚紙に穴をあけ、差し込んで、好きな位置で固定します。
そして今度は、桃の花を包む「花包み」の折形(おりがた)に取り組みました。
折形(おりがた)とは、贈答や室礼などの際に用いられた、紙を折って物を包む日本の礼儀作法の1つ。平安時代に各武家で独自の折形が考案され、江戸時代には、庶民にも広まり、各家々や流派によって様々に伝承された作法があります。今回は、小笠原流の包み方を参考に、折線のガイドをもとに折り込んでいきました。吉事には2枚、凶事には1枚で折るものですが、今回は、飾り用として透けた紙1枚を用いて、柔らかい雰囲気の「花包み」にしています。
「花包み」の形ができたら、桃の造花を入れ、下の方を折り曲げ、その少し上を飾り紐でしばります。
最後に菜の花と室礼のお手製「お守り札」も添えて、竹ひごで紙びなとともに固定したら、「流しびな」の完成です!!
母娘の親子でご参加下さったお母様も嬉しそう。
会場は、つづいて完成した「流しびな」を眺めながらの「お茶会」に模様替え。
KOKAJIYAのスタッフの細貝さんと清水さん(写真は清水さん↓)に、今回もお菓子とお茶を担当していただき、“春”を感じさせるすてきなプレートに仕上がっていました。
KOKAJIYAの真向かいにある老舗和菓子店『角屋悦堂』のご主人のつくる和三盆はとっても上品で美味。ウグイスに姫みずきの花を添え、物語の一場面のようです。
スタッフお手製の甘納豆は、KOKAJIYAの今月の甘味菓子として提供しているものだそうです。北海道産の黒豆、大福豆、紫花豆、青エンドウ豆の4種で彩りもきれい。味もそれぞれの個性があっておいしいです。
そんなほんのり甘いお菓子には、「桜茶」をチョイスしてくれました。桜茶は、KOKAJIYAスタッフがお茶の先生に習って覚えたレシピとのこと。塩味が効いていて、お菓子にぴったりでした。
しばしの歓談で“春の訪れ”を一足先に楽しんだあとは、恒例の記念撮影タイム!
<午前の部>
<午後の部>
親子で参加された方や、遠方の柏崎からもお出でいただいた方もいらしたりと、今回もまた楽しいワークショップとなりました。ご参加されたみなさま、山際さん、KOKAJIYAのスタッフ、そして、藁をご提供いただいた農家の山上さん、どうもありがとうございました。
さらに、このレポートを書いている今日はひな祭り。嬉しいことに、新潟日報の3/3朝刊の「下越版」に大きく掲載いただきました。(下写真↓)ありがとうございます!
最後に、完成したみなさんの「流しびな」を並べます。紙ひなの表情や着物だけでなく、桟俵の形もみな異なり、それぞれに愛らしい作品ができあがりました!
【レポート】土着ワークショップvol.14 「流しびな」(①前編:桟俵)
新潟も少しずつ寒暖を繰り返しつつ、春めいた空気を感じるようになってきた2月の終わり。2016年に入って最初の土着ワークショップ(DWS)となる「流しびな」づくりを開催しました!
「流しびな」は、「ひな祭り」の元となったといわれる年中行事。旧暦3月3日の節句の日に、災いを祓(はら)うために人形を形代(かたしろ)にして、けがれをのせて川や海に流す習慣が、京都の下鴨神社や鳥取県用瀬(もちがせ)などで、今も各地に残っています。子どもの健やかな成長を願い、祈りを込めて水に流す「流しびな」。その藁細工の舟や紙びなの造形がすてきなので、ひな祭りに向け、飾るための「流しびな」をつくるワークショップを室礼ではこれまで2回行ってきました。
今回は3回目ということで、初めて午前と午後の2部に分けて行いました。午前・午後の写真を織り交ぜながら、(前編)=桟俵づくり、(後編)=紙びなづくり&折形に分けて、当日のレポートをしていきたいと思います。
午前中は、新潟日報さんが取材に来られ、参加者の方へのインタビューがあったりと、いつもと少し違った雰囲気に。幸い外はうっすらと晴れ、自然光の入る室礼の空間で、おだやかなワークショップがスタートしました。
最初は、稲藁(わら)でつくる舟の「桟俵(さんだわら)」づくりです。材料の稲藁は、岩室温泉のすぐご近所「夏井のはさ木」で知られる夏井の稲作農家さんから分けていただいた、はさがけ米の“干し藁”を使用。
昔の人は、お米を手作業で天日に干し、脱穀して残った稲わらを、様々な生活の道具に利用してきました。特に農家の人にとっては、冬の農閑期の藁仕事が生活を、家計を支えていました。それが今では、機械によって収穫の際に、ほぼ全て細かく砕かれて田んぼにまかれるため、米どころ新潟といえども、なかなか藁自体は手に入りにくいものになっています。
そんな稲藁を穂先から根元まで無駄なくすべてを使い切るという、かつての人々の知恵にならい、私たちブリコールでは、2013年から土着ワークショップの中で、藁細工に取り組んできました。「桟俵」は、いわゆる米俵の側面に使われる「ふた」の部分のこと。本物の米俵は大きさが大きいので、大人の男性が丸い石の重しを藁の上に乗せ、その上にのっかって編み込んでいく作業を行っていくのが、かつては当たり前に見られた光景だったそうです。
「流しびな」の桟俵は、紙びなを乗せる舟なので、直径は20cm程度。その上にのっかって全身で作業するには、小さすぎて大変です。そこで西区在住・藁細工職人で、いつもお世話になっている講師の山際辰夫さんが手元で座って作業できるお手製の木製器具を考案。それを私たちが、コピーさせてもらってワークショップでは使っています。
一人ずつ配られた藁の束をまず、根本をそろえ、下から25~30cm位のところで強く縛ります。山際さんは強く縛るために、測量用の糸を使っているとのこと。ポイントはしっかり強くしばることです。
続いてバナナの皮のように、縛った中心部分から片側をしっかりと、均一になるよう折り曲げていきます。
片側が終わったら、上下を反対にして、もう片方も折り曲げます。
このとき、床に結んだ中心部を押し当てながらやるとうまく折れます。
このようなかたちで、稲わらに折りくせがついたら、木製器具の円盤2枚で挟み込んでいきます。このとき、稲の根元がある方の面を上側にして、下側の面に穂先(細い方)がくるようにすると、紙びなの背後にくる俵の内面の稲わら(根元の太い方)が綺麗に見えます。
中心がずれないようにはさみ、しっかりと器具本体にネジで固定します。
きっちり固定するまえに、全体的に稲藁が均等にくるように調整しなおし、均一に広がったらしっかりと固定します。そして、円盤(直径20cm)の外側のラインから10~15cmのところで、稲わらを切りそろえます。
まあるく切り揃ったライオンのたてがみのようになったら、いよいよ編み作業のスタートです。
まず最上部で、左手に6本程度のワラ束(A)をつかみ、右手にその隣のワラ束(B)を5本程度つかみます。Bをそのまま少し垂直にたてておき、Aを2回Bに絡ませ(回す)、Aのうち2本をそのままに、残りの4本を右横に倒しておきます。次に、右となりの4,5本のワラ束(C)をつかみ垂直におこし、その後ろでBを右に曲げます。次のワラ束(D)を掴み、Cをその後ろで右に曲げていく・・・この作業を円盤の縁になるべく線が揃うように繰り返していき、最初の地点まで戻ります。
はさがけした稲わらの場合、乾燥が強いため、ワラが途中で切れないよう霧吹きで水分を含ませながら編み作業をするのがポイント。
編み込む位置をきれいに円盤の外周に沿って進めるときれいな円に仕上がります。
新潟日報の西蒲エリアを担当する記者の方が、「地域欄」掲載のために、流しびなの見本と作業中の風景とを両方交えながら、「はい、じゃあこれで撮りますよ~」とセッティングして撮影されていました。土着ワークショップでは、いつも沢山の記録写真を撮るのですが、こういった取材は初めてだったので、こんな風に撮影するのだなと、なんだか新鮮でした。
午前、午後の部ともにみなさん、とても器用な方が多く、どんどん編み進めていらっしゃいました。
一周編みあがったら、最初に残しておいた2本のワラと最後のワラ束を交差させてねじり、円盤の中に入れ込みます。これで、編み込み作業は終了です。桟俵の外形が出来上がりました!
最後の入れ込んだ部分をおさえながら、器具から桟俵を取り外します。
続いて、円周に沿って飛び出している藁束を、内側に丸め込みながら、舟の縁を作っていきます。
丸め込んだ後は、ぼそぼそと出てこないよう糸でかがっていきます。
下の写真ように、糸でかがらずとも、きれいな桟俵ができた方もいらっしゃいました!
これで流しびなの舟「桟俵」の完成です! 続いて、レポート(後編)「紙びなづくり&折形」へ。
(後編)で完成する「流しびな」の見本↓
3月いっぱいは、この「流しびな」を室礼に飾っています。どうぞKOKAJIYA2階までお気軽に上がってみてください!
また、岩室温泉界隈では「ひな巡り」のイベントも開催中(〜3/22まで)!
※「岩室温泉ひな巡り」詳細は、こちらへ