土着ワークショップ [DWS]
土着ワークショップvol.8 レポート前編 「卵つと」づくり
2月15日に開催した土着ワークショップ。2013年より始めて早8回目(!)の今回は、ワラ細工の「卵つと(苞)」づくりに初挑戦しました。レポート前編では「卵つとづくり」、後編では五十嵐稔さんの「民具の茶話会」をお伝えします。
ゲストには、お馴染みの山際辰夫さんとともに、三条市から新潟県民具学会(会長)の五十嵐稔さんにもお出でいただき、豪華なベテラン講師陣に恵まれ、スタートしたワークショップ。
まずは、開催前に試作した「卵つと」の見本を見ながら、これから作るもののイメージを膨らませます。「卵つと」とは、卵を持ち歩くために藁で包んだ藁細工のこと。参考のために本でみた山形の「卵つと」は卵を横向きに包んでいましたが、割れやすいというアドバイスから、縦向きに卵を並べていきます。新潟では縦が主流のようです。
こちらが一人分の材料。
案外、藁は少量です。ここで材料の特徴として、卵を包むベッドのような役割をする藁(上)は、叩かないそのままの固い藁。茎の中に空気を含んでいるため、クッション性抜群です。一方、卵を押さえる紐がわりに使う藁(下)は、圧力機にかけた、いわゆる叩き藁。こちらは、断面が楕円状になって潰れているので、しなやかで、曲げたり結んだりの細工に適しています。卵は5個。昔から卵5個で包むという形が基本のようです。
まずは、ベッドとなる藁束をつくり、卵を乗せる部分(端っこ)を曲げて形を船のように癖づけします。
1個目の卵を乗せ、叩き藁を2本とり、真ん中で結びます。この時強く縛りすぎると、当然卵は割れてしまいます。五十嵐さんのお話では、「今の卵は割れやすい」とのこと。むかしの卵は、鶏を外に出してよく運動させていたから、卵そのものも強いのだとか。なので、なおさら注意が必要です。
五十嵐さんも何年ぶりかで藁に触ったとおっしゃっていましたが、ブランクを感じさせない手つきです。
1人で難しい場合は、2人がかりで始めると確実に作業が進みます。1人は卵を固定し、もう1人が藁で縛る。簡単なようで、卵の表面は結構滑ります。
順調に進めていく大学生のお一人。とっても器用!
5個までいけば、あとは結んで固定するだけ。
続いては、「縄綯い」に挑戦です。初心者にとっては難しいというこの縄綯い。山際さんの手つきを見ながら、右縄を綯います。
参加者のみなさん、意外にもすんなり綯われていました。ビックリです。
手元がとても素敵ですね。手で撚りをかけながら、交差させていく。至ってシンプルな作業ですが、力の入れ具合、スピードなどが直接出来上がりに反映されます。
縄綯いができたら、両端を結んで「持ち手」部分をつくります。
余分な藁を切って、完成!
それぞれのペースで、集中して作っていらっしゃる姿がなんともいえずいい雰囲気でした。
「見よう見まね」でこうして、技が伝わっていく様子がいつも清々しいなと思います。
完成した「卵つと」。プラスチックのパックに入っていた時と、全然別物に見えるのはなぜでしょう…。
先に終わった学生さんが手伝う姿も見られ、微笑ましかったです。
こうして「卵つと」づくりは、難なく終了!この後は、これも初の試み「茶話会」のはじまりです。
→レポートは、後編「民具の茶話会」につづく
3/1(日)土着ワークショップvol.9 流しびな 参加者募集!
2月もおわりに近づき、少しずつ、空気や草花に春の陽気を感じます。もうじき「雛祭り」がやってきますね。
そんな「雛祭り」の元となったといわれる「流し雛」。3月3日の節句の夕方に、災いを祓(はら)うために人形を形代(かたしろ)にして、川や海に流す習慣が各地に残っています。雛段に飾るお雛様も素敵ですが、祈りや思いを込めて流すという「流し雛」も、とても風情があり、ここ新潟県でもかつては「流し雛」の風習が見られたとか。
今年も、昨年に引き続き、桟俵(さんだわら)という稲藁で編んだ船、ひな人形、そして春の小花をあしらい、思い思いの「流し雛」をつくりたいと思います。ワークショップに合わせ、雛祭りを感じられるKOKAJIYAのお茶とお菓子も用意します。
娘さんやお孫さんへのプレゼントに、また家庭やお店など飾りやお守りとして、是非作ってみませんか?
昨年の「流しびな」です
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土着ワークショップvol.9 流しびなづくり
日時:2014年3月1日(日)13:00~
13:00~ ワラ細工職人 山際辰夫さんを講師に「桟俵」づくり
室礼スタッフとともに「人形」づくり
15:30頃 お菓子タイム
16:00終了
会場:室礼(KOKAJIYA 2階)
駐車場は「いわむろや」駐車場をご利用ください。
参加費:3,000円(講習費・材料費込み、KOKAJIYAの茶菓子付き)
定員:6人
申込み方法:TEL 080-4051-1211(ぐみざわ)まで。
※小さいお子様がいらっしゃる方も、ご参加可能です。お申込みの際、ご相談ください。
※定員になり次第、受付終了となります。
※人形は、厚紙と金色の和紙、古裂(こぎれ)で着物部分をつくります。好きな布や和紙などがあれば、お持ちいただいても結構です。
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●昨年の「流しびなづくり」の様子↓
(昨年のレポートはこちら)
土着ワークショップvol.8 ワラ細工「卵つと」づくり・民具の茶話会
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土着ワークショップvol.8 ワラ細工「卵つと」づくり・民具の茶話会
日時:2015年2月15(日)13:30~16:00(終了予定)
場所:西蒲区岩室温泉666 KOKAJIYA2F「室礼」
※駐車場は「いわむろや」(西蒲区岩室温泉96-1)駐車場をご利用ください
講師:ワラ細工職人 山際辰夫さん(黒埼民具保存会会長)
茶話会ゲスト:五十嵐稔さん(新潟県民具学会会長)
参加費:3,000円(材料/講習費込 KOKAJIYAのスイーツ&お茶付き、当日支払い)
※卵は本物を使います。
定員:12人
申込み方法:TEL 0256-78-8781(KOKAJIYA)/080-4051-1211(ぐみざわ)まで。
「2/15の土着ワークショップ参加申込み」とお伝えください。
<当日の流れ>
13:30~ 「卵つと」づくりスタート 講師:山際辰夫さん
14:45~ 五十嵐稔さんとの茶話会 聞き手:桾沢厚子(ブリコール)
KOKAJIYAのスイーツをいただきながら
16:00 終了予定
※お子様も一緒にご参加できます。小さなお子様がいらっしゃる場合はお気軽にご相談ください。
※定員になり次第、受付終了となります
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2015年最初の土着ワークショップは、ワラ細工の「卵つと(苞)」づくりです。
昔は、卵を持ち歩くために「つと」と呼ばれるワラ細工に入れていました。かつて卵は貴重な食べ物で、病人のお見舞いや、ハレの日の御馳走だったそうです。物のない時代、貴重品である卵を安全に運ぶ入れ物として、材料が豊富にあった藁をクッション材に使った「つと」が考案されたようです。
実はこの「卵つと」、1960~80年代にかけ、世界20数か国を巡回した展覧会「TSUTSUMU」(「日本の伝統パッケージ展」)に出品され、海外からもその優れた機能美が賞賛を集めたことで知られています。
展覧会の企画者、グラフィック・デザイナーの岡秀行氏(1905-1995)は、日本の風土の中で育まれた自然の素材を用いた包装・容器の美しさに魅了され、「包む」行為そのものにも日本人の美意識や、職人たちの高度な技術や誇りが反映されているとして、それらを収集したそうです。50年も前の当時でさえ、手技が失われつつあることに危惧を抱いたという岡氏はそれらを「日本の伝統パッケージ」と名づけ、展覧会や写真集として世に問うたのだそうです。
主催者の桾沢も大学生の頃、十日町の駅で「卵つと」の写真が大きく掲載されたポスターを見た時のあの感動は忘れられません。
そして今回、「卵つと」を作ってみるだけでなく、広く全国の民具について詳しい五十嵐稔さんにもお話を伺おうと思います。藁を使う意味、手を自ら動かして作る民具に受け継がれてきた先人の知恵、自分たちのこれからの暮らし方のこと、そんなことを少し考えるきっかけになればと思い、茶話会を企画しました。
ワラ細工を教えて下さるのは、お馴染みワラ細工職人の山際辰夫さん(御年86歳)。
「卵つと作りたいのだけど、じいちゃんわかる?」と尋ねたら、「おう、わかるよ」と即答。心強いです。山際さんの手と頭の中に引き継がれているものを少しでも、受け取れたらなと思っています。
以下は、先日山際さんの工房にお邪魔した際の「卵つとづくり」の様子です。
「何十年かぶりにつくったよ」とおっしゃる山際さん。それでも、すぐに思い出せるのは、長年「稲わら」と対峙し、さまざまなものをつくってきた身体にしみついた「記憶」があるからではないかなと思います。
当日は、最後の仕上げで稲わらの縄綯(な)いも行います。これもまた初心者には難しいのですが、やってみると、楽しいもの。ぜひ、挑戦してみてください!ご参加お待ちしております。
干し柿完成!
12月はじめに「手もみ」作業を終えた、土着ワークショップvol.06「干し柿づくり」。その後のレポートです。
12/7に行った手もみ作業。一つ一つ「甘くなれ!」と思いを込めておこないました。
手もみ直後、寒くて風通しの良いと思われたKOKAJIYAの廊下に面する階段の上に1週間ほど、時々裏返しをしながら寝かせていました。が、思った以上に廊下に湿気がたまりやすく、一部の干し柿にはカビが発生。そこで急遽、干し柿をカビの発生したものと無事なものにより分け、別の場所に移すことにしました。
少しカビの生えてしまったものも「食品用アルコールで丁寧に拭き取りを行えば大丈夫」とお客様の声により救出することに。
雨などに濡れないKOKAJIYAの軒下と昨年うまくいった主催者(桾沢)自宅のベランダに再び干し、外気中に晒すことにしました。
それから1週間。ぽつぽつと白い粉が全体に吹き始め、2週間目には、全体的に白い粉が吹いた状態になりました。外気中に干してからは、カビの生育環境となる温度と湿気の心配も無く、順調に干し柿づくりが進みました。
2013年に続き、2度目の挑戦にして新たな失敗も経験。それでもなんとか2014年も、角田山麓・柿団地の平核無(ひらたねなし)柿を使った「干し柿」が完成!無事、年末に参加者のみなさんにお渡しできました。
「干し柿づくり」というのは、生きたもの、あるいは自然環境や気候を相手にした実験の繰り返しなのだなと思います。そして、その時その時のものや状況と対話しながらつくっていく、奥の深いものなんだと気づかされました。
人と自然との相互作用で生まれる干し柿は、芸術作品のように見た目にも美しく、また、人々にとっては冬の間の楽しみにもなる、甘さ・栄養ともに凝縮した美味しいお菓子として、昔から愛されてきたのだなと思いました。
日本各地に「干し柿」で有名な産地があります。例えば、出荷量で多いのは長野県の市田柿、山梨県の枯露(ころ)柿、富山県の三社柿など。新潟では、佐渡の「あんぽ柿」(おけさ柿)が有名ですね。各地の干し柿を味比べするのもまた面白いなと思います。
ちなみに桾沢家では、十日町の祖母の家の柿を使った干し柿と今回の干し柿の味比べしました。十日町の柿は、安養寺という山の中の集落の畑に植えられた甘柿に渋柿を接ぎ木してつくった特別な柿だということで、実は固くかなり小振りなのですが、小さく切ったひとかけらを口に含むだけでとてつもなく濃厚で甘く、角田山の柿よりも甘さがさらに上。一方、角田山の柿は濃厚でマイルドな甘みで、実が大きいので食べ甲斐があります。
柿は中国から伝わったといわれていますが、日本全国に幾種もの品種があり、古来より日本の風土と相性の良い果樹なのでしょう。
今後も「干し柿づくり」を続けていきます。
2015年、挑戦してみたいという方がいらしたら、10月頃にHP等でご案内をしますのでぜひチェックしてみて下さい。干し柿をつるす風景がこれからも続きますように。
これまでのレポートはこちら↓
●2014年干し柿づくり <前編>皮むき・柿干し
●2014年干し柿づくり <後編>手もみ
●2013年干し柿づくり(実験)
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「土着ワークショップvol.06 干し柿づくり」は、新潟市シティプロモーション認定事業
『にいがたアグリピクニック』(事業者:foodrop)のプログラムです。
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土着ワークショップvol.7 竹細工・煮ざるづくり レポート
2014年を締めくくる土着ワークショップは、「竹細工・煮ざる」づくり。12月7日、午前中の干し柿づくり<後編>に続き、KOKAJIYA2F室礼にて開催しました。
まずは、参加者のみなさんの嬉しそうな集合写真から。前日の大雪で足下の悪い中、柏崎、長岡、田上町からもご参加いただき、嬉しいかぎりです。
竹細工は身近にやる機会がなく、主催者の私(桾沢)もこの日の1週間前に、講師の阿部晋哉さんから教えていただき、初めて竹ひごを編みました。そんな初心者でもできるものとして選んだのは「煮ざる」。
今では家庭であまり見られませんが、お魚やお餅などを煮る際の、煮崩れやお鍋へのくっつき防止のために使われる実用品です。私も『日本のかご』(とんぼの本/新潮社)という本を見るまでは、全くその存在を知らなかったのですが、きれいな六角形の編み目が美しく、かべ飾りのようにも見えました。ぜひ作ってみたいと思い、KOKAJIYAからもほど近い西蒲区和納在住の竹職人・阿部さんと出会い、ワークショップ開催にいたりました。
さっそく「煮ざる」づくりをレポートしていきます。今回使用したのは、日本一の竹製品生産地、大分県別府産の真竹(マダケ)です。
予め阿部さんには、細くひご状に加工したものをご用意いただきました。竹細工は、編む前のひごにするまでが大変なのだとか。厚みや幅を一定にするひごづくりは難しいため、初心者でもできる基本の編み方「六つ目編み」を学びます。
最初に阿部さんの自己紹介(プロフィールはこちら)につづき、竹のお話。マダケという一般的な竹の種類で、11~12月に採り、苛性ソーダで漂白をして1ヶ月干したものを使っているそうです。マダケは新潟でも採れ、佐渡も竹細工で有名ですが、別府のものと比較すると少し堅いそうです。今回の「煮ざる」には、柔らかいものが向いているということで、別府の竹を使いました。一人ずつ配られたのは、24本の竹ひごと六つ目編みをきれいに編むための阿部さんお手製ガイドボード。以下、右綾バージョンの六つ目編みの紹介です。
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①ボードの真ん中で、最初に4本のひごで写真のように菱形をつくる。
②菱形の上側に5本目を自分に対し平行に、右斜め上向きの竹ひご2本の下にはさみ、5本目のひごの上にできた三角形をつくる2辺のひごの上下を入れ替える。
③この時、真ん中にきれいな正六角形をつくるように竹ひごの位置を調節する。
④菱形の下側に6本目を同じく自分に対し平行に、右斜め上向きの竹ひご2本の下にはさむ。6本目のひごの下にできた三角形をつくる2辺のひごの上下を入れ替える。これでまず最初の六角形ができます。
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参加者のみなさんのペースを考え、少しずつ区切って作業を進めていきます。
竹には節がありますが、その節も模様のうちということで、なるべく真ん中に節を集めます。
ボードの線を意識すると、きれいな正六角形が作れます。
ここまでできたら、次の6本を編み込んでいきます。まずは先生の見本から。
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⑤時折、竹同士が滑ったりしないように、霧吹きなどでお水をかけます。7本目は、右斜め上向きの竹ひごのうち、たて軸中心に近い方から2本持ち上げ、その下に自分と平行に挟みます。
⑥7本目の上部に三角形の隙間ができたことを確認したら、今度は、その三角形をつくる上2辺にあたるひごを交差させ、上下を逆転します。
⑦続いて、ボードごとひごを60度右に回転させ、7本目同様、8本目を自分と平行に挟んでいきます。そして、8本目のひごの上部にできた三角形のうち、上2辺を交差させます。
この作業を繰り返していくことで、上下のひごを交差させる回数が徐々に増えていきますが、6本ずつを一周として、編み込んでいきます。
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参加者のみなさん、最初はなかなか手こずっていらっしゃいましたが、阿部さんに一人ずつ見ていただきながら、少しずつ進めます。時折、お隣の方に聞きつつ、和気あいあいと作業をなさっていました。
途中、竹細工を編む手の動きが面白いなとみなさんの手を眺めていました。
というのも、竹は弾力があるので、竹からの反発力を感じつつ交差させたり、六角形を綺麗に保つためにひごを押さえたりと、けっこう作業中は神経を使うのです。その緊張感のようなものが伝わってきて、竹細工の面白さの一端に触れたような気がしました。
そして集中するみなさんの傍らでは、子どもたちが楽しそうに、灰いじりをする光景が…。土着ワークショップをきっかけに子どもたちもお友達になりました。
編み込み作業も佳境を迎え、いよいよきれいな編み模様が形になってきました。
竹の素のままの美しさがよくわかるこの編み模様。光に当たるととてもきれいです。
こうしてボードの上でみても編み目が揃っています。
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続いて、仕上げ作業へ。トウ(籐)で端っこのひごを8本ずつ結びます。この時、煮ざるが鍋の内側などにフィットしやすいよう、竹ひごに力を加え、カーブをつくります。たくさん湿らすと曲げ易いです。
お腹に煮ざるをあてて、裏から結び目を作りたい部分をつまみながら、トウを巻き付け固く結びます。
トウにも節があるので、節部分を避けながら結びます。
みなさん、最後の仕上げまで真剣です。
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そしていよいよ、完成!!ここまでお話も含め2時間半ほどでしょうか。なんとか形にできました。続いてお楽しみにとっておいた、作業後のデザートの時間。一足早く味見ができるということで、今年できたての「DAIDOCOシュト―レン」(今年の予約受付は終了しています)をいただきました。
毎度ながらDAIDOCOのシュト―レンは本当に絶品!完成した煮ざるにのっけている方も。
こうして、おいしい&うれしい初開催の土着ワークショップ「竹細工・煮ざるづくり」は、終了いたしました。参加者全員が「煮ざる」を形にすることができ、主催者としては正直ほっとしています。みなさま、ありがとうございました!!
今回、参加したくて叶わなかった方も、またぜひやりたいと思います。ぜひホームページなどでチェックしてみてください。
土着ワークショップvol.6 干し柿づくり <後編>レポート
大変な初雪に見舞われた翌日の12/7、なんとか雪もおさまり、予定通り「干し柿づくり<後編>手揉み作業」をおこなうことができました。そのもようをレポートします。
干し柿づくり<前編>レポートはこちら。
今年は「いわむろや」と「KOKAJIYA」の2箇所で、軒下に干した柿。11/3に干して4週間あまり経ち、いったん干場からおろします。
こちらはいわむろやの軒下からおろした柿。
干したときはこんな橙色でしたが、茶色味を帯び、小さくなって旨味が凝縮しています。
心配していたカラスに食べられるなどの問題はほとんどなく、いい具合にできていました。
さっそく、干し柿クリップを取り外し、白い粉付きの甘い干し柿にするため、1個1個手揉みをし、冷たい空気にさらしていきます。
講師の高塚さんのお話では、柿の表面が固くなっているので、素手で触っても問題ないとこのこと。中は水分を含んでまだとろーりと柔らかい状態のせいか、触り心地がとてもよいです。
子どもも興味を持ったようで、一緒に「もみもみ」をやってくれました。
中には、カビが生えてしまった干し柿もありました。カビの部分が小さければ、そこを削り再び熱湯に浸け、もう一度干せば、食べられると知り、丁寧にカビを除いて、改めて干すことに…。無駄にしない、その工夫も大事ですね。
白い粉は「果粉」と呼ばれ、柿の糖分が結晶化して、外に表出してきたものだそう。温度が高かったり、水分(湿気)がたまると、カビが生えてしまうので、干し方にも注意を払います。昔は乾いた藁(ワラ)を敷いて、その中に干し柿を置いて冷暗所で保管したとも聞きます。今回は、小鍛冶屋にあったお盆やお膳の上にキッチンペーパーを敷いた上に並べ、冷所に保管します。
干し柿の熟成した色合いがなんとも言えず、美しいです。
保管場所に選んだのはKOKAJIYAの階段。庭に面した廊下に接していて、適度に空気の流れがあり、温度も低い場所です。
たまにチェックをしながら、ひっくり返すという方法をとります。さて、仕上がりがどんなふうになるか、今からドキドキです。
こちらは、参加者のお一人が持ってきてくださったご自宅の干し柿。11/3の<前編>で配布した同じ柿でしたが、こちらの方が乾燥具合が強く、かための干し柿になっていました。やはり、干し場所で全然違うものができるということを確認しました!
参加者のみなさんには、干し柿が完成次第、KOKAJIYAまで取りに来ていただきたいと思います。後日、お渡し日を電話にてご連絡しますので、お楽しみになさっていてください!!
完成した干し柿についてはこちらへ。
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「土着ワークショップvol.06 干し柿づくり」は、新潟市シティプロモーション認定事業
『にいがたアグリピクニック』(事業者:foodrop)のプログラムです。
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土着ワークショップvol.6 干し柿づくり <前編>レポート
秋深まる11月3日、「土着ワークショップvol.6 干し柿づくり」の前編、柿干し作業を行いました。今回は室礼を飛び出し、「いわむろや」さんでの開催。昨年初めてKOKAJIYAの軒下で干し柿をやってみて、とても美味しくできたので、今年は場所を2箇所でやってみることに。
使用した渋柿は、西蒲区巻の柿団地で柿農家をやっていらっしゃる長津さんの柿。たくさんの柿ネックレスを作りたかったので、味に何ら影響もない、市場には出せないものも含め、約300個(50kg!)もご提供いただきました!市場に出ないとはいえ、立派な柿たち!
KOKAJIYAスタッフでもある吉岡ちえみさんのご紹介で、こんなに沢山の柿を提供いただいたのですが、柿団地近くの越前浜に住む吉岡さんは、今年初めて柿収穫のお手伝いをしたそうです。通称「柿ガール」と呼ばれる柿農家のお嫁さんやお手伝いをされるみなさんが、お揃いのTシャツを着て、柿もぎをしたり、共通の趣味であるトレイル・ランニングの際に角田山麓の柿をPRなさっているのだとか。とてもユニークな活動だなと思います。メンバーも募集中とのこと。ご協力に感謝です!!
講師にお願いしたのは、今年も秋葉区・タカツカ農園の高塚俊郎さんです。さすが!の手際の良さで、干し場の準備を一緒にやって下さいました。
全員が集まり、干し柿についてのお話からスタート。柿の種類(今回は平核無(ひらたねなし)という品種)が千種もあること、「八珍(はっちん)柿」の原木が新津にあること、また「なぜ渋柿は、干すと甘くなるのか?」、「ごまの正体は?」といったお話まで伺いました。
お話の間、タカツカ農園の看板柿「はっちん柿」、「ごまはっちん柿」(柿が苦手な方も食べやすい!)を「いわむろや」で販売されている柿の葉茶とともに試食。とっても美味しかったです!秋の味覚を満喫したところで、さっそく皮むき作業へ。
お好みですが、今回はおしり側から剥いていきます。
最後にヘタの部分を綺麗に四角くなるよう切っていき、余分な部分を除きます。
この皮むき作業、とても地味ですが、大人数でおしゃべりしながらやると案外楽しいです。
そして次々と綺麗に剥かれた柿が並ぶと、なんとも言えないかわいさ、「実り」へのありがたい気持ちがこみ上げます。
また事前に高塚さんが3週間程度干した干し柿を見本に、手揉み作業のコツも教わりました。
この手揉み作業は、干し柿の中から糖分を染み出させる(果粉と呼ばれる白い粉=糖分の結晶を出す)ために大切な作業とのこと。
みなさんが作業している間に、夏井の農家・山上さんが様子を見に来られ、ワンポイントアドバイスとともに、差し入れにご自宅でとれた柿をいただきました!
せっかくなので、柿を並べてみました。上が今回の柿、左がタカツカ農園の柿(大玉!)、一番右が山上さん宅の柿です。どれも美味しそう...
続いての作業は、熱湯での加熱消毒。10秒程度熱湯にくぐらせるだけで、カビが生えるのを防止してくれるそうです。あまり浸けすぎると柔らかくなってしまい、干しにくいので注意!
湯にくぐらせた柿は、すぐに干し場へ持っていきます。
柿農家さんのやり方を真似て「柿クリップ」と呼ばれる、便利で何年も使える市販のクリップに柿のヘタの下の部分をひっかけていきます。これがとても簡単で、柿の表面に紐などが当たって傷つかず、きれいな干し柿に仕上がるのだそうです。
柿のオレンジが、クリスマス飾りのようでとても楽しい作業です!
熱湯消毒をしたお鍋のお湯は、柿を浸けただけなのに、こんなに茶色になっていました!柿渋の色のよう。次回は、柿渋づくりにも挑戦したいなという気持ちがふつふつと湧いてきました。
無事に作業を終え、お楽しみの「まかないランチ」タイムです。
KOKJIYAの熊倉シェフこだわりの、“柿”と“牡蠣”と“かきのもと”をかけた言葉遊びランチ。
・牡蠣の時雨煮とからすみの出汁茶漬け
・かきのもとのおひたし
・シオコッティ(KOKAJIYA汐見シェフによる特製ビスコッティ)
・大学いも
・柿の葉茶
という“かき”づくしメニューでした。子どもたちも美味しく分け合って食べていました。
こうして「いわむろや」の軒下に初めて完成した柿ネックレス。
わずかではありますが、微笑ましい晩秋の風景がつくれたかなと思います。参加者のみなさま、ありがとうございました!!そして、沢山の皮むき作業、お疲れ様でした。
<後編>の手揉み作業は12/7(日)の午前中にKOKAJIYA2F室礼にて行います。
→後編のレポートはこちらにアップしました。
<ワークショップのその後・・・>
ワークショップ終了後、今年もKOKAJIYAの軒下に干し柿をぶら下げました。やっぱりこの風景、絵になります。
KOKAJIYAのスタッフやシェフも仲間入りして、なんだか楽しそう。
こうして今年も無事、柿ネックレスができました。あとは、秋から冬にかけて吹く冷たい風や岩室の空気に任せるだけ。
きっと今年の干し柿もうまくいくような気がしています。どうぞお楽しみに!!
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「土着ワークショップvol.06 干し柿づくり」は、新潟市シティプロモーション認定事業
『にいがたアグリピクニック』(事業者:foodrop)のプログラムです。
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12/7(日)土着ワークショップvol.7 竹細工・煮ざるづくり 参加募集
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土着ワークショップvol.07 竹細工・煮ざるづくり
日時:2014年12月7日(日)13:30~16:00(終了予定)
場所:西蒲区岩室温泉666 KOKAJIYA2F「室礼」
※駐車場は「いわむろや」(西蒲区岩室温泉96-1)駐車場をご利用ください
講師:竹細工職人 阿部晋哉さん
参加費:4,000円(材料/講習費込 クリスマスのスイーツ&お茶付き、当日支払い)
定員:10人
申込み方法:TEL 0256-78-8781(KOKAJIYA)/080-4051-1211(ぐみざわ)まで。
「12/7の土着ワークショップ参加申込み」とお伝えください。
※お子様連れの方もお気軽にご相談ください
※定員になり次第、受付終了となります
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2014年最後となる土着ワークショップは、竹細工の「煮ざる」づくり。初開催です!
夏ごろ、涼しげな「かごの本」を眺めていて「美しい形だな」と目にとまった、細くしなやかな竹で六角形に編まれた壁飾りのようなもの。よく見てみたら、煮魚やお餅を煮る際に、煮崩れを防ぐために使う「煮ざる」という実用品だったとわかりました。その後、合羽橋道具街に見に行ってみたところ、プロ仕様(フカヒレなどを煮る)の大型の煮ざるはあっても、家庭用のコンパクトな煮ざるは見つからず、実用品としては、あまり出回っていないことを知りました。
そこで、新潟で竹細工をやられる方を探したところ、竹製品生産で有名な大分の別府で修行をなさり、現在、西蒲区和納で竹職人をやられる阿部晋哉さんと出会い、今回のワークショップが実現することに!
阿部さんは、和服などに似合う網代(あじろ)編みの竹バッグや盛器、茶道具等を一から全てお一人で製作され、とても繊細で丁寧なお仕事をなさっています。ひとつひとつ緻密に編まれるその技は、別府で竹工芸の職業訓練校時代に培ったものといいます。
材料の竹は阿部さんが普段使われている、別府の真竹(まだけ)を使用します。
新潟にも佐渡をはじめ、竹はたくさんあり、岩室近辺の間伐材を利用したいと考えていましたが、まずは初回ということで、阿部さんのアドバイスもあり大分産のものを使うことにいたしました。竹ひごは、阿部さんに予め加工いただき、用意します(この事前の加工がものすごい手間!)。
編み方は竹細工をやられる方にとっては初歩の編み方だという「六つ目編み」。その基本の編み方を学びつつ、機能的で、見た目にも美しい「煮ざる」をつくります。
完成した煮ざるは、煮ざるとしてだけでなく、壁飾りやお菓子などを入れるトレーなどにも活用できそう。ぜひご家庭に一つ、竹細工の、冬はあたたかで夏は涼やかな「煮ざる」をご自身で拵えて、くらしのシーンに取り込んでみませんか?
阿部晋哉さん プロフィール
1982年 日本一竹製品産地の大分県、別府高等職業訓練校入校(竹工芸科)
修了後、県別府産業工芸試験所研修生(1年間)
その後、網代編の名工・市原華雲斎氏に師事。
2001年、大分から故郷の新潟へ転居。新潟県クラフトマンクラブに加入。
●大正生まれの師匠・市原華雲斎氏は、分厚い経験と技術、凄みさえ感じられる腕の冴え、まさに仰ぎ見るような存在だったといいます。そんな師特有の網代編(あじろあみ)の技術、職人としての心構えなど実に多くを教わり、四半世紀経った今なお、その経験はご自身の仕事の土台となっているそうです。
●竹製品の問屋、工芸品のお店への卸しがメインですが、個人のお客様からの依頼も出来る限りお受けしているとのこと。
※阿部さんへのインタビュー記事はこちら。
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そして、前回おこなった「干し柿づくり」には、後編がございます。
その日程が決まりました。
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土着ワークショップvol.06 干し柿づくり<後編>
日時:2014年12月7日(日)10:00~12:00
(ご都合のつく時間帯にいらしてください。出入り自由)
場所:西蒲区岩室温泉666 KOKAJIYA2F「室礼」
※駐車場は「いわむろや」(西蒲区岩室温泉96-1)駐車場をご利用ください
参加費:前回参加の方は無料。初参加は2000円(材料・講習費込み、当日支払い)
持ち物:エプロン、ハンドタオル
11/3の<前編>でおこなった干し柿を、干し場から下ろし、より粉を吹かせるための「もみ作業」を行います。同日午後、13:30から「煮ざる」づくりを行う関係で、午前中のみとさせていただきます。当日ご都合がつかない方は、「干し柿」完成後、KOKAJIYAにてお渡しいたします。お渡し日は、後日電話にてご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
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「土着ワークショップvol.06 干し柿づくり」は、新潟市フードプロモーション認定事業
『にいがたアグリピクニック』(事業者名:foodrop)のプログラムです。
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土着ワークショップvol.5「カマダイづくり」レポート
秋晴れの日曜日、室礼にて土着ワークショップの5回目となる「カマダイづくり」を開催しました。
「カマダイ」とはワラ細工でつくる、釜を乗せる台のこと。釜の底が机や床につかないよう、ドーナツのように分厚くなっている鍋敷きです。昨年の10月、土着ワークショップの第1回目にやったこのカマダイづくり。もともと、小鍛冶屋の倉庫から出てきたカマダイがとても素敵だったので、自分たちの手でつくってみたいという思いで始めたのがきっかけでした。
講師には、いつもお世話になっている黒埼民具保存会・会長の山際辰夫さんとインストラクターの山際裕子さんにお越し頂きました。
まずは、藁細工のもと、夏井で今年田植えから関わり、はさがけした稲の新米を、これから始める手しごとの“まかない”ランチとして、いただきました。
今回のメニューはこちら↓
●KOKAJIYA特製/秋の新米茶漬け【八海山サーモンの燻製といくら醤油漬け、カラスミの出汁茶漬け】
●風呂吹き大根と柚子味噌
●蒸し茄子のお浸し
●いちじくのアールグレイコンポート
秋の味覚を存分に味わった後は、さっそく作業開始です。材料の稲ワラは、今回、芯の部分にはさがけして得られた稲ワラを、表面には山際さんお手製の青刈りした稲ワラを使いました。
今年86歳になる山際さん。会社を引退後、藁細工を始められ、20数年のキャリアをお持ちの職人さんです。農作業の傍ら、藁細工をやられているので「おかげでボケない(笑)」と。「室礼」では、土着ワークショップの講師をしていただいたり、手作りの箒やお正月飾りなども販売させていただいています。
「稲は無駄な部分が全くない。」そう山際さんがおっしゃる通り、今回も無駄なく稲ワラを使います。まずは芯となる円をつくり、麻ひもで巻いて固定します。
稲ワラは何となくそれ自体も炊きたてのお米のような、いい香りがします。初めて藁細工に挑戦という方も思わず鼻を近づけていました(笑)
続いて芯に巻き付けていくためのワラをすぐって(短い、細い藁などを取り除く)、均一な長さに揃えます。円の大きさにもよりますが、だいたい二つ分はとれます。残った藁のくずは、山際さんが肥料などに利用されます。
材料が揃ったら、巻き付けを開始。この作業は最初が肝心です。最初の編み方さえマスターしてしまえば、あとは簡単な繰り返しです。
みなさん、山際さんに確認しながら、慎重にスタート。
要領を得てしまえば、早い方はすいすい進められます。普段使わない腕の筋肉を使いつつ、集中してみなさん作業を続けます。
時折、おしゃべりしながら、みなさん円になって、まるでこの円そのものが、カマダイみたい。
夏井での田植えから関わったスタッフのダイドコ山倉も、嬉しそうに作業に加わります。今回が二回目ということもあり、さすがに早いです。
最後に藁束を止める縄は、畳の材料になる「イ草」を綯(な)った縄を使います。イ草は繊維が長く均一で、藁と違って細かく綯いやすいそうで、その場でも山際さんが綯って下さいました。
縄がクロスしてできていくときに立てるズリズリっと鳴る音。そこにも熟練の技が表れていました。
最後の仕上げは力も要るので、山際さんにお願いしました。
トップバッターのこの笑顔!初めてとは思えない器用さと正確さで、作業を進めていらっしゃいました。
自ら田植えした稲ワラでつくる「カマダイ」に思い入れと感動がひとしおの山倉もこの笑顔。みんなで談笑しながらの作業も楽しいひとときです。
予定時間より早く終わったこともあり、2個目の製作に取りかかる方も!すばらしいです。
また、「縄綯いもしてみないか」と山際さんからご提案いただき、今度はイ草の「縄綯い」指南もスタートしました。
こちらも初めてとは思えない手つき…。縄綯いも少し板に付いてきた頃、記念に参加者のみなさんと完成したカマダイとともに集合写真!
藁細工は、やってみると本当に楽しいものです。普段何気なく食べているお米には、必ず藁が一緒に得られます。でも、機械化された今の農業では、稲ワラは一度忘れられた存在とも言えるかもしれません。藁細工は手間がかかりますが、捨てないで活かすこと。そして、身近に使うこと。当たり前であって、でも大切なことに気づかせてくれる作業だなと思います。
少しずつ、こうして稲ワラに触る、使ってものをつくる、藁細工という技術の継承、人との出会い…藁をめぐるいろいろなものやことや人がつながりを持つこと。それがこのワークショップの醍醐味でもあります。ぜひ、また来年も続けたいと思っています。
参加者のみなさん、山際さん、裕子さん、スタッフのみんな、そして、藁を提供くださった夏井の山上さん、阿部さん、他はさがけプロジェクトメンバーのみなさん、本当にありがとうございました。今回参加できなかった方も、ぜひ来年一緒にやってみませんか?
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「土着ワークショップvol.05 藁細工・カマダイづくり」は、新潟市シティプロモーション認定事業
『にいがたアグリピクニック』(事業者名:foodrop)のプログラムです。
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