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土着ワークショップvol.1「新米ごはん&ワラで鍋敷き作り」

土着ワークショップvol.1 レポート

10/20、「土着ワークショップ」シリーズの第1回目となる「新米ごはん&ワラで鍋敷き作り」を「室礼」にて行いました。

あいにくの雨の中、新潟市内、三条市や富山県の富山市からお越しくださった参加者のみなさん。

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まずは、「はざかけ新米ごはんを食す」ことからスタート。

先月「いわむろや」主催で西蒲区夏井エリアで行われた「はざ架けイベント」で得られたお米を、KOKAJIYA特製のおかずとともにいただきました。

“はざ架け”とは、刈り取った稲を束にして、木と木の間に渡した竹に架け、自然乾燥させること。夏井エリアは、このはざ架けをする木=「はざ木」(西洋トネリコ)が田んぼに沿って植えられ、その風景は「美しい日本の村景観百選(農村景観百選)」の一つにもなっています。

メニューはこちら↓
・お釜で炊いた、はざかけ新米ごはん
・KOKAJIYAシェフ特製きりあい
・秋野菜のカポネータ
・魚のエスカベッシュ
・クスクスのサラダ
・きのこの煮つけ

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驚いたのは、ごはんの味の違い。お釜で炊いたことはもちろん、
はざかけ米は、ふっくら粒が立って、稲の香りがする、風味のしっかりとした味がしました。
自然乾燥のお米は、やはりひと味もふた味も違いました。

また、KOKAJIYA熊倉シェフがつくる「きりあい」(三条や岩室など新潟に伝わる生ふりかけ)も、商品化のリクエストが出るほどの人気。

「これだけでごはんが進んでしまう。ここで売っていないの?」とのお声…

おいしいお米をいただきながら、ワラ細工の講師、黒崎民具保存会会長の山際辰夫さんとの懇談。
雑談の中で意外にも参加者の多くが稲ワラに触れたことがないということがわかりました。
新潟、富山と言えば米どころとして知られますが、ほとんどが「ワラ」に触れたことがないという現実。
かつては農家をはじめ生活に必要な道具の多くをワラで作っていたわけですが、そうした「あたりまえ」にあった文化が失われていくコトへの疑問からこの「土着ワークショップ」は始まっています。

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そしていよいよ、はざ架けして得られたワラを使っての「鍋敷きづくり」へ。
畳の上で山際さんを囲み、円になって作業を開始しました。

準備)ワラを柔らかく加工する

干したままのワラは、茎がしっかりしていて、曲げにくく加工がしにくいもの。そこで、ワラに機械を使って圧を加え、しなやかに柔らかくします。かつては、横槌を使って手作業で柔らかくしていたようですが、これだけでも大変な作業。これでわら細工をはじめる準備ができます。ワークショップでは、山際さんに事前に加工をお願いしました。

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1)ワラをすぐる
鍋敷きの表面に使う、つやのある芯のしっかりとしたワラを選択する作業です。
たくさんのワラの中から選ぶという単純でありながら、根気のいる作業でした。
そして選ばれたワラを、鍋敷きの表面に編み込むため、長さを切り揃えます。

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2)芯をつくる
鍋敷きの芯には、表面には使えない残りのワラを使います。2つの束をつくり、
各々の束の上下を逆にして重ね(穂先と根元の幅が異なるため)ます。
それを、ビニールテープで真ん中を結び、束を円の形にして、ぐるぐると
テープをまきつけながらしっかりと固定します。

3)表面にワラを編む
1)ですぐったワラを3本(均一の太さのため本数は適宜調節)とり、円形の芯に
結び、次の3本をすぐ下に巻き付け、それらを交差させ、編み込んでいく。
この作業を続けるのですが、ここで慣れる(コツや自分のリズムをつかむ)まで
が個人差のでるところ。巻き付けたワラを押さえるのに力がいること、また
巻き付ける間隔も人によって異なるので、できあがりもまったく違った風合いに
なります。

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4)表面のワラを固定
編み込みを一周したら、ワラの編ひも(山際さん作成)で結びつけ固定。
あとは、はみ出たワラを切りそろえ完成です。

制作時間は、直径20㎝の鍋敷きで約1時間半~2時間ほど。
最初なので時間はかかりましたが、慣れればもっと早くできると思います。

参加者のみなさんは、想像以上の重労働に「今日中にできないかも…」などと途中で笑いもおこりつつ、終始集中して作業をなさっていました。そして、完成したときの喜び、充実感は格別のものでした。
最後はみなさんで記念撮影。

土地のめぐみであるお米を食べ、その稲から生まれた「第二のお米」ともよばれるたくさんの道具や肥料、そして材料にもなる「ワラ」を自分の手を使って細工すること。

稲作、料理、ワラでの道具づくり…すべてが土地とくらしと人と直結したものごと。
半日のイベントではありましたが、その奥深さを実感したワークショップとなりました。

はざかけ米をご用意くださった夏井の農家の山上さま、いわむろや、料理と配膳をしてくださったKOKAJIYAのみなさま、そして参加者のみなさま。ありがとうございました。

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次回の土着ワークショップは11/23(土・祝)「干し柿をつくる」を予定しています。
見た目にも美しい、今が旬の柿の干し方を本格的に学びます。ぜひ、今からご予定ください。

ちなみに、今回のワラ細工は、「小鍛冶屋」にもともとあった「カマダイ」(=釜を敷くもの)を参考に、これをつくろうと企画をしたものなので、できあがりが少し大きめでした。
次回は少し小さめの藁細工を作るワークショップを企画したいと思います。

今後も「室礼」の土着ワークショップをお楽しみに!