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土着ワークショップvol.10 藁細工・カマダイづくりレポート

秋晴れの9月27日、江南区の北方文化博物館にて、久しぶりの土着ワークショップを開催しました!

ときわそう

今回お借りした「常盤荘」は、豪農・伊藤家の旧家のはなれ。普段はお茶会などに利用されるという畳敷きの広い空間は、縁側を開け放すと、ハスの池や赤く染まり始めたモミジが見え、とっても気持ちの良いワークショップ会場に!そこへ7月末に青刈りした新しい稲ワラの匂いが広がる中、多くの参加者の方に「カマダイ」づくりに挑戦いただきました。

講師であり、材料のワラやイグサもご提供くださっている黒埼民具保存会の山際辰夫さん(今年87歳!)から、最初にカマダイや稲わらに関する説明をいただき、作業をスタート。

スタート

説明

山際さんに教えていただく「カマダイ」づくりは3回目ですが、山際さんは毎回事前に試作品を作り何度も練習をしてから臨みます。熟練した技を持った藁細工職人でありながら、実際にカマダイを民具保存会の先輩方から学んだのは、何十年も前。その手の勘を思い出すのには、やはり「数つくらんばだめだね」とおっしゃる山際さん。毎度準備や勉強を怠らず、材料もきれいに束ねてご用意くださる姿には、本当に頭が下がります。

材料

はじめの作業は、芯づくり。今回のカマダイは、中の芯を改良しました!「すぐったワラくずが一番いいんだ」という、山際さんのご助言のもと、ワラくずを数本のワラで束ねて芯をつくりました。この際いかに凸凹せずに、均一に円をつくれるかがポイントです。

芯

芯づくり

親子

芯ができたら、編み作業に入ります。要領を掴むとあっという間に作業が進むのですが、それまでが大変…。リズムよく、均一に密に、ワラ束数本を編み込んでいきます。この時、常に片方の手でワラ束を抑えていなくてはならないので、力が入り、とても疲れます。肩や腰にくる…。時折休みも入れつつ、それをなんとか根気強く継続し、一周の編み込みが終わるとなんとも言えない達成感!こうしてワラを触っているのがまた楽しい時間なのです。

手先

会場全体

仕上げ

4カ月の赤ちゃんを連れてご参加くださった方もいらして、その小さな手にワラを握らせていらした様子は、とてもすてきな光景でした。その方から、「出産を機に、昔からの仕事や知恵だったり、自分の手でつくる楽しさだったりを娘にも伝えたいと感じるようになり…」とのコメントもいただき、主催者としてはとても嬉しかったです。

赤ちゃんとママ

赤ちゃん

集中

今回ご参加いただいたみなさんは、ほとんどがワラ細工初心者。それでも、みなさん何かしらモノづくりをされていたり、手仕事が好きだったり、そして嬉しいのは親子3代でご参加という方もいらっしゃいました。最後まで集中して真剣に取り組まれていた姿が清々しく、とても印象的でした。

こちらは午後の部の様子。こちらもみなさん集中し、会場には静かな時間が流れていました。

午後の部

仕上げ中

子供たち

そして、奇しくも当日は中秋の名月。そんな日に似合う、また作業の疲れを癒すお菓子は、古町のおむすび屋、むすびや百(もも)さんにお願いしました。旬の栗やクルミ餡の「おはぎ」、とっても美味しく、優しい甘さが体に沁みました!みなさんぺろりと召し上がっていました。お子さんも「美味しいー」と嬉しそう。

おはぎ

おいしいよ

完成したカマダイといい笑顔をいただきました!

笑顔

最後に、できあがったカマダイを持って、恒例の記念撮影!(一部切れてしまい、すみません…)お疲れ様でした!

集合 午前の部

集合 午後の部

「カマダイ」づくりを通して、手間ひまをかけ、自分の手でモノを作る楽しさを感じられたかなと思います。ワラ細工は、匂いといい、ワラ素材の面白さといい、やればやるほどクセになる気がします。お米は身近だけど、ワラは身近ではなくなってしまった今、改めて、「自然からの恵みをちゃんと使う」こと、そこから「生活がつくっていけること」を少しでもこうした体験を通して一緒に共有し、住んでいる土地やそこに住んできた先人たちに、「ありがたいな」という気持ちが湧いたら、「土着ワークショップ」企画者としては嬉しいなと思います。

米俵

藁文化研究第一人者の宮崎清さんがおっしゃっていました。「藁の文化が消えたら、この国はおわりだ」と。本当にその通りだなと思います。今後も継続してゆきたいと思います。今回参加したかったけど、難しかったという方もいらっしゃいました。また次回ぜひご参加ください!改めて、ご参加いただいた皆様、北方文化博物館のスタッフの方、むすびや百さん、そして山際さんご夫妻、裕子さん、お手伝いの高松さんにお礼申しあげます。どうもありがとうございました!またよろしくお願いいたします。

床の間

※「土着ワークショップ」とは…昔ながらの生活に当たり前にあった「暮らしの基礎技術」を講師を招き体験して学べるワークショップ。2013年よりスタートし、岩室温泉のKOKAJIYA2F 室礼(シツライ)などを拠点に様々な場所で不定期に展開中。
企画・運営:ブリコール 桾沢和典・厚子

※「土着ワークショップvol.10 藁細工・カマダイづくり」は、水と土の芸術祭2015の市民プロジェクト「にいがた稲作文化ドキュメンタリー&シンポジウム 暮らしの骨格」の中のプログラムの一つとして開催しました。材料のワラは、山際さんとともに5月に田植えをし、7月に刈ったものを使用。プロジェクトでは、その田植えから稲刈り、ワラを使った注連縄づくりまでを映像として残す活動も行っております。
ご興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。

Posted on 2015-10-01 | Posted in お知らせ, 土着ワークショップ [DWS]No Comments »